『桜丘便り』という、東京都渋谷区の法律事務所,桜丘法律事務所のブログに、とても大切なことを知らせる記事を載せてくださっています。
いつも気になっていたのですが、デモや集会などで集まっている人たちを、警官や公安の人が写真撮影をしている場面をよく目にするようになりました。
あれはいったい、どういう目的でやっているのだろう、という疑問とともに、いつもこう感じていました。いやらしいな、と。
ぜひこの記事を読んで、今後の参考にしてください。
そして、デモや集会に参加する際には、この内容を警察官に見せ、
「犯罪行為が行われていないところを継続的に広く撮影し続ける行為は違法である」とはっきりと伝え、辞めさせてください。
↓以下転載はじめ
デモ活動への警察撮影について
2015年7月16日 (木)
http://sakuragaoka-lo.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-1caf.html
昨日(2015年7月15日)、国会議事堂前で行われていた安保関連法案に反対するデモに、見守り弁護士として参加してきました。
これぞ表現の自由という、素晴らしい場でした。
そこで散見されたのが、警察官によるデモ活動の撮影です。
弁護士が違法であることを告げてもなかなか辞めませんでしたが、粘り強く繰り返し抗議し、一人ずつ辞めさせました。
このような撮影行為は、憲法13条の趣旨に反し許されません。
記録のためとか、今後のデモのためとか、違法行為が行われそうとか、色々言ってきますが、全て許されません。
理由は、以下のとおりです。
見かけたときは「撮影は辞めて下さい、判例を知らないんですか」と注意して、このブログを警察官に見せてください。
デモ活動を、【警察が撮影】する行為は、原則として憲法13条の趣旨に反し許されません。
例外は、次の1~3の要件を全て満たした場合だけです( 最大判昭和44年12月24日)
※公益目的の報道機関による撮影、一般市民による撮影は別です
1 現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合
2 証拠保全の必要性および緊急性があり
3 その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるとき
まず、現に犯罪が行われなければ、1には該当しません。
そして、周りに多数の警察官がいて目撃しているのが通常ですから、証拠保全の必要性もありません。
警察官の調書だけで十分です。
もちろん、何も犯罪行為が行われていないところを、継続的に広く撮影し続ける行為は違法です。
【該当判旨抜粋】
憲法一三条は、
「すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由、及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
と規定しているのであつて、
これは、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても、保護されるべきことを規定しているものということができる。
そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という)を撮影されない自由を有するもの、というべきである。
これを肖像権と称するかどうかは別として、
少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、
憲法一三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。
しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけでなく、
公共の福祉のため必要のある場合には、相当の制限を受けることは、同条の規定に照らして明らかである。
そして、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、
警察にはこれを遂行すべき責務があるのであるから(警察法二条一項参照)、
警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、
その対象の中に、犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれても、
これが許容される場合がありうるものといわなければならない。
そこで、その許容される限度について考察すると、
身体の拘束を受けている被疑者の写真撮影を規定した刑訴法二一八条二項のような場合のほか、
次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。
すなわち、現に犯罪が行なわれ、もしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、
しかも証拠保全の必要性、および緊急性があり、かつその撮影が、一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。
このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、
その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたため、
これを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、
憲法一三条、三五条に違反しないものと解すべきである。
【判例のリンク】
最高裁大法廷判決昭和44年12月24日(刑集23・12・1625)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/765/051765_hanrei.pdf
(小口幸人)
いつも気になっていたのですが、デモや集会などで集まっている人たちを、警官や公安の人が写真撮影をしている場面をよく目にするようになりました。
あれはいったい、どういう目的でやっているのだろう、という疑問とともに、いつもこう感じていました。いやらしいな、と。
ぜひこの記事を読んで、今後の参考にしてください。
そして、デモや集会に参加する際には、この内容を警察官に見せ、
「犯罪行為が行われていないところを継続的に広く撮影し続ける行為は違法である」とはっきりと伝え、辞めさせてください。
↓以下転載はじめ
デモ活動への警察撮影について
2015年7月16日 (木)
http://sakuragaoka-lo.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-1caf.html
昨日(2015年7月15日)、国会議事堂前で行われていた安保関連法案に反対するデモに、見守り弁護士として参加してきました。
これぞ表現の自由という、素晴らしい場でした。
そこで散見されたのが、警察官によるデモ活動の撮影です。
弁護士が違法であることを告げてもなかなか辞めませんでしたが、粘り強く繰り返し抗議し、一人ずつ辞めさせました。
このような撮影行為は、憲法13条の趣旨に反し許されません。
記録のためとか、今後のデモのためとか、違法行為が行われそうとか、色々言ってきますが、全て許されません。
理由は、以下のとおりです。
見かけたときは「撮影は辞めて下さい、判例を知らないんですか」と注意して、このブログを警察官に見せてください。
デモ活動を、【警察が撮影】する行為は、原則として憲法13条の趣旨に反し許されません。
例外は、次の1~3の要件を全て満たした場合だけです( 最大判昭和44年12月24日)
※公益目的の報道機関による撮影、一般市民による撮影は別です
1 現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合
2 証拠保全の必要性および緊急性があり
3 その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるとき
まず、現に犯罪が行われなければ、1には該当しません。
そして、周りに多数の警察官がいて目撃しているのが通常ですから、証拠保全の必要性もありません。
警察官の調書だけで十分です。
もちろん、何も犯罪行為が行われていないところを、継続的に広く撮影し続ける行為は違法です。
【該当判旨抜粋】
憲法一三条は、
「すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由、及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
と規定しているのであつて、
これは、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても、保護されるべきことを規定しているものということができる。
そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という)を撮影されない自由を有するもの、というべきである。
これを肖像権と称するかどうかは別として、
少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、
憲法一三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。
しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけでなく、
公共の福祉のため必要のある場合には、相当の制限を受けることは、同条の規定に照らして明らかである。
そして、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、
警察にはこれを遂行すべき責務があるのであるから(警察法二条一項参照)、
警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、
その対象の中に、犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれても、
これが許容される場合がありうるものといわなければならない。
そこで、その許容される限度について考察すると、
身体の拘束を受けている被疑者の写真撮影を規定した刑訴法二一八条二項のような場合のほか、
次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。
すなわち、現に犯罪が行なわれ、もしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、
しかも証拠保全の必要性、および緊急性があり、かつその撮影が、一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。
このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、
その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたため、
これを除外できない状況にある第三者である個人の容ぼう等を含むことになつても、
憲法一三条、三五条に違反しないものと解すべきである。
【判例のリンク】
最高裁大法廷判決昭和44年12月24日(刑集23・12・1625)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/765/051765_hanrei.pdf
(小口幸人)