7月4日(ショーティの命日)
風邪をこじらせてしまった夫を残し、土曜日だけしか開かない市場に行った。
もちろんカンカン照り。
この市場で一番美味しいことで有名な、いつもは長ーい列ができるヤギのチーズ屋さん。
一番奥から順に新しくなるチーズ。あまりの美しさにワクワクし過ぎて、店主に断りなく写真を撮ってしまった。
「ちょっとあなた、何してるの?わたしに断りもせずに?」と叱られた。
何度謝っても後の祭り。他の買い物客とフランス語で、わたしのことを批難しているのを聞きながらショゲていると、
「もう十分謝ったのだから、気にしなくていいのよ。顔を上げなさい」とジルに言われた。
美味いもんだらけ。
ジルはこの村に引越してからずっと、このおっちゃんからニンニクを買っている。ニンニクしか売ってないニンニク一筋の名物おっちゃん。
ジルのお気に入り、レモンの丸ごと漬け。
めちゃくちゃ苦いらしい。
長~い玉ねぎ。
ちびっこい茄子(左上)。
ここの夫婦は信用できるからと、自分ちの畑では採れない野菜はここで買う。もちろんオーガニック。
そしてやっぱりここでもライブ音楽。
ほんでもって教会。
食べ物ではない物コーナー。
ここも行列ができるハムのお店。
さあ帰ろう!
大抵はこんなふうな、小型車が対向できるかできないかの細い道で、しかも石の壁が多いので、こすり傷が無い車はかなり少ない。
軽くランチを食べ、やっぱり今回は家に残ってゆっくり過ごしながら、気が向いたら夕飯作っとくよという夫を残し、谷底の村見物に。
道中にある、丘の上のシャトー。
いろんな岩が円状に置かれた(もしくは自然?)広場。
ジル曰く、日本から来た友人の山田さんを案内したら、彼は実に5分もの間、この岩を抱きしめていたのだそうな。
わたしも抱きしめてみた。
すると突然悲しみが胸の中を満たした。
ああ、今日はショーティの命日だ。
ごめんよ、ちゃんと病気のケアをしてやらずにいたから、苦しい思いをさせてしまったね、と言うと、
いいから、そんなふうに後悔しないでと、岩が語りかけてくれた。
涙が出た。
ひとつひとつの石にそれぞれ独特の表情がある。自然にできた穴や隙間がとても楽しかったのでお裾分け。
カーブだらけの、しかもヘアピンだらけの、そしてやっぱりフェンス無しの山道をどんどんどんどん上っていく。
日本から持ち帰ってきた愛車とジル。彼女は76歳。すごいなあ、かっこいいなあ。
あ、見えてきた!
写真では実際の深さを伝えられないのは残念!
村に向かって下り始める。下り道もやっぱり怖い!
いったいどれほどの年月を経てきたのだろう。
到着。
ものすごーく澄んでいて、ものすごーくチベタイ!!
谷底の村のカフェから見える空は、まあるく切り取られていた。
小さな小さな村。
山の中腹のあちこちに、ゴツゴツとした姿を見せる岩。
さあ家に帰ろう。
留守番の夫がチキンカレーを作って待ってくれていた。さんきゅ!
7月5日
出発する日になってようやく元気が戻ってきた夫。早速ジルにツボの伝授。
彼女は結構長い間、首が痛くて回らないのだった。
そんな彼女に運転させまくりのわたしはいったい…。
これは彼女の鼻づまり解消のためのアイディア。
乾燥させたオレガノ、タイム、ミント、ユーカリ、松の実に湯を注ぎ、タオルをすっぽり被った状態で鼻を近づけて深呼吸。
これがなかなか効くらしい。
そしてわたしも、過酷な道を運転して観光案内してもらったお礼に、心を込めてマッサージをした。
まだ別れたくないなあと、何度も何度もジルが言う。
わたしたちだってと、わたしたちもその度に言う。
そんな名残惜しい気持ちのまま、ジルと別れてバスに乗る。目指すはモンペリエ経由のマルセイユ。
右側の席乗ったら川が見えるよと教えてもらい、もちろんわたしは窓際に。
1時間半ほどのバスだったが、ふとバックミラーに映る運転手の顔を見てからは、目が離せなくなってしまった。
彼は、大げさではなくて、10秒ごとにあくびを繰り返しているのである。
それも一向に止む気配がない…。
止まらないあくびに加え、首筋や額をゴシゴシ擦ったり耳たぶを引っ張ったりし始めた。
さすがにたまらなくなって、前の席で居眠りをしている夫に知らせてみた。
二人揃って、バックミラーの運転手の顔をガン見する。
すると、運転手がサングラスを外して目をゴシゴシ擦り始めた。
ちょっとちょっとお兄さん、あんたの目、ほとんど閉じてるやんっ!!
もうこりゃなんとかせにゃいけん!とお尻が浮き始めた時、途中の小さな町の停留所に停まった。
な、な、なんと、運転手のタバコ休憩。
いいよいいよ、なんでもしなはれ。それであんたの目が覚めるなら。
無事着いた…やれやれ…。
と思いきや、今度はモンペリエの電車駅までのモノレールのチケットが買えないというハプニングが!
自動販売機はあるのだけども、硬貨が使えず、我々のクレジットカードもダメ。
向かい側の自動販売機もダメ。
地元の人っぽい男性が、困り果てているわたしたちを見かねて、ボクのクレジットカードで買ってあげようと言ってくれたのだけど、電車が来てしまった。
さて、切符を持たないままの我々を、一応乗せてはくれた若いべっぴん運転手さん。
線路に芝生?
駅に着くたびに、そこの販売機を試してみてと言われ、降りては試すも同じ結果に。
すごいのは、そんな我々のために電車が(もちろん乗客のみなさんも)待ってくれたってこと。
さらにもっとすごかったのは、とうとう運転手自らが電車から降りて、買えるかどうか試してくれたこと。
結局、タダ乗りをさせてもらって降りることになった。
マルセールまでの切符を買うのに、順番待ちの番号札をもらって待つ。
駅に必ず置いてある、誰でも好きな時に好きなように弾いていいピアノ。電子ピアノとかじゃなくてアコースティック。
電車までの待ち時間に、駅の前にある公園で、ジルが手渡してくれたランチを食べる。
市電が充実している街。
数分おきに天井から水蒸気が噴射される駅の構内。
暑さは少々マシになるけれど、なんというかその、薄着の皆さんからの体臭が入り混じった湿った空気がチト辛かった。
一等車の席のみのランプ。
バイバイモンペリエ。
色とりどり
な市電。
落書きされまくっている貨物列車。
15分遅れでやってきたマルセイユ行きの電車。
おぉ~海だ!
ほんとに落書きが多い。わたしの席の窓だって!
マルセイユに到着。やっぱり暑い。
ポップでアートな不思議なホテル。
部屋からの景色。
ここでの唯一の観光、夕飯を食べに町中に出る。
海辺の通りを15分ばかり歩いた所の小さな港にあるレストランが、手頃な値段で美味しいと教えてもらった。
まだまだすごい熱気。
マルセイユといえばやっぱり魚介。
吠えるカモメ。
日の入りが始まった。
身づくろいする猫さん。
海と夕焼けはどうしてこうも切ないのだろう…。
夕焼けと変なおっさん。
近所に住む超売れっ子コメディアンと同じ名前の通り、ただそれだけです、はい。
夜はさらに楽しくなっていた。
窓の外では、マリアさまが光ってた。
風邪をこじらせてしまった夫を残し、土曜日だけしか開かない市場に行った。
もちろんカンカン照り。
この市場で一番美味しいことで有名な、いつもは長ーい列ができるヤギのチーズ屋さん。
一番奥から順に新しくなるチーズ。あまりの美しさにワクワクし過ぎて、店主に断りなく写真を撮ってしまった。
「ちょっとあなた、何してるの?わたしに断りもせずに?」と叱られた。
何度謝っても後の祭り。他の買い物客とフランス語で、わたしのことを批難しているのを聞きながらショゲていると、
「もう十分謝ったのだから、気にしなくていいのよ。顔を上げなさい」とジルに言われた。
美味いもんだらけ。
ジルはこの村に引越してからずっと、このおっちゃんからニンニクを買っている。ニンニクしか売ってないニンニク一筋の名物おっちゃん。
ジルのお気に入り、レモンの丸ごと漬け。
めちゃくちゃ苦いらしい。
長~い玉ねぎ。
ちびっこい茄子(左上)。
ここの夫婦は信用できるからと、自分ちの畑では採れない野菜はここで買う。もちろんオーガニック。
そしてやっぱりここでもライブ音楽。
ほんでもって教会。
食べ物ではない物コーナー。
ここも行列ができるハムのお店。
さあ帰ろう!
大抵はこんなふうな、小型車が対向できるかできないかの細い道で、しかも石の壁が多いので、こすり傷が無い車はかなり少ない。
軽くランチを食べ、やっぱり今回は家に残ってゆっくり過ごしながら、気が向いたら夕飯作っとくよという夫を残し、谷底の村見物に。
道中にある、丘の上のシャトー。
いろんな岩が円状に置かれた(もしくは自然?)広場。
ジル曰く、日本から来た友人の山田さんを案内したら、彼は実に5分もの間、この岩を抱きしめていたのだそうな。
わたしも抱きしめてみた。
すると突然悲しみが胸の中を満たした。
ああ、今日はショーティの命日だ。
ごめんよ、ちゃんと病気のケアをしてやらずにいたから、苦しい思いをさせてしまったね、と言うと、
いいから、そんなふうに後悔しないでと、岩が語りかけてくれた。
涙が出た。
ひとつひとつの石にそれぞれ独特の表情がある。自然にできた穴や隙間がとても楽しかったのでお裾分け。
カーブだらけの、しかもヘアピンだらけの、そしてやっぱりフェンス無しの山道をどんどんどんどん上っていく。
日本から持ち帰ってきた愛車とジル。彼女は76歳。すごいなあ、かっこいいなあ。
あ、見えてきた!
写真では実際の深さを伝えられないのは残念!
村に向かって下り始める。下り道もやっぱり怖い!
いったいどれほどの年月を経てきたのだろう。
到着。
ものすごーく澄んでいて、ものすごーくチベタイ!!
谷底の村のカフェから見える空は、まあるく切り取られていた。
小さな小さな村。
山の中腹のあちこちに、ゴツゴツとした姿を見せる岩。
さあ家に帰ろう。
留守番の夫がチキンカレーを作って待ってくれていた。さんきゅ!
7月5日
出発する日になってようやく元気が戻ってきた夫。早速ジルにツボの伝授。
彼女は結構長い間、首が痛くて回らないのだった。
そんな彼女に運転させまくりのわたしはいったい…。
これは彼女の鼻づまり解消のためのアイディア。
乾燥させたオレガノ、タイム、ミント、ユーカリ、松の実に湯を注ぎ、タオルをすっぽり被った状態で鼻を近づけて深呼吸。
これがなかなか効くらしい。
そしてわたしも、過酷な道を運転して観光案内してもらったお礼に、心を込めてマッサージをした。
まだ別れたくないなあと、何度も何度もジルが言う。
わたしたちだってと、わたしたちもその度に言う。
そんな名残惜しい気持ちのまま、ジルと別れてバスに乗る。目指すはモンペリエ経由のマルセイユ。
右側の席乗ったら川が見えるよと教えてもらい、もちろんわたしは窓際に。
1時間半ほどのバスだったが、ふとバックミラーに映る運転手の顔を見てからは、目が離せなくなってしまった。
彼は、大げさではなくて、10秒ごとにあくびを繰り返しているのである。
それも一向に止む気配がない…。
止まらないあくびに加え、首筋や額をゴシゴシ擦ったり耳たぶを引っ張ったりし始めた。
さすがにたまらなくなって、前の席で居眠りをしている夫に知らせてみた。
二人揃って、バックミラーの運転手の顔をガン見する。
すると、運転手がサングラスを外して目をゴシゴシ擦り始めた。
ちょっとちょっとお兄さん、あんたの目、ほとんど閉じてるやんっ!!
もうこりゃなんとかせにゃいけん!とお尻が浮き始めた時、途中の小さな町の停留所に停まった。
な、な、なんと、運転手のタバコ休憩。
いいよいいよ、なんでもしなはれ。それであんたの目が覚めるなら。
無事着いた…やれやれ…。
と思いきや、今度はモンペリエの電車駅までのモノレールのチケットが買えないというハプニングが!
自動販売機はあるのだけども、硬貨が使えず、我々のクレジットカードもダメ。
向かい側の自動販売機もダメ。
地元の人っぽい男性が、困り果てているわたしたちを見かねて、ボクのクレジットカードで買ってあげようと言ってくれたのだけど、電車が来てしまった。
さて、切符を持たないままの我々を、一応乗せてはくれた若いべっぴん運転手さん。
線路に芝生?
駅に着くたびに、そこの販売機を試してみてと言われ、降りては試すも同じ結果に。
すごいのは、そんな我々のために電車が(もちろん乗客のみなさんも)待ってくれたってこと。
さらにもっとすごかったのは、とうとう運転手自らが電車から降りて、買えるかどうか試してくれたこと。
結局、タダ乗りをさせてもらって降りることになった。
マルセールまでの切符を買うのに、順番待ちの番号札をもらって待つ。
駅に必ず置いてある、誰でも好きな時に好きなように弾いていいピアノ。電子ピアノとかじゃなくてアコースティック。
電車までの待ち時間に、駅の前にある公園で、ジルが手渡してくれたランチを食べる。
市電が充実している街。
数分おきに天井から水蒸気が噴射される駅の構内。
暑さは少々マシになるけれど、なんというかその、薄着の皆さんからの体臭が入り混じった湿った空気がチト辛かった。
一等車の席のみのランプ。
バイバイモンペリエ。
色とりどり
な市電。
落書きされまくっている貨物列車。
15分遅れでやってきたマルセイユ行きの電車。
おぉ~海だ!
ほんとに落書きが多い。わたしの席の窓だって!
マルセイユに到着。やっぱり暑い。
ポップでアートな不思議なホテル。
部屋からの景色。
ここでの唯一の観光、夕飯を食べに町中に出る。
海辺の通りを15分ばかり歩いた所の小さな港にあるレストランが、手頃な値段で美味しいと教えてもらった。
まだまだすごい熱気。
マルセイユといえばやっぱり魚介。
吠えるカモメ。
日の入りが始まった。
身づくろいする猫さん。
海と夕焼けはどうしてこうも切ないのだろう…。
夕焼けと変なおっさん。
近所に住む超売れっ子コメディアンと同じ名前の通り、ただそれだけです、はい。
夜はさらに楽しくなっていた。
窓の外では、マリアさまが光ってた。