ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

はじめての、ふたりだけの本格旅行『フランス・オウラスからマルセイユ編』

2015年07月13日 | 日本とわたし
7月4日(ショーティの命日)

風邪をこじらせてしまった夫を残し、土曜日だけしか開かない市場に行った。
もちろんカンカン照り。


この市場で一番美味しいことで有名な、いつもは長ーい列ができるヤギのチーズ屋さん。


一番奥から順に新しくなるチーズ。あまりの美しさにワクワクし過ぎて、店主に断りなく写真を撮ってしまった。
「ちょっとあなた、何してるの?わたしに断りもせずに?」と叱られた。
何度謝っても後の祭り。他の買い物客とフランス語で、わたしのことを批難しているのを聞きながらショゲていると、
「もう十分謝ったのだから、気にしなくていいのよ。顔を上げなさい」とジルに言われた。

美味いもんだらけ。
  

  











ジルはこの村に引越してからずっと、このおっちゃんからニンニクを買っている。ニンニクしか売ってないニンニク一筋の名物おっちゃん。


ジルのお気に入り、レモンの丸ごと漬け。


めちゃくちゃ苦いらしい。


長~い玉ねぎ。


ちびっこい茄子(左上)。


ここの夫婦は信用できるからと、自分ちの畑では採れない野菜はここで買う。もちろんオーガニック。


そしてやっぱりここでもライブ音楽。






ほんでもって教会。


食べ物ではない物コーナー。


ここも行列ができるハムのお店。




さあ帰ろう!


大抵はこんなふうな、小型車が対向できるかできないかの細い道で、しかも石の壁が多いので、こすり傷が無い車はかなり少ない。



軽くランチを食べ、やっぱり今回は家に残ってゆっくり過ごしながら、気が向いたら夕飯作っとくよという夫を残し、谷底の村見物に。

道中にある、丘の上のシャトー。


いろんな岩が円状に置かれた(もしくは自然?)広場。


ジル曰く、日本から来た友人の山田さんを案内したら、彼は実に5分もの間、この岩を抱きしめていたのだそうな。


わたしも抱きしめてみた。
すると突然悲しみが胸の中を満たした。
ああ、今日はショーティの命日だ。
ごめんよ、ちゃんと病気のケアをしてやらずにいたから、苦しい思いをさせてしまったね、と言うと、
いいから、そんなふうに後悔しないでと、岩が語りかけてくれた。
涙が出た。

ひとつひとつの石にそれぞれ独特の表情がある。自然にできた穴や隙間がとても楽しかったのでお裾分け。










カーブだらけの、しかもヘアピンだらけの、そしてやっぱりフェンス無しの山道をどんどんどんどん上っていく。


日本から持ち帰ってきた愛車とジル。彼女は76歳。すごいなあ、かっこいいなあ。


あ、見えてきた!


写真では実際の深さを伝えられないのは残念!


村に向かって下り始める。下り道もやっぱり怖い!


いったいどれほどの年月を経てきたのだろう。




到着。
ものすごーく澄んでいて、ものすごーくチベタイ!!






谷底の村のカフェから見える空は、まあるく切り取られていた。


小さな小さな村。












山の中腹のあちこちに、ゴツゴツとした姿を見せる岩。


さあ家に帰ろう。






留守番の夫がチキンカレーを作って待ってくれていた。さんきゅ!


7月5日

出発する日になってようやく元気が戻ってきた夫。早速ジルにツボの伝授。
彼女は結構長い間、首が痛くて回らないのだった。
そんな彼女に運転させまくりのわたしはいったい…。


これは彼女の鼻づまり解消のためのアイディア。
乾燥させたオレガノ、タイム、ミント、ユーカリ、松の実に湯を注ぎ、タオルをすっぽり被った状態で鼻を近づけて深呼吸。
これがなかなか効くらしい。


そしてわたしも、過酷な道を運転して観光案内してもらったお礼に、心を込めてマッサージをした。

まだ別れたくないなあと、何度も何度もジルが言う。
わたしたちだってと、わたしたちもその度に言う。
そんな名残惜しい気持ちのまま、ジルと別れてバスに乗る。目指すはモンペリエ経由のマルセイユ。

右側の席乗ったら川が見えるよと教えてもらい、もちろんわたしは窓際に。




1時間半ほどのバスだったが、ふとバックミラーに映る運転手の顔を見てからは、目が離せなくなってしまった。
彼は、大げさではなくて、10秒ごとにあくびを繰り返しているのである。
それも一向に止む気配がない…。
止まらないあくびに加え、首筋や額をゴシゴシ擦ったり耳たぶを引っ張ったりし始めた。
さすがにたまらなくなって、前の席で居眠りをしている夫に知らせてみた。
二人揃って、バックミラーの運転手の顔をガン見する。
すると、運転手がサングラスを外して目をゴシゴシ擦り始めた。
ちょっとちょっとお兄さん、あんたの目、ほとんど閉じてるやんっ!!
もうこりゃなんとかせにゃいけん!とお尻が浮き始めた時、途中の小さな町の停留所に停まった。
な、な、なんと、運転手のタバコ休憩。
いいよいいよ、なんでもしなはれ。それであんたの目が覚めるなら。


無事着いた…やれやれ…。
と思いきや、今度はモンペリエの電車駅までのモノレールのチケットが買えないというハプニングが!


自動販売機はあるのだけども、硬貨が使えず、我々のクレジットカードもダメ。
向かい側の自動販売機もダメ。
地元の人っぽい男性が、困り果てているわたしたちを見かねて、ボクのクレジットカードで買ってあげようと言ってくれたのだけど、電車が来てしまった。

さて、切符を持たないままの我々を、一応乗せてはくれた若いべっぴん運転手さん。


線路に芝生?
駅に着くたびに、そこの販売機を試してみてと言われ、降りては試すも同じ結果に。
すごいのは、そんな我々のために電車が(もちろん乗客のみなさんも)待ってくれたってこと。
さらにもっとすごかったのは、とうとう運転手自らが電車から降りて、買えるかどうか試してくれたこと。
結局、タダ乗りをさせてもらって降りることになった。

マルセールまでの切符を買うのに、順番待ちの番号札をもらって待つ。


駅に必ず置いてある、誰でも好きな時に好きなように弾いていいピアノ。電子ピアノとかじゃなくてアコースティック。


電車までの待ち時間に、駅の前にある公園で、ジルが手渡してくれたランチを食べる。


市電が充実している街。






数分おきに天井から水蒸気が噴射される駅の構内。
暑さは少々マシになるけれど、なんというかその、薄着の皆さんからの体臭が入り混じった湿った空気がチト辛かった。


一等車の席のみのランプ。


バイバイモンペリエ。


色とりどり
な市電。


落書きされまくっている貨物列車。


15分遅れでやってきたマルセイユ行きの電車。


おぉ~海だ!


ほんとに落書きが多い。わたしの席の窓だって!


マルセイユに到着。やっぱり暑い。


ポップでアートな不思議なホテル。


部屋からの景色。




ここでの唯一の観光、夕飯を食べに町中に出る。






海辺の通りを15分ばかり歩いた所の小さな港にあるレストランが、手頃な値段で美味しいと教えてもらった。




まだまだすごい熱気。


マルセイユといえばやっぱり魚介。


吠えるカモメ。


日の入りが始まった。


身づくろいする猫さん。


海と夕焼けはどうしてこうも切ないのだろう…。






夕焼けと変なおっさん。


近所に住む超売れっ子コメディアンと同じ名前の通り、ただそれだけです、はい。


夜はさらに楽しくなっていた。






窓の外では、マリアさまが光ってた。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

はじめての、ふたりだけの本格旅行『フランス・オウラス編』

2015年07月13日 | 友達とわたし
7月2日

さあ、リヨンから今度はニーム経由で、南フランスのオウラスという、もうほんとに古い集落のうちのひとつに住む、友人ジルを訪ねる旅に出発!

朝、少し時間があるので、暑さにめげてやってなかった散歩に出かける。

スパイス屋さん


牛の心臓という名前トマト


やっぱり結局叶わなかったポールさんのレストランを、ホテルの外側からこっそりと。


バスの中から、バイバイリヨン。


駅だってもうカンカン照りでめちゃくちゃ暑い!


ジルの家がある村までは、電車でニームまで行き、そこからバスに乗り換える。


やっぱりここでも、ひまわり畑がずっと続いた。今度は少し速度が遅かったからか、少しはひまわりっぽく写せたかも。


ニームのバスの停留所。くどいと言われようが、もうほんとに暑いったらない。




ボクも行きたいから、早よ戻ってきてという声を後に、トイレに急ぐ。


急いでるわりには写真を撮ったりしてるじゃないかと言われそうだけど、日頃から待つのが嫌いな夫のおかげで、歩きながらチャッチャと撮ることができるので、時間的には変わらない(はず)。


公衆といれは有料。70セント。でも、最初に入ったトイレには紙が無かった…。


ありがたいことに、バスにはうっすらと冷房がかかっていた。
ありがたやありがたや~と気分良く揺られていたら、突如全員降りろと言われて外に出た。
冷房の効いているバスは空っぽのまま、エンジンをつけて休憩中。
かんかん照りの空の下、タバコ休憩の運転手と共に20分ほど待つと、やたらと陽気な運転手の乗り換えバスがやって来た。



ラベンダーがミドルネームのジルが、一目見てここだと決めた家。






山からのお水がすこぶる美味い!日本の調味料満載の台所。


牛の心臓トマトをくり抜いて、美味しい手料理を作ってくれた。


漆塗りの箪笥に籐籠、そして藍染や古い家具や道具。
建築家から音楽家の発掘まで、様々な趣味や仕事を通じて集めた、そして20年暮らした日本からの思い出がいっぱい。














いろんな国を旅行して集めた小物たち。




我々のためのゲストルーム。




夜になると、フランスに来て初めて、涼しい…という気温に出会えた。
もうそれだけでありがたくてありがたくて、骨まで熱せられていた体が、ホッと一息ついた気がした。



7月3日

涼しい風が心地よいベランダ。


すぐ下の美しい川の水を使ったプール。


洗濯干し場。


ジルがとても気に入っている、適当に種まきして作った花畑。






本格的コンポスト。


そのすぐ横には、元気が野菜が並ぶ畑。




ここにはほんとに、いろーんな蝶々が飛んでいる。






庭から。








家のすぐ下を流れる、亡くなったご主人とそしてもちろんジルが愛してやまない川。








トンボとミズスマシ。












なに話してるの?


いろんなものが石で作られている。


やけにカラフルなカメムシ。


大文字焼き?


くるみ割り夫婦。


ランチ。


すぐそばのプランターで、わたしをじぃ~っと見つめていた。



車で30分ぐらいの所にある湖ハイキング。


湖の周りを一回り。














地面のちっちゃな花に群がるちっちゃな蝶々。




幹がバラバラに生えているのに、


遠くから見るとこんなふうに見える木。


あの建物はなんだ?と、ズームで撮った写真を見て妄想に耽る大人トリオ。(かなりズームしています)


椅子?


ここにも蝶々。


毒があって食べられないらしい…。


久しぶりに見たてんとう虫。


どこにでも咲いてた花。



こんなに高くて狭い(2台の小型車がギリギリすれ違えるほどの狭さ!)道なのに、基本的にフェンスが無い?!


すごくヤバそうな所だけ、こんなふうに低い石垣があるけれど、役に立つかなあ…。


どこもかしこも崖っぷちなのに‼︎?


カーブだってハンパない。っつか、いっぺんでは曲がれない。


ジルんちから歩いて来られる近くの村。








ネコちゃんたち。






昔は絹産業が盛んで、この大きな建物全体が使われていた。


右側下の通路に、ポツンと置かれていた糸巻き。


どうしよう…写真をついつい撮りたくなってしまいまくり…。






















今も使われている共同洗濯場。




市役所兼小学校。


馬の水飲み場。




倒れそうになった木の補修。なんと、石やらなんやら、詰められそうなものをガンガン詰めておしまい!すごい!


こんなにちっちゃな、それも基本的に観光客を受け入れない方針を守っている村に、美味しいフレンチレストランがある。




フランスのレストランは、基本的に午後2時から7時半までは店を閉める。
夕飯をできるだけ早く食べて、お腹をしっかりと休ませてから眠りたい夫にとっては、ちょいとばかり困った習慣である。
しかも、ほんとはパンもパスタもチーズもだぁ~い好きなのに、健康のためにグルテンと乳製品をやめている夫には、パンとクリームが主流のフレンチ料理は目の毒…。
気の毒としか言いようがないけれど、だからといって食べ控えるようなわたしではない。
ガンガンいただき、ガンガン楽しんだ。
ごめんね。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする