ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「もう一度言う。炉の更新が出来ない延長運転なんて狂気の沙汰だ!」

2021年06月30日 | 日本とわたし
今回の記事は友人の幸雄さんの書いた文章を丸ごとお借りしたものです。
彼はプラント勤務経験者で、だからわたしには難解極まりない原子力発電所の技術関連の事でも、難しい専門書を噛み砕いて話してくれます。
それでもわたしには依然として難しいのですが、彼とは音楽や思想やなんやかんやの深いつながりがあって、だから何となく腑に落ちるのです。
ちなみに彼は、本場アイルランド仕込みのミュージシャンで、リリースされたCDがアイルランドの伝統音楽専門誌の推薦盤として選ばれるほどの実力の持ち主、只者ではありません。
さて、ここしばらくの間、コロナ禍やオリンピック騒動で人々の関心が外れているからか、こっそりと最悪な法律が強行採決されたりボロボロの原発が再稼働されたりしています。
つい最近も、「40年超原発、全国初の再稼働 関西電力美浜3号機」というニュースが流れていましたが、これは本当にとんでもないことで、決してこっそりと為されたりしてはいけない事だったのです。

では、紹介します。

久々に技術資料になるような硬い本を購入。
――「原発はどのように壊れるか」: 金属の基本から考える――


20年弱という短いながらもプラント勤務経験をした人間の一人として、心から尊敬する高木仁三郎氏が立ち上げた「原子力情報室」からの出版物だ。
本当のところ、興味のある分野なら技術本は結構好きである。
しかし今回は違う。
この度認可された関電の「運転40年越え原発の延長操業」に、とてつもない不安と恐ろしさを感じつつ、延長運転に馬鹿みたいに楽天的な石坂浩二のような輩を論破して世に拡散するには、絶対にこの知識が必要だと思ったからだ。

延長運転の認可には、圧力容器に内封されている試験片(圧力容器と同じ部材を吊るし、定期検査時に脆さなどをテストする)は大きな要素になる。
燃料棒を反応させる圧力容器が、中性子を浴び続ける事によって、金属の持っている柔らかさや伸展性を失い、脆くなっていくのが運転寿命の根幹になるからだ。
その辺りの事は「原子力情報室」のサイトにも詳しく載っているので、参照されたい。
【高浜1・2号機の寿命延長問題 ―原子炉圧力容器のお粗末な監視試験方法―】https://cnic.jp/6471

この試験片に付いては、常々危惧していた事があった。
プラント勤務の間では、運転や設備管理だけではなく、ちょっとした配管を組むことや工作も行ったのだが、ガスによるロウ付けやアーク溶接もその行程で覚えた。
そして、なにより溶接による金属の接合部が一際変質して、母材よりも弱く脆くなる事を実際に知っている。
圧力容器みたいなデカい物を一体成型出来るわけはなく、その製作には溶接が使われている。
試験片には溶接部のあるチップも含まれているのだろうか?という素朴な疑問から、僕の恐怖は始まった。
だから今日、封を開けてまず最初に開いたページも、それに言及しているページだった。
そこには当然、溶接されたチップを入れる事が義務付けされている事が記されていた…。
当たり前だよな…。
でも本当に、義務付けられた通りに実施し、チェックしているか?は怪しい。
何といっても格納容器にヒビが入っていても隠して運転しちゃうような、危ない事業者がゴロゴロ居るのが原子力村だから…。
それに、40年間に渡って中性子を浴びた圧力容器の溶接部が、健全でいられると思うほど僕は楽天的ではないし、圧力容器に接合されている配管類のシールや肉痩せも気になる。

上記の「原子力情報室」のリンク記事には――
「運転40年を超える高浜1号機の圧力容器内に置かれた監視試験片の脆性遷移温度は、2009年の取出しにおいて99℃に達し――」なんて部分がある。
これはどういう事かと言うと――
例えば…大地震などが起き、緊急停止のインタロックが掛かって燃料棒カバーが下り、緊急冷却用の冷却水が注水される――その冷却水の水温が99℃以上じゃないと、圧力容器がカシャンと割れるという事になる。
それを予防するには、常に沸騰する湯を冷却用に用意しておかねばならない。
果たして冷却水用に湯を常時沸かしているような設備が、延長運転する炉の設備に供えられているのかね?
手っ取り早いのは、タービンを回すスチームとの熱交換器を増設する、という辺りになるんだろうが、それだって普段からテストの機会なんて極僅かだろう…福一の事故での冷却失敗を思い出す。
だからと言って、水温20度前後の処理水・地下水とか勘弁してくれ、間違いなく「美しい日本」は滅びる

鋼鉄製の炉が割れる――など、俄かには信じたくない事かも知れないが、中性子を浴びていない船舶などでも脆性破壊で船体がボッキリと折れる事故などザラだからね。
だから言わせて貰えば、延長運転なんて狂気の沙汰だ。

最後に、この件に関する「日経新聞」と「東京新聞」の記事を添付しておく。
例え中央操作室の制御盤をデジタルに更新しようが、圧力容器自体が40年以上前の溶接物ではお門違いも甚だしいのだ。
もう一度言う、炉の更新が出来ない延長運転なんて狂気の沙汰だ!

「40年超原発、全国初の再稼働 関西電力
「関電美浜原発3号機が再稼働 運転開始40年超の老朽原発で初めて」
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「下着の色は白」?アホな校則は蹴っ飛ばせ子どもたち!

2021年06月30日 | ひとりごと
1972年7月7日、田中角栄氏が史上最年少の54歳で、第64代内閣総理大臣に就任した。
ちょうどその日はNHKラジオのインタビューを受けることになっていたのだけど、そのせいでドタキャンされてしまった。
だから結構今でもふと思い出しては、角栄さんに文句を言っている😅
さて、その時中学3年生だったわたしがどうしてインタビューを受けることになっていたかというと、当時の全校生徒600人以上規模の学校で、女生徒が生徒会の会長をしているのがたまたまわたしだけだったからで、
どんなことを聞かれてもいいように散々考えて用意した言葉の数々が、角栄さんのせいで無用の長物となってしまった。

わたしがどうして会長に選ばれたかというと、選挙運動中に二つの校則を無くすという公約を掲げたからで、その二つの校則とは男子の丸刈りと制服の詰襟ボタンをきちんと上まで留めるというものだった。
今からもう半世紀も前の1972年、昭和47年のことだ。
思った以上の反発と抵抗を受けてたじろいだが、教師や教育委員会の連中と話し合いを重ね、とうとうその二つの校則は廃止された。
全校生徒を前にひな壇に上り、マイクを通してそのことを報告した時の男子生徒たちの表情を、今でもはっきりと思い浮かべることができる。
だからわたしは今も、校則についてはちょっとうるさい。
自分の好み、自分の物差しで測った正しさ、見た目の良さなどを、それが子どもたちにとって不快であっても意味が無いものであっても押し付けるのは間違っている。

先日、あるツイッターが目に止まった。
元記事はこれ。
読んでみて、あまりのことに何回も記事の日付を確認したけど、やっぱり今年の、それも3日前の記事だった。

これがきっかけで関連する記事をあれこれ探していたら、去年はツーブロック禁止という言葉でにぎわっていたことを知った。
恥ずかしながらツーブロックの意味を知らなかったので調べてみたら、なんのこっちゃない、こちらではずいぶん前からちっちゃな坊やからおじいちゃんまでやってるヘアスタイルのことだった。
一体これのどこがダメなのか、何度読み直しても意味がわからない。
都の教育委員会の連中は、「ツーブロックスタイルの外見が原因で事件や事故にあうケースがあるので、生徒を守る趣旨から定めている」と言うが、「そんな前例があったのか」と聞かれると「まだ無い」と言う。
年寄りだか中年だか知らないが、連中の歪んだ妄想が生んだ意味不明な校則を押し付けられる生徒はたまったものではない。
さすがにこれはおかしいということになったのか、ツーブロックスタイルを禁止する校則は廃止が相次いでいるようだけど、なぜか「下着は白」という変態紛いの校則はまだ生き残っている。
一体全体どうなっているんだろう。
半世紀前の1972年ならまだしも、今は2021年なのである。
もしこんなバカバカしい校則が当時にあったなら、わたしはそれらも全力で廃止に持ち込んだだろう。
下着が白色かどうか、絵柄が入ってないかどうか、教師が目視で調べるのだが、その際に男女同室の学校もあり、しかも互いが見えると言うではないか。
そんなのはもう教育でも守護でもない、壮大なモラハラ&セクハラ&パワハラの精神的暴力だ。
子どもにだってプライバシー権がある。
自民党の輩のように「子どもは厳しく飼い慣らす必要がある」などと考えているクルクルパーが、教育の世界から一人残らず追い出されますように!
黙ってちゃいけないよ。
一人だと言いにくいだろうから、声をいっぱい集めて闘えばいい。
がんばれ子どもたち!
大人も間違うしバカなこともする。
おかしいと思ったら我慢なんかしなくていい。
どんどんいこう!
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