わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

乾燥に付いて 2(トラブル)

2009-04-24 17:55:38 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
乾燥時に色々トラブルが発生しますが、大まかには、次の二点です。

1) 作品が変形する。

2) 作品に、「ひび」や「割れ」が発生する。

  何れも、乾燥により、粘土が収縮する事が、最大の原因です。

では、順番に説明して行きます。

1) 作品が変形する。

 ① 手捻りで造った、平たい作品は、縁が盛り上がり、凹んだ形に成ります。

   乾燥は、最初に土の表面から、始まります。更に下面より上面の方が、速く乾きます。

   上面の表面が乾燥すると、内部の水分は、表面に吸い取られる様に、移動します。

   縁は中央部分より、速く乾燥します。

  尚、原則的には、上記のようにして、乾燥が進みますが、表面が乾燥を始めると、内部の水分は、

   表面に、移動するのではなく、逆方向に逃げる(移動する)現象が見られます。

   特に急激に乾燥させた場合(ドライヤー、天日干)に、良く見られます。

   その際には、反対側に板など、吸水し易い物を置きます。

   この様にして、全体が乾燥するのですが、下面は板や台に載せられ、空気に触れる面積が少なく、

   乾燥も遅く成ります。

   乾燥の速い順序に、収縮が始まります。それ故、凹の形に変形します。

  ・ 対策として、

   ) 両面が同時に乾燥する様に、網などの上に、作品を置く方法も有りますが、余り効果が有りません。

   ) 縁の周りに、布などを掛け、中央部と同じ具合に乾燥させる。

   ) 一番効果的なのは、半日又は、一晩置いた作品が、変形していたら、やや力を入れて、

     補正する事です。(乾燥し過ぎてから、この補正すると、「ひび」が入ります。)

   ) 両面を均一に乾燥させるには、作品を立て掛ける事ですが、立て掛けられる程、乾燥が

     進むと、変形の進み具合は、少なく成ります。(効果が少ない)

     それ故、何らかの方法で、生乾きの状態で立て掛ければ、良いのですが、中々良い方法が、

     思い付きません。

  ② 粘土の記憶制による変形

    粘土は、力を入れて形を造ると、元の形に戻ろうとする、性質が有ります。

    特に乾燥とともに、戻る力は強く成ります。

  ) 電動ロクロで皿を造ると、皿の深みが増します。

    一般的に、鉢の様な形から、口縁を拡げ皿を作ります。

    即ち、立っている土を、寝かせる様にします。それ故、乾燥とともに、元の形に戻ろうとし、

    土が、立ち上がります。

   ・ 対策: 生乾きの状態でも、口縁は立ち上がります。

      そこでもう一度ロクロに載せ、ロクロ挽きし、形を補正します。

  ) 急須の注ぎ口や、鶴首の様な細長い作品は、変形し易いです。

    電動ロクロでは、土は螺旋状に上に伸び、作品を形作ります。

    乾燥とともに、螺旋を戻す方向に、変形します。

   対策: 鶴首などは、巻き戻す現象が起きても、全体的にほとんど影響有りません。

      急須の注ぎ口先端が、丸い場合も、さほど問題に成りません。

    ・ 問題は、先端を、斜めにカットした場合です。

      乾燥後、カット部分が、予定の位置から「ねじれ」易いです。

以下、次回に続来ます。

 陶芸の窯焚き(素焼) 
コメント
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