わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の話 7 (基礎釉2)

2010-03-07 21:57:01 | 釉薬の調合と釉を掛ける
前回に続き、ブリストル釉について、述べます。

4) ブリストル釉の調合例 の解説

  前回、6種類の調合例を、紹介しました。この調合例について、解説したいと、思います。

 ① 透明釉、マット釉、乳濁釉のいずれであるかを、見極める。

   前に説明した様に、アルミナ(Al2O3):シリカ(SiO2)の比によって、どの様な釉に成るかが、

   決まります。透明釉は、アルミナ:シリカ= 1:8~12(モル)の場合で、アルミナが多いと、

   マット釉に、シリカが多いと、乳濁釉に成ります。

 ② 調合例を、モル数で書き換える

   )化学分析から、各原料100g当りの、含有量と、モル数は、以下の様に、表せられます。

     (出展:入門 やきものの科学 共立出版社)

 
              SiO2   Al2O3   Fe2O3   CaO   MgO   K2O    NaO  
    
  ・ 福島長石 %  66.74   18.57   0.18    0.24    -     0.42    3.48

       モル数   1.111   0.182                      0.111    0.056

  ・ 福島珪石 %  98.62    0.56   0.03    -     -     0.05    0.28
      
       モル数   1.643

  ・ 朝鮮カオリン%  45.82   37.27   0.58     0.60     0.25   0.54   0.46

       モル数   0.764   0.366           

  ・ 石灰石  %   0.40    0.2    0.22     55.05    0.04  0.05    0.20

       モル数                       0.983


  ) 以上のデータより

     (計算が続きますので、興味の無い方は、読み飛ばし、結論だけを、見てください。)

    3)-①の調合例は、長石の、SiO2は、100g当り1.111モルですから、61.0gでは、

      61.0/100*1.111=0.678モルと成ります。

      同様に、Al2O3は、61.0/100*0.182=0.111モルに成ります。

          KO+NaOは、61.0/100*(0.111+0.056)=0.102モルと成ります。

     ・ 珪石は11.0gで、SiO2は、11.0/100*1.643=0.181モルに成ります。

     ・ 朝鮮カオリンは14.0gで、SiO2は、14.0/100*0.764=0.107モル

              Al2O3は、14.0/100*0.366=0.051モル

     ・ 石灰石は6.0gで、CaOが、6.0/100*0.983=0.058モルです。

     ・ 亜鉛華は、1モルは、81.4gですので、10gでは、10/81.4=0.123モルです。

    以上まとめると、

     SiO2の合計は、(長石)0.678+(珪石)0.181+(カオリン)0.107=0.966モル

     Al2O3の合計は、(長石)0.111+(カオリン)0.051=0.162モル

     アルカリ成分は、(長石)0.102+(石灰石)0.058+(亜鉛華)0.123=0.283モルと成ります。

   ) 以上の事を、ゼーゲル式で、表すと、

      0.283 RO ・ 0.162 Al2O3 ・ 0.966 SiO2 と成りますが、ゼーゲル式は、ROを1としますので、

      全体に、1/0.283を乗じます。すると、3)-①の調合例では、以下の様に表せます。

      RO ・ 0.572 Al2O3 ・ 3.413 SiO2 と成ります。

  ③ 同様にして、他の5種類を、ゼーゲル式で表すと、以下の様に、成ります。

以下次回に続きます。


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