前回に続き、ブリストル釉について、述べます。
4) ブリストル釉の調合例 の解説
前回、6種類の調合例を、紹介しました。この調合例について、解説したいと、思います。
① 透明釉、マット釉、乳濁釉のいずれであるかを、見極める。
前に説明した様に、アルミナ(Al2O3):シリカ(SiO2)の比によって、どの様な釉に成るかが、
決まります。透明釉は、アルミナ:シリカ= 1:8~12(モル)の場合で、アルミナが多いと、
マット釉に、シリカが多いと、乳濁釉に成ります。
② 調合例を、モル数で書き換える
)化学分析から、各原料100g当りの、含有量と、モル数は、以下の様に、表せられます。
(出展:入門 やきものの科学 共立出版社)
SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO MgO K2O NaO
・ 福島長石 % 66.74 18.57 0.18 0.24 - 0.42 3.48
モル数 1.111 0.182 0.111 0.056
・ 福島珪石 % 98.62 0.56 0.03 - - 0.05 0.28
モル数 1.643
・ 朝鮮カオリン% 45.82 37.27 0.58 0.60 0.25 0.54 0.46
モル数 0.764 0.366
・ 石灰石 % 0.40 0.2 0.22 55.05 0.04 0.05 0.20
モル数 0.983
) 以上のデータより
(計算が続きますので、興味の無い方は、読み飛ばし、結論だけを、見てください。)
3)-①の調合例は、長石の、SiO2は、100g当り1.111モルですから、61.0gでは、
61.0/100*1.111=0.678モルと成ります。
同様に、Al2O3は、61.0/100*0.182=0.111モルに成ります。
KO+NaOは、61.0/100*(0.111+0.056)=0.102モルと成ります。
・ 珪石は11.0gで、SiO2は、11.0/100*1.643=0.181モルに成ります。
・ 朝鮮カオリンは14.0gで、SiO2は、14.0/100*0.764=0.107モル
Al2O3は、14.0/100*0.366=0.051モル
・ 石灰石は6.0gで、CaOが、6.0/100*0.983=0.058モルです。
・ 亜鉛華は、1モルは、81.4gですので、10gでは、10/81.4=0.123モルです。
以上まとめると、
SiO2の合計は、(長石)0.678+(珪石)0.181+(カオリン)0.107=0.966モル
Al2O3の合計は、(長石)0.111+(カオリン)0.051=0.162モル
アルカリ成分は、(長石)0.102+(石灰石)0.058+(亜鉛華)0.123=0.283モルと成ります。
) 以上の事を、ゼーゲル式で、表すと、
0.283 RO ・ 0.162 Al2O3 ・ 0.966 SiO2 と成りますが、ゼーゲル式は、ROを1としますので、
全体に、1/0.283を乗じます。すると、3)-①の調合例では、以下の様に表せます。
RO ・ 0.572 Al2O3 ・ 3.413 SiO2 と成ります。
③ 同様にして、他の5種類を、ゼーゲル式で表すと、以下の様に、成ります。
以下次回に続きます。
4) ブリストル釉の調合例 の解説
前回、6種類の調合例を、紹介しました。この調合例について、解説したいと、思います。
① 透明釉、マット釉、乳濁釉のいずれであるかを、見極める。
前に説明した様に、アルミナ(Al2O3):シリカ(SiO2)の比によって、どの様な釉に成るかが、
決まります。透明釉は、アルミナ:シリカ= 1:8~12(モル)の場合で、アルミナが多いと、
マット釉に、シリカが多いと、乳濁釉に成ります。
② 調合例を、モル数で書き換える
)化学分析から、各原料100g当りの、含有量と、モル数は、以下の様に、表せられます。
(出展:入門 やきものの科学 共立出版社)
SiO2 Al2O3 Fe2O3 CaO MgO K2O NaO
・ 福島長石 % 66.74 18.57 0.18 0.24 - 0.42 3.48
モル数 1.111 0.182 0.111 0.056
・ 福島珪石 % 98.62 0.56 0.03 - - 0.05 0.28
モル数 1.643
・ 朝鮮カオリン% 45.82 37.27 0.58 0.60 0.25 0.54 0.46
モル数 0.764 0.366
・ 石灰石 % 0.40 0.2 0.22 55.05 0.04 0.05 0.20
モル数 0.983
) 以上のデータより
(計算が続きますので、興味の無い方は、読み飛ばし、結論だけを、見てください。)
3)-①の調合例は、長石の、SiO2は、100g当り1.111モルですから、61.0gでは、
61.0/100*1.111=0.678モルと成ります。
同様に、Al2O3は、61.0/100*0.182=0.111モルに成ります。
KO+NaOは、61.0/100*(0.111+0.056)=0.102モルと成ります。
・ 珪石は11.0gで、SiO2は、11.0/100*1.643=0.181モルに成ります。
・ 朝鮮カオリンは14.0gで、SiO2は、14.0/100*0.764=0.107モル
Al2O3は、14.0/100*0.366=0.051モル
・ 石灰石は6.0gで、CaOが、6.0/100*0.983=0.058モルです。
・ 亜鉛華は、1モルは、81.4gですので、10gでは、10/81.4=0.123モルです。
以上まとめると、
SiO2の合計は、(長石)0.678+(珪石)0.181+(カオリン)0.107=0.966モル
Al2O3の合計は、(長石)0.111+(カオリン)0.051=0.162モル
アルカリ成分は、(長石)0.102+(石灰石)0.058+(亜鉛華)0.123=0.283モルと成ります。
) 以上の事を、ゼーゲル式で、表すと、
0.283 RO ・ 0.162 Al2O3 ・ 0.966 SiO2 と成りますが、ゼーゲル式は、ROを1としますので、
全体に、1/0.283を乗じます。すると、3)-①の調合例では、以下の様に表せます。
RO ・ 0.572 Al2O3 ・ 3.413 SiO2 と成ります。
③ 同様にして、他の5種類を、ゼーゲル式で表すと、以下の様に、成ります。
以下次回に続きます。