わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の話 8 (基礎釉3)

2010-03-08 21:36:59 | 釉薬の調合と釉を掛ける
前回に続き、ブリストル釉について、述べます。

4) ブリストル釉の調合例 の解説

  ③ 他の5種類を、ゼーゲル式で表すと、以下の様に、成ります。

    3)-①は RO ・ 0.572 Al2O3 ・ 3.413 SiO2 と成ります。 アルミナ:シリカ=1:5.97

      -②は RO ・ 0.532 Al2O3 ・ 2.607 SiO2     1: 4.90

      -③は RO ・ 0.536 Al2O3 ・ 3.124 SiO2     1: 5.82

      -④は RO ・ 0.398 Al2O3 ・ 1.668 SiO2    1: 4.19

      -⑤は RO ・ 0.312 Al2O3 ・ 3.120 SiO2    1: 10.0

      -⑥は RO ・ 0.792 Al2O3 ・ 5.048 SiO2     1: 6.37

  ④ 上記のデータから

    ) 透明釉に成るのは、3)ー⑤の、調合の場合のみです。

    ) 他の調合は、マット系に、なっています。

       この釉を、透明釉にするには、珪石(SiO2成分)を、増やす必要が有ります。

    ) このマット系の中で、一番熔け易い釉は、3)-④の調合で、一番熔け難い釉は、

       3)-⑥の調合です。上記調合例は、全体に、融点が低いです。石灰石や、亜鉛華又は、

       両方の分量を、減らして、温度を上昇させた方が、良いでしょう。    

      ・ Al2O3とSiO2nの値が、小さい時は、熔け易く、大きいと熔け難く成ります。

        但し、値が小さいと、貫入が入り易く、成ります。

  ⑤ 福島長石を、釜戸長石に換える。

    上記データは、長石に、福島長石を、使用して計算しましたが、余り良い結果が、出ませんでした。

    ) 釜戸長石は、福島長石より、アルミナ成分が、少なく、シリカ成分は多く成ります。

       又、アルカリ成分は、少なく成り、融点を上げます。

    ) 化学分析値を示すと、以下の様に成ります。(100g当り)

      ・ 福島: Al2O3が、0.182モル SiO2が、1.111モル アルカリが、0.164モル

      ・ 釜戸:       0.143モル      1.267モル         0.124モル

    ) 釜戸長石で計算し直すと、3)-③のゼーゲル式は、以下の様に成ります。

       RO : 0.546 Al2O3 : 4.375 SiO2 となります。

       アルミナ:アルカリ= 1:8.01となり、透明釉と成ると共に、融点も高くなりました。

    ) 同様に、3)-①、ー⑥の調合例も、透明釉に成るはずです。

 以上の事から、調合には、福島より、釜戸長石の方が、適している様に、思われます。

以上は、理論値です。当然原料の成分も、「ばらつき」が有り、窯の構造や、焼成温度などで、

調合通りでも、上手く行かないでしょう。その場合には、適宜、調合を変化して下さい。

次回は「灰釉」、灰立ての調合について、述べます。    

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