透明釉と同じ様に、乳濁釉や、マット釉(艶消し釉)も、人気のある釉です。
透明釉でない、これらの釉を、失透釉と呼びます。失透には、釉のガラスの中に、微細な結晶が、
浮遊している物(マット釉)と、分相と呼ばれる、二つのタイプ(乳濁釉)が有ります。
その調合について、述べたいと思います。
1) ゼーゲル式で、「アルミナ」:「シリカ」は、透明釉で1:8~12モル、マット釉で、1:3~5モル
乳濁釉で、1:12~14モル程度です。但し 「シリカ」を増やし過ぎると、不溶性のマット釉に
成ります。
2) 乳濁釉を作る
ゼーゲル式より、アルカリ成分より、シリカ成分を、増やせば、乳濁する事が、判ります。
① 分相(ぶんそう): 釉の中の、ガラス成分が、変化を起し、ガラスでありながら、互いに熔けて
混ざり合わ無い、現象を分相といいます、その為失透する物を、乳濁と呼んでいます。
② 珪石、マグネサイト、タルク(滑石)、藁灰、土灰、骨灰、酸化チタンなどを添加する。
分相を起す、添加物は、上記の物質です。
③ 乳濁剤である、ジルコン(酸化ジルコニウム、ジルコニア)、酸化錫、亜鉛華を、添加する。
上記原料は、釉に溶け込み、冷却と共に、結晶を生成し、乳濁します。
④ 乳濁釉には、藁白釉(石灰系、灰系)、白萩釉、卯(鵜)の斑(ふ)釉、乳白釉が有ります。
調合例 藁白釉 :) 三雲長石20、 土灰30、 藁灰50 (重量比)
) 三雲長石30、 藁灰30、 石灰石 40
卯の斑 : ) 土灰30、 籾灰50、 長石 20
3) マット(艶消し)釉を作る
上記2)-③の乳濁剤は、少量ですと、結晶化せず、乳濁しますが、量が増えたり、焼成の仕方に
より、微細な結晶が発生し、光が、結晶に当り、乱反射し、マット釉薬に成ります。
粒子が細かく、屈折率も高く、反射が大きい程、白さが増します。
・ 光沢の無い釉を、マット釉と言いますが、光沢の無い、透明マットも、存在します。
① 良いマットを出す為には、窯の冷やし方(冷まし方)に、関係します。
「ゆっくり」と、冷やす方が、良いマットに成ります。小さな窯や、壁の薄い窯では、冷却速度が
早く、結晶が出来難いです。又、釉の厚みも、厚い方が、良い結果が出易いです。
② 微細な結晶が、大きく成長した物が、結晶釉に成りますが、後日述べる予定です。
③ マット釉には、カオリンマット、藁灰マット、チタンマット、タルクマット、亜鉛マット
リチウムマット、バリウムマットなど、添加物によって、名前が付けられています。
又、色相から、白マット、黒マット、クリームマット、鉄マット、白鳳マットと呼ばれる、マット釉が
市販されています。
調合例1 タルク(滑石)マット釉(重量比、外割り)Sk-9(1280℃)
) 長石30、 珪石50、 カオリン20の基礎釉に、タルクを10~50
) 長石50、石灰石50の基礎釉に、タルク20~50
) 長石50、滑石50の基礎釉に、タルク30~80
調合例2 SK-8(1250℃)釉
) 長石30、珪石17、石灰石23、ロウ石30
) 長石55、いす灰30、藁灰10、酸化錫10
) 長石30、いす灰30、藁灰40、酸化錫5
調合例3 SK-4a(1160℃)釉
) 長石45.5 石灰石20.4 カオリン21.1 亜鉛華9.9 酸化錫3.1
③ 不熔性のマットについて、
一般のマット釉は、材料が十分熔けています。しかし、「シリカ」成分が多過ぎると、十分熔けず、
マット化します。その際、釉の表面は、「ザラツいた」感じに成りますので、区別できます。
以下次回に続きます。
乳濁釉 マット釉
透明釉でない、これらの釉を、失透釉と呼びます。失透には、釉のガラスの中に、微細な結晶が、
浮遊している物(マット釉)と、分相と呼ばれる、二つのタイプ(乳濁釉)が有ります。
その調合について、述べたいと思います。
1) ゼーゲル式で、「アルミナ」:「シリカ」は、透明釉で1:8~12モル、マット釉で、1:3~5モル
乳濁釉で、1:12~14モル程度です。但し 「シリカ」を増やし過ぎると、不溶性のマット釉に
成ります。
2) 乳濁釉を作る
ゼーゲル式より、アルカリ成分より、シリカ成分を、増やせば、乳濁する事が、判ります。
① 分相(ぶんそう): 釉の中の、ガラス成分が、変化を起し、ガラスでありながら、互いに熔けて
混ざり合わ無い、現象を分相といいます、その為失透する物を、乳濁と呼んでいます。
② 珪石、マグネサイト、タルク(滑石)、藁灰、土灰、骨灰、酸化チタンなどを添加する。
分相を起す、添加物は、上記の物質です。
③ 乳濁剤である、ジルコン(酸化ジルコニウム、ジルコニア)、酸化錫、亜鉛華を、添加する。
上記原料は、釉に溶け込み、冷却と共に、結晶を生成し、乳濁します。
④ 乳濁釉には、藁白釉(石灰系、灰系)、白萩釉、卯(鵜)の斑(ふ)釉、乳白釉が有ります。
調合例 藁白釉 :) 三雲長石20、 土灰30、 藁灰50 (重量比)
) 三雲長石30、 藁灰30、 石灰石 40
卯の斑 : ) 土灰30、 籾灰50、 長石 20
3) マット(艶消し)釉を作る
上記2)-③の乳濁剤は、少量ですと、結晶化せず、乳濁しますが、量が増えたり、焼成の仕方に
より、微細な結晶が発生し、光が、結晶に当り、乱反射し、マット釉薬に成ります。
粒子が細かく、屈折率も高く、反射が大きい程、白さが増します。
・ 光沢の無い釉を、マット釉と言いますが、光沢の無い、透明マットも、存在します。
① 良いマットを出す為には、窯の冷やし方(冷まし方)に、関係します。
「ゆっくり」と、冷やす方が、良いマットに成ります。小さな窯や、壁の薄い窯では、冷却速度が
早く、結晶が出来難いです。又、釉の厚みも、厚い方が、良い結果が出易いです。
② 微細な結晶が、大きく成長した物が、結晶釉に成りますが、後日述べる予定です。
③ マット釉には、カオリンマット、藁灰マット、チタンマット、タルクマット、亜鉛マット
リチウムマット、バリウムマットなど、添加物によって、名前が付けられています。
又、色相から、白マット、黒マット、クリームマット、鉄マット、白鳳マットと呼ばれる、マット釉が
市販されています。
調合例1 タルク(滑石)マット釉(重量比、外割り)Sk-9(1280℃)
) 長石30、 珪石50、 カオリン20の基礎釉に、タルクを10~50
) 長石50、石灰石50の基礎釉に、タルク20~50
) 長石50、滑石50の基礎釉に、タルク30~80
調合例2 SK-8(1250℃)釉
) 長石30、珪石17、石灰石23、ロウ石30
) 長石55、いす灰30、藁灰10、酸化錫10
) 長石30、いす灰30、藁灰40、酸化錫5
調合例3 SK-4a(1160℃)釉
) 長石45.5 石灰石20.4 カオリン21.1 亜鉛華9.9 酸化錫3.1
③ 不熔性のマットについて、
一般のマット釉は、材料が十分熔けています。しかし、「シリカ」成分が多過ぎると、十分熔けず、
マット化します。その際、釉の表面は、「ザラツいた」感じに成りますので、区別できます。
以下次回に続きます。
乳濁釉 マット釉