5) 梅花皮(かいらぎ)について
前回 釉の「ちぢれ」に付いて述べましたが、この現象を積極的に評価し、取り入れた物に、
茶道の抹茶々碗、特に井戸茶碗があります。
茶碗の一部分のみ、特に高台際に出します。この「ちぢれ」を梅花皮と言い、珍重します。
・ 梅花皮を、器全体に出す事は、それほど難しい事では無い様ですが、高台際にのみ
出すのは、それなりの工夫が、必要です。
前回述べたように、「ちぢれ」は、素地(土)と釉の収縮に差(釉が多く縮む)がある為に
起こります。
・ 茶碗の腰から下に、梅花皮が出るのは、高台部分と器本体との温度差と、言われていますが、
その信憑性は不明です。
即ち、高台は棚板に接している為、器本体より温度が低く、その温度差が20℃程度
有ると、梅花皮が出来るとの事です。
実際には、以下の方法を取る事が多いです。
① 高台削りの際、削った所のみに、梅花皮を出す方法
目の粗い土を削ると、粒子が起きて「ささくれ」が起こります。
「ささくれ」立つと、釉も均等に載らず、濃淡が出来、厚く塗れた部分の釉が寄り集まり、
周囲の薄い釉が、引っ張られて、梅花皮が出来ると、考えられています。
a) 縮緬皺とは、砂気の多い土や、粒子の粗い土を削ると、削った面が「ささくれ」立ちます。
この面を縮緬皺(ちりめんしわ)と呼びます。特に抹茶々碗の高台際や、高台内に出します。
・ 梅花皮を出すには、縮緬皺を作る事が大事な、要素です。
b) 施釉すると、縮緬皺の、凸凹に釉が入り込みます。焼成すると、土と釉は膨張します。
その際、土と釉の接している所の、バランスが崩れ、部分的に釉の、過不足が生じます。
その結果、釉の多い所には、より釉が集まり、梅花皮状に成ります。
② 梅花皮向きの土を使う。
梅花皮は、土が大きく作用します。それなりの土を見つける事です。
・ ポイントは、砂気の多い土を使う事です。(例、唐津の土)
又、粒子の粗い土を使う事です。
③ 焼成温度に付いて
梅花皮を出すには、1230℃~1250℃位が良いと言われています。
温度が高過ぎても、釉が熔けすぎて、出ないそうです。
④ 釉の長石の種類を換える
長石と土の相性で、出方も変化します。長石の種類や、分量を適宜変化させ、
色々試して下さい。
尚、色々な方(陶芸家など)がそれなりの工夫をし、良い梅花皮を出そうとしていますが、
土の種類、窯の種類、燃料、窯の焚き方、焼成温度、削りの仕方、カンナの種類などによって、
出方が違います。
色々説明はしていますが、参考程度にした方が、無難です。
御自分で、試行錯誤をし、自分なりの方法を見つけて下さい。
陶芸釉薬の失敗と対策
皮かいらぎ 梅花
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