「なかくき」様 より以下の質問をお受けしましたので、当方なりのお答え致します。
お聞きしたい事が二つありましてコメントさせていただきます。
一つは、最近気になる器に出会いまして、その器の釉薬についてです。
透明のマットで今まで触ったことがないような”しっとり”した触り心地の釉薬です。
よく観察してみると厚みがあり中にたくさんの気泡が閉じこもっていました。
その気泡は一つも表面に出て来ておらずピンホールになっていません。
こちらのブログの記事にあった「灰などの珪酸成分の多く含む原料を使うと気体物質がでる」と
ゆう情報を参考にいろいろ実験をしはじめたのですが初心者で全くうまくい状況です。
もう一つは、着色剤、顔料、呉須、練り込み顔料、上絵の具、下絵の具などの着色するモノの成分
の違いです。私の調べ方が悪くはっきりと違いがわかりません。
初心者の質問ですみません。ご教授よろしく願いいたします。
明窓窯より
1) 最初の質問ですが 当方では”しっとり”した触り心地の釉についての情報を得ていません。
どのメーカーの釉なのか、又は個人の作家さんの釉なのかも不明ですので、お答えする事は
出来ません。もしメーカー等の情報を頂ければ有り難いです。
2) 一般論ですが、新しい釉が登場した場合、第三者がそれと同じ物を作る事はかなり困難です。
新しい釉を作り出す為に、数年又は十数年か掛かる事は稀ではありません。
長い試行錯誤の末に、ようやく成功するからです。それ故、第三者はその釉を見たからと言って
簡単に作り出す事は困難です。勿論釉のレシピを公表してくれれば良いのですが、苦労して
作り出した釉のレシピを公表する事はありません。それ故、第三者が同じ釉を作る事は、容易
な事では有りません。
3) 気になる点は、「それが本当の釉であるなか?」と言う事です。
厚みが有り、マットで内部に気泡を持ち、表面に気泡の抜け出した跡も無く、”しっとり”感
の有る釉との事ですが、手に触れて見たのでしょうか?
もしかしたら、ガラス質の釉以外の物の可能性は有りませんか?例えば、発泡性の塗料を吹き
付けたり、プラスチックの様な物で表面をコーテングした物とか、気泡状の物を表面に塗って
その上からニスや漆、塗料などを塗る等の方法を採用している可能性は皆無ですか?
新しい釉に挑戦する前に、手に持って確認できれば良いのですが・・・
もし本物の釉ならば、苦労する事を覚悟の上、挑戦して下さい。
世の中には、紛らわしい物も多いですので、注意が必要です。
4) 着色剤、顔料、呉須、練り込み顔料、上絵の具、下絵の具などの着色するモノの成分の違い
に付いて。
① 着色には、素地(粘土)や釉、更に絵付けがあり、次の様に分類されます。
着色剤の主な原料は、各種の金属です。複数の金属を混ぜたり、金属類の添加量によって色
も変化します。更に、焼成する温度や焼成環境(酸化、還元など)によって、発色も変化し
ます。この金属類に釉の原料の一部を添加した物の中に、釉の着色剤として利用できます。
ⅰ) 全てに利用できる着色剤
そのままで、利用できる代表的な物が弁柄などの酸化鉄です。その他、酸化銅、呉須
(酸化コバルト)等です。前二者は本焼き程度の温度で、素地や釉の中に溶け込みますので
釉の発色剤として利用できます。酸化鉄は茶、黒、赤、緑(青磁)など多彩に発色します
呉須は熔けは甘いですが、瑠璃色釉として利用できます。
絵の具としても利用できます。即ち釉や素地との相性が良いからです。但し、上絵の具は
低い温度(800℃程度)で焼成しなければ発色しません。
ⅱ) 素地のみに利用できる着色剤
市販されているのが、練り込み顔料です。勿論化粧土にも使う事が出来ます。
但し、釉の中に添加しても、綺麗な色釉には成りません。顔料がガラス状に成らすに、
釉とは分離し粒子状に残り、釉の表面も荒れた状態に成ります。
ⅲ) 素地と釉に利用できる着色剤
下絵付け用の絵の具類(主に金属類)です。絵の具にはガラス質になる成分が含まれてい
ます。但し、下絵の具には、使用できる温度範囲があり、素焼き程度の素地では発色しない
色もあります。又、高過ぎる温度でも発色しません。又焼成の雰囲気で発色にも変化が
あります。
ⅳ) 絵付けのみに利用できる着色剤
上絵の具として利用できる着色剤です。本焼き後の作品の表面の絵付けに使います。
下絵の具より綺麗で鮮明な色(原色に近い色)がでます。鉄、銅、金、銀などの金属類に
ガラスの成分を含ませた物で、本焼きの表面のガラス質と一体になる様(密着)に調合
されています。但し低い温度のみ発色します。尚、何らかの接着剤が添加されている可能性
があります。
② 着色剤の成分の差は、金属の熱的変化(熔け易さ)、釉との相性を良くする材料が添加さ
れているか、高い温度又は低い温度でも発色する事が出来るか(その金属の特性)の差と
言う事になります。
以上、参考にして頂ければ幸いです。
お聞きしたい事が二つありましてコメントさせていただきます。
一つは、最近気になる器に出会いまして、その器の釉薬についてです。
透明のマットで今まで触ったことがないような”しっとり”した触り心地の釉薬です。
よく観察してみると厚みがあり中にたくさんの気泡が閉じこもっていました。
その気泡は一つも表面に出て来ておらずピンホールになっていません。
こちらのブログの記事にあった「灰などの珪酸成分の多く含む原料を使うと気体物質がでる」と
ゆう情報を参考にいろいろ実験をしはじめたのですが初心者で全くうまくい状況です。
もう一つは、着色剤、顔料、呉須、練り込み顔料、上絵の具、下絵の具などの着色するモノの成分
の違いです。私の調べ方が悪くはっきりと違いがわかりません。
初心者の質問ですみません。ご教授よろしく願いいたします。
明窓窯より
1) 最初の質問ですが 当方では”しっとり”した触り心地の釉についての情報を得ていません。
どのメーカーの釉なのか、又は個人の作家さんの釉なのかも不明ですので、お答えする事は
出来ません。もしメーカー等の情報を頂ければ有り難いです。
2) 一般論ですが、新しい釉が登場した場合、第三者がそれと同じ物を作る事はかなり困難です。
新しい釉を作り出す為に、数年又は十数年か掛かる事は稀ではありません。
長い試行錯誤の末に、ようやく成功するからです。それ故、第三者はその釉を見たからと言って
簡単に作り出す事は困難です。勿論釉のレシピを公表してくれれば良いのですが、苦労して
作り出した釉のレシピを公表する事はありません。それ故、第三者が同じ釉を作る事は、容易
な事では有りません。
3) 気になる点は、「それが本当の釉であるなか?」と言う事です。
厚みが有り、マットで内部に気泡を持ち、表面に気泡の抜け出した跡も無く、”しっとり”感
の有る釉との事ですが、手に触れて見たのでしょうか?
もしかしたら、ガラス質の釉以外の物の可能性は有りませんか?例えば、発泡性の塗料を吹き
付けたり、プラスチックの様な物で表面をコーテングした物とか、気泡状の物を表面に塗って
その上からニスや漆、塗料などを塗る等の方法を採用している可能性は皆無ですか?
新しい釉に挑戦する前に、手に持って確認できれば良いのですが・・・
もし本物の釉ならば、苦労する事を覚悟の上、挑戦して下さい。
世の中には、紛らわしい物も多いですので、注意が必要です。
4) 着色剤、顔料、呉須、練り込み顔料、上絵の具、下絵の具などの着色するモノの成分の違い
に付いて。
① 着色には、素地(粘土)や釉、更に絵付けがあり、次の様に分類されます。
着色剤の主な原料は、各種の金属です。複数の金属を混ぜたり、金属類の添加量によって色
も変化します。更に、焼成する温度や焼成環境(酸化、還元など)によって、発色も変化し
ます。この金属類に釉の原料の一部を添加した物の中に、釉の着色剤として利用できます。
ⅰ) 全てに利用できる着色剤
そのままで、利用できる代表的な物が弁柄などの酸化鉄です。その他、酸化銅、呉須
(酸化コバルト)等です。前二者は本焼き程度の温度で、素地や釉の中に溶け込みますので
釉の発色剤として利用できます。酸化鉄は茶、黒、赤、緑(青磁)など多彩に発色します
呉須は熔けは甘いですが、瑠璃色釉として利用できます。
絵の具としても利用できます。即ち釉や素地との相性が良いからです。但し、上絵の具は
低い温度(800℃程度)で焼成しなければ発色しません。
ⅱ) 素地のみに利用できる着色剤
市販されているのが、練り込み顔料です。勿論化粧土にも使う事が出来ます。
但し、釉の中に添加しても、綺麗な色釉には成りません。顔料がガラス状に成らすに、
釉とは分離し粒子状に残り、釉の表面も荒れた状態に成ります。
ⅲ) 素地と釉に利用できる着色剤
下絵付け用の絵の具類(主に金属類)です。絵の具にはガラス質になる成分が含まれてい
ます。但し、下絵の具には、使用できる温度範囲があり、素焼き程度の素地では発色しない
色もあります。又、高過ぎる温度でも発色しません。又焼成の雰囲気で発色にも変化が
あります。
ⅳ) 絵付けのみに利用できる着色剤
上絵の具として利用できる着色剤です。本焼き後の作品の表面の絵付けに使います。
下絵の具より綺麗で鮮明な色(原色に近い色)がでます。鉄、銅、金、銀などの金属類に
ガラスの成分を含ませた物で、本焼きの表面のガラス質と一体になる様(密着)に調合
されています。但し低い温度のみ発色します。尚、何らかの接着剤が添加されている可能性
があります。
② 着色剤の成分の差は、金属の熱的変化(熔け易さ)、釉との相性を良くする材料が添加さ
れているか、高い温度又は低い温度でも発色する事が出来るか(その金属の特性)の差と
言う事になります。
以上、参考にして頂ければ幸いです。
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