オオヤマネコ様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なに回答します。
【磁器が真っ白になりません】
私は真っ白な磁器の質感が好きになり、何とか自分でも作ってみたいと思って
いる陶芸超初心者です。
中古の小型電気窯を購入し、九谷磁器土、九谷用石灰透明釉を入手し、見よう
見まねで練り、粘土細工をし、完全乾燥、900℃で素焼き、うすピンクになっ
た物に下絵の具で下絵付け→石灰透明釉をかけ、1300℃で焼成しました。
すると、少し縮んでカチコチに硬くなりツヤツヤに焼けましたが、
真っ白にならず、なんだか全体が青みがかった灰色なのです。
絵付けをしなかったものも全て同じ灰色でした。
画像検索をして磁器の単純酸化焼成の見本写真を見てみると、皆肌色がかった
白には見えますが、こんなに灰色のものは見当たりません。
酸化だから?磁土や釉薬の種類?焼き過ぎ?
何がいけないのかまるでチンプンカンプンです。
何とか真っ白な磁器を作ってみたいのですが、どうしたら今の設備で灰色では
ない真っ白な磁器が作れますでしょうか?
どうか何卒ご教示のほどよろしくお願いいたします。
◎ 明窓窯より
最初に当窯では磁器(半磁器は有り)を焼いた事はありませんので、当方の回答も経験に基ずく
ものでは在りませんので、的外れに成る可能性もあります。ご了承下さい。
白く成らない原因として
1) 素地その物が焼成で白く成らない場合
九谷磁器土を入手との事ですが、その際この土を焼成した色見本をご覧に成っていないの
ですか? 陶芸店等では色見本を置いている所が多いです。
一口に九谷磁器土と言ってもメーカーに拠って違いが有る物です。
即ち、轆轤挽し易い様に、又は白さや透光性、青白磁用、艶を出す為等の理由で、
磁土の源土に他の土を混ぜたりして調整しているのが、一般的です。
当然各メーカーに拠ってその混入物や混入割合が異なります。
その結果、九谷磁器土の名で市販されていても、異なる色に成る場合も有ります。
入手した磁器土の焼成された色見本(無釉、施釉した物)が手に入れば良いのですが、
さもなければ写真でも確認下さい。出来ればメカーに問い合わせ下さい。
尚、画像検索では色や形の良く出来た作品のみ表示されますので、当てにしてはいけません。
2) 見本で白く焼ける事が確認できた場合
制作過程で何らかの問題がある事になります。
一番考えらる事は、素地に不純物が混入した場合です。
① オオヤマネコ様の工房では、白磁以外に他の粘土類を使用していますか?
白磁以外に他の土を使用していると、微量ですがこの土が混入する場合があります。
特に、鉄分等の金属類は、素地を汚し色が付きます。
即ち、磁器土は数百回練る必要がありますが、練り台が他の粘土と共用していませんか?
例え、練り台を綺麗に掃除していても、同じ台を使用していれば、混入する可能性
も有ります。
なるべく、保管や粘土類から離して制作する事です。
② カンナ類から鉄粉等が混入する場合。
磁器は削る事で肉薄にします。その際カンナを用いますが、一般に使用するカンナ
ではなく、超鋼の物を使うか、木片を加工したナイフ状の物を使うと良いでしょう。
即ち、乾いた硬い素地を削る際、カンナも削れ(摩耗)鉄粉が素地に混入するのを
防ぐ為です。
③ 釉が汚れている場合。
施釉しない素地片を焼成する。白く焼ければ釉に関係すると思われます。
市販の透明釉に問題がある場合。
ⅰ) 釉は金属製の容器(バケツ等)に保管されていないか?
金属類の錆(さび)が入り込む恐れがあります。
ⅱ) 施釉の際、漬け掛けでは他の素地の作品と同じ共用していないか?
ⅲ) 施釉用具を白磁以外の作品と共用していないか?
④ 石灰透明釉は還元焼成で灰色に成る。
電気窯であるので酸化焼成のはずです。しかしながら何らかの理由で還元焼成に
なる事は無いのでしょうか?例えば、磁器土以外の素地で制作した作品を一緒に
焼成する事はありませんか?
又施釉の仕方(例えば釉の厚み)によって、不透明に成ったり白っぽくなる場合や
水色っぽく成る時もあります。
透明釉に問題が有る場合には、他の透明釉薬(灰系透明釉)等に変更する手も
有ります。
以上決めてになる回答に成っていませんが参考にして下さい。
尚、本ブログをお読みの方で、この件で何らかの情報をお持ちの方がおりましたら
コメント欄に御投稿下さい。
オオヤマネコです。
詳しくアドバイスくださりありがとうございました。
初めて触る粘土、初めての釉薬、初めての焼成と、本当に全てが初めて尽くしでしたので、汚れや鉄分は混入していなさそうです。
思い当たるのは粘土そのものについてです。全てネットショッピングで購入したもので焼成見本は写真でしか見ておりませんでした。
しかしその後も色々調べていたところ、今回明窓窯様に教えていただいたように、「メーカーや原料や等級によって色が変わる」「(ものによっては)九谷はグレーがかった色味が特徴」というような記述をどこかで読みました。
次は他の土を買って色々試してみたいと思います。そしてこのグレー土にも少し愛着が湧いてきたので白さを求めつつグレーの創作もしていきたいと思います!
他にも沢山の為になるアドバイスを本当にありがとうございました。陶芸というのは成分の混入など色々気を配らなくてはならないのですね。
大変勉強させていただきました。
過去記事も読みながらこれからも沢山失敗して勉強させていただきます。
感謝を込めて。
もう一枚お皿も(たたらで半磁器)カンが入ったような割れ方でマグなども同じです。
もう一度同じものを挑戦はしたいと思っていますが不安です、注意点などございますでしょうか。
手轆轤で成形(比較的表面は綺麗と思います少し水が多かったかも)、1250度で亜鉛結晶釉の温度設定、因みに同窯で陶土は割れておりません。