わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 305 陶芸の手順とは22(本焼きの手順2)

2017-09-12 17:09:57 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

4) 本焼きの準備と手順

  作品の窯詰めが無事完了したら、次は本焼きとなります。但し、直ぐに窯焚きに取り掛かる前に

  行うべき確認事項があります。

 ① 設備の点検作業。

  窯本体は勿論、それに付随する諸々の設備や用具の点検です。(以上までが前回の話です。)

  ⅳ) 燃料の残量の点検。

   プロパンガスや灯油等の燃料を使う場合には、次の窯焚きに使う燃料の量以上の十分の量が

    確保されている事を確認する事です。窯焚きを何度か行えば、一回の本焼きでどの程度の

    燃料が必要が、自然と判ってきますが、何らかの理由で、窯の温度が上昇せず、いつも以上

    時間や燃料を使う事も稀ではありません。それ故、十分な量を確保する必要があります。

    タンク等に貯蔵されている灯油などの場合には、残量を示すゲージが付いていますので、

    判別できますが、ボンベに詰められたプロパンガスの場合、直接確かめる方法は中々難しい

    くなります。ガス会社で自動的に点検し補充を行ってくれれば問題ありませんが(メーター

    売りの時)、自分で補充依頼する場合には、常に残量を把握しておく必要があります。

    (主にボンベ売りの場合)前回の交換から何回窯焚きをしたか記帳しておくと便利です。

    尚、一般には複数のボンベを並列で使用し交互に使う事が多いですので、一方が空に成って

    から、注文しても遅くは有りません。

  ⅴ) プロパンガスは、夏場と冬場では気化する条件が変わります。

   液化のプロパンは、周囲から熱を奪い気化します。その為、夏場であれば容易に気化する

   場合でも、冬場や残量の少なくなったボンベでは、ボンベ自体に白い霜が付く事があります。

   こうなると、気化の量が少なくなりガス圧も落ち、温度上昇にも悪い影響を与えます。

   又、夏場であっても、雷雨があるとボンベノの表面に霜が付く事があります。

   尚、プロパンや都市ガスの窯には、自然吸気と強制吸気があります。ブロアー(送風機)で

   空気を強制的に送り込み燃焼させる方法です。強制の方が火力も強く燃焼時間も少なくて済み

   経済的となりますが、焼き上がった作品の表情も多少違いが有ると言われています。即ち、

   一般に自然吸気で軟らかく、強制では硬くなると言われていますが、その差に気がつくのは、

   一部の人かも知れません。

  ⅵ) 温度計の点検。

   以前ですと、炎の色やゼーゲルコーンを用いて温度を見極めていましたが、現在では熱電対

   温度計を使う事が一般的です。窯の中の熱を感知する熱電対部分と、デジタル表示する機器に

   分かれています。前者の故障として保護管の破損があります。多くの場合、作品などや棚板と

   の衝突による衝撃が原因の事が多いです。割れた保護管は交換するのが理想ですが、道具土等

   を詰め込み補修する事が出来ます。保護管の目的は、熱電対を衝撃から守る事と、窯の中の

   炎や有害なガスから守る為です。温度計に通電すると、現在の室温を表示します。但し、

   室内に置かれて一般的な温度計(水銀、アルコール)と若干違いが出る事が多いです。

   熱電対温度計は高温を計る事が多く、低い温度では誤差が生じ易いです。

   通電し温度が安定しない場合には、温度計は故障です。但し、低い温度で温度表示が安定し

   なくても、窯の温度上昇に従い安定化してきます。これは低温部と高温部(又は中温部)と

   測定回路が切り替わる為と思われます。温度計は温度上昇の速度を知る事と、最高温度を知る

   事ですので、低温部が不安定であっても、高温部が正常ならばそのまま使う事ができます。

   温度表示部は、窯の表面に組み込まれている場合と、外付けの場合があります。

   尚、温度計は測定している位置の温度を表示するものですので、容積の多い窯中では温度に

   バラツキが出易いです。一般に窯の上部で高くなります。理想的には複数の温度計で測定したい

   ですが、高価の為単一の場合が多いです。それ故、釉の熔け具合から温度差を予測する必要が

   あります。

以下次回に続きます。

   
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