陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
8) 使用前に行う事。
窯から出した作品は、そのまま販売したり使用する事は出来ません。
見た目では何の問題も無く、完璧な作品と見えても、実際には使用に耐えない作品である可能
性があるからです。
① 割れやひびが無いかを確認する。
大きく割れた作品であれば、容易に見出す事も可能ですが、良く観察しないと判らない場合も
あります。但しここで述べる「ひび」は素地本体に発生した物で、釉に発生する「ひび」即ち貫入
の事では有りません。
ⅰ) 多くの場合、底割れとして表れます。
即ち、底の中央に「I又はS字状」に割れる状態で、内側のみ又は裏面のみに現れる場合と
裏表に貫通して現れる場合があります。一方のみの場合には水漏れを起こさない事が多いの
ですが、貫通した場合には、必ず水漏れを起こします。際どい場合には、太陽や明るい方向に
向けて覗き込みますと、点状の明かりが見える場合は貫通しています。水を入れなくても確認
できますが、不安な場合には水を注ぎ込み確認した方が良いでしょう。勿論補修する方法は
幾つかあります。
ⅱ) 持ち手(取っ手)のある作品(例えばカップ類や土鍋)では、持ち手の根元(本体に接し
ている場所)に「ひび」が入る場合があります。この部分の「ひび」は使用時には常に荷重が
掛り、「ひび」は拡大する方向になります。この部分が取れる事は大変危険です。一般に作品
に「ひび」が入っている場合、作品を指の爪等で弾いてみる事です。
「ひび」が無い場合には、高く澄んだ綺麗な音がしますが、「ひび」の入った作品では、低く
濁った音色になりますので、容易に確認する事ができます。勿論、取っ手がグラグラと動く
様でしたら使い物に成りません。
② 食器用の水漏れ防止剤を使う。
以前でしたら食器以外に使う水漏れ防止剤(有臭)が有りましたが、現在は有毒性が指摘され
ほとんど使わなくなっています。本来しっかり焼き締まった作品では、水が漏る(しもると言い
ます)事はないのですが、焼きが甘かったり、粗めの素地を使うと焼き締まりが弱く、ジワジワ
と染み出てきます。特に花瓶類の様に長い間水を入れる器の場合に起こり勝ちです。
防止剤を少量内側に流し込み、内側全体に掛かる様にし、外に流し出したら、出来れば一晩
放置し乾燥させます。特に目の粗い素地では、流し込んだ状態で半日放置し、防止剤が素地に
吸い込む様にしてから、防止剤を外に出し、一晩乾燥させるとより完璧です。
又陶器類は水を吸い易く、乾燥に時間が掛ます。その為、梅雨時などでは器の高台内や高台脇
に「カビ」が生える恐れが生じます。その為、特に高台内と、畳み付き部分に水漏れ防止剤を
塗っておくと予防する事が出来ます。その他ベタ高台の様に無釉の場所も、筆等で塗るとより
安心です。但し、食器類の内側には、なるべく使用しない方が良いでしょう。何故ならば陶器類
は使用する直前に、水に浸すと若干釉が水を吸い込み、色が綺麗に出る事が多く成るからです。
同様な事は花瓶類の外側にも言えますが、長く放置する物ですので、効果は限定的です。
尚、食器用の水漏れ防止剤は、陶芸材料店で手に入ります。
③ 底(畳付)に砥石を掛ける。
窯から出した作品は、底が荒れています。底にはアルミナを塗ってあり、白くなっている場合
もあります。この部分に砥石を掛けるのは、食卓やテーブルを傷付けない為です。何らかの
理由で食器を滑らせると、食卓などに「かすり傷」ができます。砥石が無い場合には、目の細
かい紙ヤスリを使うと良いでしょう。昔の瀬戸物屋さんでは、高台同士を向かい合わせて、
こすり合わせて滑らかにしましたが、現在では行っていません。陶器の場合、高台が破損する
恐れが生じますので、行わない事です。
更に、棚板の掃除が不十分で、釉の残骸が棚板に乗っている場合、本焼きした本体の底に、
上記釉の残骸がこびり着く場合には、これは取り除く必要があります。多くの場合釉のみの事
は少なく、棚板に塗られたアルミナコーチングも一緒にこびり着いています。これは砥石では
中々削り取り難く、「ダイヤモンドやすり」を使って取り除きます。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
8) 使用前に行う事。
窯から出した作品は、そのまま販売したり使用する事は出来ません。
見た目では何の問題も無く、完璧な作品と見えても、実際には使用に耐えない作品である可能
性があるからです。
① 割れやひびが無いかを確認する。
大きく割れた作品であれば、容易に見出す事も可能ですが、良く観察しないと判らない場合も
あります。但しここで述べる「ひび」は素地本体に発生した物で、釉に発生する「ひび」即ち貫入
の事では有りません。
ⅰ) 多くの場合、底割れとして表れます。
即ち、底の中央に「I又はS字状」に割れる状態で、内側のみ又は裏面のみに現れる場合と
裏表に貫通して現れる場合があります。一方のみの場合には水漏れを起こさない事が多いの
ですが、貫通した場合には、必ず水漏れを起こします。際どい場合には、太陽や明るい方向に
向けて覗き込みますと、点状の明かりが見える場合は貫通しています。水を入れなくても確認
できますが、不安な場合には水を注ぎ込み確認した方が良いでしょう。勿論補修する方法は
幾つかあります。
ⅱ) 持ち手(取っ手)のある作品(例えばカップ類や土鍋)では、持ち手の根元(本体に接し
ている場所)に「ひび」が入る場合があります。この部分の「ひび」は使用時には常に荷重が
掛り、「ひび」は拡大する方向になります。この部分が取れる事は大変危険です。一般に作品
に「ひび」が入っている場合、作品を指の爪等で弾いてみる事です。
「ひび」が無い場合には、高く澄んだ綺麗な音がしますが、「ひび」の入った作品では、低く
濁った音色になりますので、容易に確認する事ができます。勿論、取っ手がグラグラと動く
様でしたら使い物に成りません。
② 食器用の水漏れ防止剤を使う。
以前でしたら食器以外に使う水漏れ防止剤(有臭)が有りましたが、現在は有毒性が指摘され
ほとんど使わなくなっています。本来しっかり焼き締まった作品では、水が漏る(しもると言い
ます)事はないのですが、焼きが甘かったり、粗めの素地を使うと焼き締まりが弱く、ジワジワ
と染み出てきます。特に花瓶類の様に長い間水を入れる器の場合に起こり勝ちです。
防止剤を少量内側に流し込み、内側全体に掛かる様にし、外に流し出したら、出来れば一晩
放置し乾燥させます。特に目の粗い素地では、流し込んだ状態で半日放置し、防止剤が素地に
吸い込む様にしてから、防止剤を外に出し、一晩乾燥させるとより完璧です。
又陶器類は水を吸い易く、乾燥に時間が掛ます。その為、梅雨時などでは器の高台内や高台脇
に「カビ」が生える恐れが生じます。その為、特に高台内と、畳み付き部分に水漏れ防止剤を
塗っておくと予防する事が出来ます。その他ベタ高台の様に無釉の場所も、筆等で塗るとより
安心です。但し、食器類の内側には、なるべく使用しない方が良いでしょう。何故ならば陶器類
は使用する直前に、水に浸すと若干釉が水を吸い込み、色が綺麗に出る事が多く成るからです。
同様な事は花瓶類の外側にも言えますが、長く放置する物ですので、効果は限定的です。
尚、食器用の水漏れ防止剤は、陶芸材料店で手に入ります。
③ 底(畳付)に砥石を掛ける。
窯から出した作品は、底が荒れています。底にはアルミナを塗ってあり、白くなっている場合
もあります。この部分に砥石を掛けるのは、食卓やテーブルを傷付けない為です。何らかの
理由で食器を滑らせると、食卓などに「かすり傷」ができます。砥石が無い場合には、目の細
かい紙ヤスリを使うと良いでしょう。昔の瀬戸物屋さんでは、高台同士を向かい合わせて、
こすり合わせて滑らかにしましたが、現在では行っていません。陶器の場合、高台が破損する
恐れが生じますので、行わない事です。
更に、棚板の掃除が不十分で、釉の残骸が棚板に乗っている場合、本焼きした本体の底に、
上記釉の残骸がこびり着く場合には、これは取り除く必要があります。多くの場合釉のみの事
は少なく、棚板に塗られたアルミナコーチングも一緒にこびり着いています。これは砥石では
中々削り取り難く、「ダイヤモンドやすり」を使って取り除きます。
以下次回に続きます。
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