陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
6) 窯の温度を下げる(窯を冷やす)。
窯の温度を下げる行為も、窯焚きと見なされます。即ち、どの様に温度を下げるかによって、
釉の発色に大きな違いが出るからです。又、窯の冷え方は窯の大きさや壁の厚みにも関係します
ので、単に消火や炙りだけの問題では無く、窯毎に違いがあります。
ⅰ) 窯の冷やし方には、急冷と徐冷があります。(以上が前回までの話です。)
ⅱ) 還元冷却(還元落し)に付いて。
釉の表面や無釉の焼き締め陶の表面に炭素を混入させ、黒褐色の色に仕上げる方法です。
炭化焼成とも呼ばれています。電気窯の場合には外部より還元用のガスを注入します。
a) 炭素成分が素地や釉に入り込む温度は、1100~800℃の冷却時です。温度が高過ぎると
炭素が燃えてしまい、低過ぎると釉が固まり炭素を吸収しなくなります。この間還元雰囲気
をを保持していなければ成りません。窯の冷却が進むと、窯中の炎の対流が弱くなり、
部分的に還元が強くなり、炭素と釉が過剰反応を起こし、釉の表面が「かさつく」場合や、
「ブク」(表面が泡立こと)が発生する事もあります。緩やかな対流にするには、窯詰の際
ある程度隙間を設けて置く事です。
b) 還元用ガスバーナーを使用する場合、バーナー口や色見孔から出てくる炎の色で還元状態
を判断する事になります。バーナー口より炎が僅かに吹き出る程度が良く、強く吹き出る
場合には、強過ぎる事になり燃料の無駄になりますし、炎が吸い込まれ状態では、還元作用
が弱い事になります。空気量を調節し適度の炎にします。
ⅲ) 冷め割れに注意。
窯を冷やす時間が急な場合、作品が割れる事があります。特に600~500℃の間に起こり易い
です。原因は素地中の肉厚の石英が、この温度周辺で結晶構造が変わり、急激に縮むからと
言われえいます。冷め割れた断面には、釉が掛かっていません。更に、割れた断面の角が鋭く
尖っていますので、冷却中に割れた事が判ります。
a) 窯出し出来るまでの冷却時間は、窯を焚いた時間と同等又はそれ以上が必要であると言う
のが一般的です。但し窯の大きさや壁の厚み、作品の量、釉の種類、素地の種類などの要素が
関係しますので、必ずしも全ての窯に当てはまる訳ではありません。
b) 窯の扉を開けて良い温度に付いて。
一般的には100℃以下に成れば窯の扉を開けても、冷め割れは発生せず安心です。
耐急冷性の素地であれば、300℃でも安全であると言う人もいます。当然窯出しには、
窯中を扇風機等で強制的に冷やす必要があります。但し50℃以上では、軍手などの手袋を
使用しないと、火傷(やけど)をしてしまいますので、注意が必要です。
ⅳ) 窯の冷えと貫入との関係。
急冷すると、釉に貫入(小さなヒビ)が入り易くなります。貫入が欲しい場合には、速めに
窯を開け、貫入を望まない場合には、じっくり冷えるのを待つ事です。貫入は窯出し直後が
多く発生しますが、窯出し数日たってから発生する事もあります。
原因は、釉と素地の収縮差によるものです。即ち釉の表面が急激に冷やされ、素地よりも大き
く縮む為です。「チンチン」又は「ピンピン」と乾いた澄んだ音がします。
勿論釉の種類によって貫入の大きさや、網目模様も千差万別です。
尚、貫入は必ずしも欠点とは言えません。「ヒビ」の入った釉を好む人もいます。
7) 窯出しに付いて。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
6) 窯の温度を下げる(窯を冷やす)。
窯の温度を下げる行為も、窯焚きと見なされます。即ち、どの様に温度を下げるかによって、
釉の発色に大きな違いが出るからです。又、窯の冷え方は窯の大きさや壁の厚みにも関係します
ので、単に消火や炙りだけの問題では無く、窯毎に違いがあります。
ⅰ) 窯の冷やし方には、急冷と徐冷があります。(以上が前回までの話です。)
ⅱ) 還元冷却(還元落し)に付いて。
釉の表面や無釉の焼き締め陶の表面に炭素を混入させ、黒褐色の色に仕上げる方法です。
炭化焼成とも呼ばれています。電気窯の場合には外部より還元用のガスを注入します。
a) 炭素成分が素地や釉に入り込む温度は、1100~800℃の冷却時です。温度が高過ぎると
炭素が燃えてしまい、低過ぎると釉が固まり炭素を吸収しなくなります。この間還元雰囲気
をを保持していなければ成りません。窯の冷却が進むと、窯中の炎の対流が弱くなり、
部分的に還元が強くなり、炭素と釉が過剰反応を起こし、釉の表面が「かさつく」場合や、
「ブク」(表面が泡立こと)が発生する事もあります。緩やかな対流にするには、窯詰の際
ある程度隙間を設けて置く事です。
b) 還元用ガスバーナーを使用する場合、バーナー口や色見孔から出てくる炎の色で還元状態
を判断する事になります。バーナー口より炎が僅かに吹き出る程度が良く、強く吹き出る
場合には、強過ぎる事になり燃料の無駄になりますし、炎が吸い込まれ状態では、還元作用
が弱い事になります。空気量を調節し適度の炎にします。
ⅲ) 冷め割れに注意。
窯を冷やす時間が急な場合、作品が割れる事があります。特に600~500℃の間に起こり易い
です。原因は素地中の肉厚の石英が、この温度周辺で結晶構造が変わり、急激に縮むからと
言われえいます。冷め割れた断面には、釉が掛かっていません。更に、割れた断面の角が鋭く
尖っていますので、冷却中に割れた事が判ります。
a) 窯出し出来るまでの冷却時間は、窯を焚いた時間と同等又はそれ以上が必要であると言う
のが一般的です。但し窯の大きさや壁の厚み、作品の量、釉の種類、素地の種類などの要素が
関係しますので、必ずしも全ての窯に当てはまる訳ではありません。
b) 窯の扉を開けて良い温度に付いて。
一般的には100℃以下に成れば窯の扉を開けても、冷め割れは発生せず安心です。
耐急冷性の素地であれば、300℃でも安全であると言う人もいます。当然窯出しには、
窯中を扇風機等で強制的に冷やす必要があります。但し50℃以上では、軍手などの手袋を
使用しないと、火傷(やけど)をしてしまいますので、注意が必要です。
ⅳ) 窯の冷えと貫入との関係。
急冷すると、釉に貫入(小さなヒビ)が入り易くなります。貫入が欲しい場合には、速めに
窯を開け、貫入を望まない場合には、じっくり冷えるのを待つ事です。貫入は窯出し直後が
多く発生しますが、窯出し数日たってから発生する事もあります。
原因は、釉と素地の収縮差によるものです。即ち釉の表面が急激に冷やされ、素地よりも大き
く縮む為です。「チンチン」又は「ピンピン」と乾いた澄んだ音がします。
勿論釉の種類によって貫入の大きさや、網目模様も千差万別です。
尚、貫入は必ずしも欠点とは言えません。「ヒビ」の入った釉を好む人もいます。
7) 窯出しに付いて。
以下次回に続きます。
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