陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
① 陶芸は窯が命です。
② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。
③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。
④ 窯詰めは下部奥から始める。(以上が前回の話です)
⑤ 窯詰めの実際。
施釉した作品が窯の傍にあれば良いのですが、窯から離れている場合には、窯の近くまで持って
来る必要があります。小物であればまとめて運びますが、大きな作品では一個一個運ぶ事になり
ます。窯が屋外にある場合、屋根続きでなければ雨天の日では、窯詰めできません。施釉した
作品に、雨水が当たると剥がれたり、斑(まだら)模様に成ってしまいますので、雨水が当たら
ない様にしなければなりません。出来れば雨天での窯詰めは避けた方が無難です。
ⅰ) 焼き物は「焼き」が大切と述べましたが、良く焼く為には、窯詰めも大切になります。
窯詰めの仕方一つで、焼きの良し悪しが左右されるからです。温度の上昇や酸化還元など色彩
にも関与しますので、窯詰め作業は疎(おろそか)にできません。更に、商業的な窯焚きでは
別ですが、一般は常に同じ様な作品や同一釉のみを使う事は、むしろ稀な事で一回一回異なり、
色々の形の作品や釉を使うのが普通です。その為、毎回窯詰めも異なります。前回良く焼けた
からと言って、次回も同じ様に焼成出来るとは限りません。そこが窯詰めの難しさかもしれま
せん。但し長く同じ窯で焼成し続けていれば、どの様に窯詰めすれば良いかが、自然に会得で
きる様になります。
ⅱ) 棚板の大きさによって棚板に載せられる作品量に限界があります。
それ故、どの作品をどの位置の棚板に載せるかは、ある程度予測して置く必要があります。
和食器の様に、三客又は五客が一揃えと成っている作品では、出来るだけ同じ棚板に載せて焼
くと色合いが似てきます。但し、棚板の端と中央部分では異なる事も多いです。それは作品の
陰に入って炎や熱線の通り道が、端の作品とは異なる為です。特に大物の後ろ側に影響が出易
いです。
ⅲ) 棚板の7~8割程度一杯に成ったら、支柱を立てその上に新たな棚板を乗せます。
一般には同じ大きさの棚板を載せますが、最上部などでは、大きさの異なる棚板を載せる事も
あります。出来るだけ沢山窯詰めしたいのですが、詰め過ぎると温度上昇も弱く「焼き不足」
になる危険性があります。逆に作品の量が少な過ぎる場合にも、温度上昇は悪くなります。
即ち、熱が作品間を素通りし、熱が作品や窯に蓄積されない為です。その場合には、支柱など
ダミーの物を入れ、容積を増やすと良い結果になります。
又、作品の最上部と新たな棚板の隙間も重要になります。素焼きした作品は本焼きすれば、
高さも収縮し自然と隙間も大きくなるので、上の棚板がぶつからないギリギリの高さでも良い
訳ですが、出来れば指一本程度の隙間を残す事で、熱の流れも良くなります。
ⅳ) 横方向に複数枚の棚板を使う場合、一箇所づつ縦に積み上げる方法と、横方向も同時に
積み上げる方法があります。又窯の前後で複数枚の棚板を使う場合には、奥側の棚板を先に
積み上げ、その後に前側の棚板に詰める事で、作業がやり易くなります。特に頭部を窯の中に
差し込む格好での作業ですと、手前側の作品が邪魔に成りますので、窯詰めの順序を考える
必要があります。更に利き手側には常にスペース的に余裕を持つと、作業もはかどりなす。
支柱は三本で行うのが基本ですが、四本で行う事もあります。三本だと上部の棚板が安定する
事と、棚板上に多くの作品を載せる事が可能になります。但し、棚板に「ひび」が入っている
場合には、四本立てる場合もあります。尚、棚板の「ひび」は棚板の幅の1/3程度ならば安全
と言われています。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
① 陶芸は窯が命です。
② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。
③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。
④ 窯詰めは下部奥から始める。(以上が前回の話です)
⑤ 窯詰めの実際。
施釉した作品が窯の傍にあれば良いのですが、窯から離れている場合には、窯の近くまで持って
来る必要があります。小物であればまとめて運びますが、大きな作品では一個一個運ぶ事になり
ます。窯が屋外にある場合、屋根続きでなければ雨天の日では、窯詰めできません。施釉した
作品に、雨水が当たると剥がれたり、斑(まだら)模様に成ってしまいますので、雨水が当たら
ない様にしなければなりません。出来れば雨天での窯詰めは避けた方が無難です。
ⅰ) 焼き物は「焼き」が大切と述べましたが、良く焼く為には、窯詰めも大切になります。
窯詰めの仕方一つで、焼きの良し悪しが左右されるからです。温度の上昇や酸化還元など色彩
にも関与しますので、窯詰め作業は疎(おろそか)にできません。更に、商業的な窯焚きでは
別ですが、一般は常に同じ様な作品や同一釉のみを使う事は、むしろ稀な事で一回一回異なり、
色々の形の作品や釉を使うのが普通です。その為、毎回窯詰めも異なります。前回良く焼けた
からと言って、次回も同じ様に焼成出来るとは限りません。そこが窯詰めの難しさかもしれま
せん。但し長く同じ窯で焼成し続けていれば、どの様に窯詰めすれば良いかが、自然に会得で
きる様になります。
ⅱ) 棚板の大きさによって棚板に載せられる作品量に限界があります。
それ故、どの作品をどの位置の棚板に載せるかは、ある程度予測して置く必要があります。
和食器の様に、三客又は五客が一揃えと成っている作品では、出来るだけ同じ棚板に載せて焼
くと色合いが似てきます。但し、棚板の端と中央部分では異なる事も多いです。それは作品の
陰に入って炎や熱線の通り道が、端の作品とは異なる為です。特に大物の後ろ側に影響が出易
いです。
ⅲ) 棚板の7~8割程度一杯に成ったら、支柱を立てその上に新たな棚板を乗せます。
一般には同じ大きさの棚板を載せますが、最上部などでは、大きさの異なる棚板を載せる事も
あります。出来るだけ沢山窯詰めしたいのですが、詰め過ぎると温度上昇も弱く「焼き不足」
になる危険性があります。逆に作品の量が少な過ぎる場合にも、温度上昇は悪くなります。
即ち、熱が作品間を素通りし、熱が作品や窯に蓄積されない為です。その場合には、支柱など
ダミーの物を入れ、容積を増やすと良い結果になります。
又、作品の最上部と新たな棚板の隙間も重要になります。素焼きした作品は本焼きすれば、
高さも収縮し自然と隙間も大きくなるので、上の棚板がぶつからないギリギリの高さでも良い
訳ですが、出来れば指一本程度の隙間を残す事で、熱の流れも良くなります。
ⅳ) 横方向に複数枚の棚板を使う場合、一箇所づつ縦に積み上げる方法と、横方向も同時に
積み上げる方法があります。又窯の前後で複数枚の棚板を使う場合には、奥側の棚板を先に
積み上げ、その後に前側の棚板に詰める事で、作業がやり易くなります。特に頭部を窯の中に
差し込む格好での作業ですと、手前側の作品が邪魔に成りますので、窯詰めの順序を考える
必要があります。更に利き手側には常にスペース的に余裕を持つと、作業もはかどりなす。
支柱は三本で行うのが基本ですが、四本で行う事もあります。三本だと上部の棚板が安定する
事と、棚板上に多くの作品を載せる事が可能になります。但し、棚板に「ひび」が入っている
場合には、四本立てる場合もあります。尚、棚板の「ひび」は棚板の幅の1/3程度ならば安全
と言われています。
以下次回に続きます。
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