陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
① 陶芸は窯が命です。
② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。(以上が前回の話です)
③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。
ⅰ) 窯の扉には多くの種類があります。但し、薪窯の様に扉と呼ばれる物が無い窯もあります。
ここでは、薪窯に付いての説明は除外します。
一般には、横方向に開閉する方式が多いのですが、上扉型もあります。又シャトル式と呼ばれる
方法は、窯詰めする部分を台車に載せて手前に引き出し、台車の周囲から窯詰めする事が可能
で、窯詰め作業も容易になりすが、窯が大きくなり高価ですので、余り一般的ではありません。
ⅱ) 窯の容積は限られていますので、狭い空間で行う事になります。
その為、手際良く窯詰めしないと、途中でやり直す事も多いです。容積の大きい窯では、複数
の棚板を使います。一枚の棚板には同じ高さの作品を並べるのが一般的ですが、天井部が
アーチ型に成っている窯では、アーチに沿わせて作品の大きさを変える事になります。
尚、特に高さが高い作品は、支柱を必要としない最上部に窯詰めします。
多いトラブルは作品が予定の位置に入らなく事です。窯にはスペースが十分に有るのですが、
どうしても特定の作品が入らない場合があります。作品に一寸した出っ張りがある為や1~2mm
程度高さが高い為など、最初には余り予想もしなかった自体に遭遇する事も多いです。その為
一度窯詰めした作品を外に出し、入れ替え戦をする事も多いです。入れ替えを行うと、周囲の
作品に接触したり、手で持つ為施釉の一部が剥がれる事もありますので、なるべく入れ替えは
しない方が良いです。
ⅲ) 窯内の温度変化は一様ではありません。この事を上手に利用する。
窯の上部は温度上昇が早く、下部は温度上昇は遅いです。容積の大きい窯程この傾向は強い
です。逆に窯が冷える際には、下部が速く上部は遅くなります。その為、釉の種類によって
窯詰めの位置を変えます。即ち、黒天目等の急冷向きの釉は下部に、結晶釉は徐冷向きです
ので、なるべく上部に窯詰めする事が多いです。釉の中には1180℃、1200℃、1230℃、1250℃
など、所定の温度で焼成する様に推奨された釉もあります。一つの窯で複数の釉を使う場合には
この温度差を考慮して、適した位置に窯詰めする必要があります。
④ 窯詰めは下部奥から始める。
ⅰ) 最下部の棚板は、サイコロと呼ばれる直方体の支柱で窯底より浮き上がって敷き詰めし、
棚板の下は熱風や熱線が通りに抜け様にします。複数の棚板を使う場合、高さは揃えます。
但し、棚板同士には、指一本程度隙間を空けます。
ⅱ) 窯詰めをする際、作品の高さに応じて、上部を密に(背の低い作品を並べる)し、
下部に従い段々と疎に(背の高い作品を並べる)にする方法と、上部を疎にし下部を密に
する方法があります。疎の方が炎や熱線が自由に移動できます。その為作品に熱が均等に
伝わり、更には、隣や下の棚板の作品にも熱が移動できます。逆に密であれば、熱がこもり
易くなり局部的に温度も上昇し易くなります。技術書を読むと、窯詰め方法で疎密に関する
事項が記されている記事はほとんど見当たりません。多くの場合、各自工夫を凝らし、窯の
温度が均一に成る様にていると思われます。即ち、決まりが無いのではと思われます。
尚、棚板上に同じ程度の高さの作品を並べ、効率を重視する事が基本ですが、あえて高さの
異なる作品を並べ、炎や熱線を通り易くする方法を取る方もいます。
注: 背の高い作品を並べると多くの場合、作品上部に隙間が出来き、即ち疎(隙間が
大きい)になります。
ⅲ) 作品は両手で持ち、所定の近傍に置いたら少しずつ移動させます。
作品同士の間隔は指一本程度空けます。鶴首の様に上が細い作品では、細い部分を片手で吊る
す様に持てば問題有りませんが、寸胴形の作品では、持った手が邪魔になり、隙間が広くなり
易くなります。そこで徐々に移動させ所定の位置に移動します。但し、棚板上では引っ掛かり
があり、滑らせる事も容易ではありませんので、底を少し浮かせながら移動します。
尚、高さに隙間がある場合は、口縁周辺の内外を両手(又は片手)で持ち上げる様にして移動
する方法もあります。狭い空間ですので各自の方法で慎重に作業する事です。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
① 陶芸は窯が命です。
② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。(以上が前回の話です)
③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。
ⅰ) 窯の扉には多くの種類があります。但し、薪窯の様に扉と呼ばれる物が無い窯もあります。
ここでは、薪窯に付いての説明は除外します。
一般には、横方向に開閉する方式が多いのですが、上扉型もあります。又シャトル式と呼ばれる
方法は、窯詰めする部分を台車に載せて手前に引き出し、台車の周囲から窯詰めする事が可能
で、窯詰め作業も容易になりすが、窯が大きくなり高価ですので、余り一般的ではありません。
ⅱ) 窯の容積は限られていますので、狭い空間で行う事になります。
その為、手際良く窯詰めしないと、途中でやり直す事も多いです。容積の大きい窯では、複数
の棚板を使います。一枚の棚板には同じ高さの作品を並べるのが一般的ですが、天井部が
アーチ型に成っている窯では、アーチに沿わせて作品の大きさを変える事になります。
尚、特に高さが高い作品は、支柱を必要としない最上部に窯詰めします。
多いトラブルは作品が予定の位置に入らなく事です。窯にはスペースが十分に有るのですが、
どうしても特定の作品が入らない場合があります。作品に一寸した出っ張りがある為や1~2mm
程度高さが高い為など、最初には余り予想もしなかった自体に遭遇する事も多いです。その為
一度窯詰めした作品を外に出し、入れ替え戦をする事も多いです。入れ替えを行うと、周囲の
作品に接触したり、手で持つ為施釉の一部が剥がれる事もありますので、なるべく入れ替えは
しない方が良いです。
ⅲ) 窯内の温度変化は一様ではありません。この事を上手に利用する。
窯の上部は温度上昇が早く、下部は温度上昇は遅いです。容積の大きい窯程この傾向は強い
です。逆に窯が冷える際には、下部が速く上部は遅くなります。その為、釉の種類によって
窯詰めの位置を変えます。即ち、黒天目等の急冷向きの釉は下部に、結晶釉は徐冷向きです
ので、なるべく上部に窯詰めする事が多いです。釉の中には1180℃、1200℃、1230℃、1250℃
など、所定の温度で焼成する様に推奨された釉もあります。一つの窯で複数の釉を使う場合には
この温度差を考慮して、適した位置に窯詰めする必要があります。
④ 窯詰めは下部奥から始める。
ⅰ) 最下部の棚板は、サイコロと呼ばれる直方体の支柱で窯底より浮き上がって敷き詰めし、
棚板の下は熱風や熱線が通りに抜け様にします。複数の棚板を使う場合、高さは揃えます。
但し、棚板同士には、指一本程度隙間を空けます。
ⅱ) 窯詰めをする際、作品の高さに応じて、上部を密に(背の低い作品を並べる)し、
下部に従い段々と疎に(背の高い作品を並べる)にする方法と、上部を疎にし下部を密に
する方法があります。疎の方が炎や熱線が自由に移動できます。その為作品に熱が均等に
伝わり、更には、隣や下の棚板の作品にも熱が移動できます。逆に密であれば、熱がこもり
易くなり局部的に温度も上昇し易くなります。技術書を読むと、窯詰め方法で疎密に関する
事項が記されている記事はほとんど見当たりません。多くの場合、各自工夫を凝らし、窯の
温度が均一に成る様にていると思われます。即ち、決まりが無いのではと思われます。
尚、棚板上に同じ程度の高さの作品を並べ、効率を重視する事が基本ですが、あえて高さの
異なる作品を並べ、炎や熱線を通り易くする方法を取る方もいます。
注: 背の高い作品を並べると多くの場合、作品上部に隙間が出来き、即ち疎(隙間が
大きい)になります。
ⅲ) 作品は両手で持ち、所定の近傍に置いたら少しずつ移動させます。
作品同士の間隔は指一本程度空けます。鶴首の様に上が細い作品では、細い部分を片手で吊る
す様に持てば問題有りませんが、寸胴形の作品では、持った手が邪魔になり、隙間が広くなり
易くなります。そこで徐々に移動させ所定の位置に移動します。但し、棚板上では引っ掛かり
があり、滑らせる事も容易ではありませんので、底を少し浮かせながら移動します。
尚、高さに隙間がある場合は、口縁周辺の内外を両手(又は片手)で持ち上げる様にして移動
する方法もあります。狭い空間ですので各自の方法で慎重に作業する事です。
以下次回に続きます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます