わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 21 (鉄釉4 青磁1)

2010-03-25 22:25:23 | 釉薬の調合と釉を掛ける
鉄釉の話を、続けます。

6) 青磁釉

  青磁釉は、中国の漢、唐の時代から作られ、東洋を代表する、釉とも言えます。

  青磁には、色調の種類も多く、各々、名前が付いています。

  ① 砧(きぬた)青磁

    千利休が、砧形の花瓶に、掛けられている釉を、砧青磁と呼んだ事が、語源です。

    帯藍青緑色の、綺麗な色で、花瓶や香炉などに使われ、青磁釉の代表と成っています。

  ② 天竜寺青磁

    足利尊氏が、後醍醐天皇の為に、天竜寺を建立しました。

    その天竜寺に、所蔵されている、香炉の色が、帯黄濃緑色をしており、その青磁を天竜寺青磁と、

    呼ばれています。

  ③ 七官青磁

    氷裂文(ひび割れ文)のある、黒味かかった、透明の緑色釉で、時代により色調に、差が有ります。

  ④ 朝鮮青磁(高麗青磁=こうらいせいじ)

    朝鮮は、高麗時代より、青磁釉の本場で、中国以上の優れた、作品が多くあります。

  ・ 釉の主着色剤は、酸化鉄で、還元焼成で得られます。

    更に、素地に赤土などの、鉄分があると、深みのある、色が出ます。

  ・ 青磁釉は、鉄分を多くしても、濃くなりません。鉄分が多くなると、飴色、褐色、黒い釉と成ります。

    それ故、濃くしたい場合には、2度3度と、重ね塗りする、必要が有ります。
 
  調合例

   ) 長石:61.3、 石灰石:7.5、 カオリン:4.9 珪石:24.8 酸化鉄:1.5

     (河井寛次郎氏の、Sk-6~8の青磁釉の調合 酸化で薄黄色、還元で緑又は帯青緑色)

   ) 長石:64、 松灰:27、仮焼黄土:9

     (浜田庄司氏の、Sk-6~8の調合 酸化で薄黄色、還元で曇った濃い緑、高温で暗い緑)
    
   ) 長石:25、石灰石:25、カオリン:6.5 粘土:20、石英:20、仮焼黄土:2、弁柄:1.5

     (バーナード・リーチ氏の、SK-7~9の調合 酸化で薄黄色、還元で灰緑)

   ) 長石:62、木灰:18、カオリン:12、石英:2、仮焼黄土:6、弁柄:0.12

     (尾形乾山の、SK-7~9の調合 酸化で薄黄色、還元で透明黄緑)

 以上は、有名な陶芸家が、調合した青磁釉です。

 ・ 注意:当然ですが、釉の調合以上に、焼成の仕方で、発色は、左右されます。上記の調合でも、

   良い色が出る保障は、ありません。

 現在でも、市販の、釉ではなく、自分独自の、青磁釉を作る方は、大勢いますし、日々新たな青磁釉が

 開発、発表されています。次回も青磁の調合について、述べます。

 青磁釉



 
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