わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 20 (鉄釉3 黄瀬戸)

2010-03-24 22:33:26 | 釉薬の調合と釉を掛ける
鉄釉の話を、進めます。  ここでは、黄色い釉について、お話します。

3) 黄瀬戸釉

 ・ 瀬戸や美濃(岐阜県)で焼かれた、黄色の陶器で、特に、桃山期の美濃産が、珍重されています。

   肉厚で透明な「ぐい呑み手」、薄造りで、不透明な「あやめ手(あぶらげ手)」、

   江戸初期に造られた、厚手で光沢の強い「菊皿手」があります。

 ・ 黄瀬戸釉は、黄褐色を帯びた釉で、釉肌に「ざらつき」が有る、油揚手と呼ばれる物で、

  「てかてか」熔けない、鈍い光沢のある物が、良いと言われています。

   (油揚手とは:艶消し釉に、微細な結晶が、析出している状態、又は、熔け不足の場合が有ります。)

 ・ 但し、現在では、透明の黄瀬戸や、乳濁した黄瀬戸、結晶化した黄瀬戸も、存在しています。

   色も濃い黄色、薄い黄色や、黄褐色な物、茶色に近い物まで、千差万別です。

   どれも、黄瀬戸釉として、市販されていて、本来の黄瀬戸と、大きく変化しています。

 ・ 種類は、鉢、向付、香合、花入れ、抹茶茶碗、ぐい呑等で、線描や、タンパンで、菖蒲、蕪(かぶ)、

   梅、菊、櫛目などの、模様が付けられている物が、多いです。

  調合例  この釉は、鉄分を多く含む灰を、用いた釉です。

    ① 基礎釉:20、 土灰:40、 赤土:40

    ② 長石 :40、 土灰:50、 藁灰:10、酸化鉄:1

    ③ 長石 :25、 土灰:50、 赤土:25

     上記、赤土の替りに、酸化鉄を、少量加えて、(弁柄の場合、釉が薄く赤くなる程度)も

     同じ様な、黄瀬戸が出来ます。

  ・ 灰の種類に拠って、色調も変化します。この灰に「こだわる」作陶家も多いです。

    「あお桐」の葉を燃やした灰、備長炭の灰等が、良いと言われていますが、自然物ですので、

     常に同じ状態の物が、入手できるとは、限りません。

  ・ 何れも、基本は、酸化焼成で行います。但し、窯の焚き方で、発色に差が出ます。

    弱還元で焼成したり、酸化、還元を交互に行ったり、窯をゆっくり冷ます人も、います。

4) 伊羅保釉(いらぼ)

  黄瀬戸釉と同じ様な、黄色い釉に、黄伊羅保釉が有ります。(青い、青伊羅保釉も有ります。)

  伊羅保釉は、鉄分が多い赤土に、木灰を混合した釉で、江戸時代前期に、萩焼で見られた技法です。

  黄瀬戸釉と黄伊羅保釉は、同じ様ですが、伊羅保釉は、焼成した時、流動性が有り、表面を、

  流れ落ちた、模様に成るのが、特徴です。又表面に、濃淡が、斑(まだら)模様に成る物も有ります。

 ・ 珪酸分が、少ないと、流下し易く、アルミナと、鉄の含有量及び、原料(灰)の種類や、

   素地の性質の違いで、様々な、伊羅保釉の作品が出来ます。

  調合例

    ① 長石:23、 土灰:72、 藁灰:5、  弁柄:8

    ②   :24、      :48、   :28、    :8

    ③   :30、      :62、   :8、     :8

    ④ 黄土:50、  土灰:50、

    ⑤ 来待石:70、 土灰:30

5) 渥(あつみ)釉 

   黄褐色で、土灰等を、単味で使い、艶の無い、鮫肌の釉です。(SK-8~9)

6) 青磁釉

以下次回に続きます。

 黄瀬戸釉


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