わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 68 陶磁器の表面装飾方法 10

2015-01-27 22:18:18 | 素朴な疑問
6) 艶(つや)出しによる装飾。

  魅力的な作品にする為に、表面を磨き艶を持たせる技法は、古く土器の時代から行われています

  又、表面に艶を出すのは、単に装飾の為だけではなく、実用的な意味がありました。

  即ち、表面を擦り続ける事により、表面の肌を目詰まり状態にしてから、低温で焼成すると、

  吸水性を少なくし、丈夫な容器を作る事が出来るからです。それ故、釉が発明されていない、

  古い時代の「水甕」として使用する場合には、必ず磨き作業が施された様です。

  現在では、施釉が一般的(主流)ですので、水漏れを防ぐ為の、磨く作業は必要としませんが、

  装飾の一種として行われている場合もあります。

 ① 効果的に艶出しを行うには、粘土が若干湿っている状態で行い、表面をなだらかにします。

  ) 肌理の細かい泥漿(でいしょう)を表面に塗って(コーティング)から作業に取り掛かる

   とより効果的です。

  ) 古くは川原で拾った、滑らかな自然石を使用していました。現在では市販されている

   「ゴムヘラ」を使う事が多いです。その他、「皮やぼろきれ、フェルト」を使う事もあります

  ) 粘土が乾燥した場合には、「スプーンの背」や球面の硬い物質を使います。

  ) 道具を作品に根気良く擦り付けると、光沢が出てきます。

 ② 艶出し剤を使う方法。 焼成前や後の作品に使います。

   当然、釉の光沢とは異なります。

  ) 擦って(さすって)艶を出す方法以外に、油や植物の汁、松ヤニ、木から取れる樹脂、

   アスファルト、アラビヤゴムなどを容器の内側や表面に塗り、艶出しを行う方法があります。

   アラビヤゴムに顔料を添加し、色の付いた光沢にする事も行われています。

   上記物質は、単体でも耐水性のある物です。

  )我が国では、天然漆(うるし)や和ニスなどが用いられています。現在では、人口樹脂や

   透明な合成ニス等も使われています。透明な物は素地の色を強く反映します。

  ) 家具などに使われている艶出し剤を使う場合もあります。但し、食器には衛生上不向き

   です。

  ) 艶出し剤を塗れば適度に光沢が出ますが、更に布や皮で磨き上げると、更に光沢が増し

   ます。

 ③ 艶出し剤を使うタイミング。

  ) 生の状態(焼成前)に煮詰めた樹脂を塗り、低温で焼成すると樹脂は強い皮膜になり、

    強い光沢を生じます。

  ) 焼成したばかりの熱い作品に、樹脂や植物の汁を垂らしたり、塗る事により光沢を出す

    事も出来ます。
 
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