わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 70 陶磁器の表面装飾方法 12

2015-01-31 22:20:38 | 素朴な疑問
7) 絵付けによる装飾。

 ① 下絵付け(前回の続き)

  ) 釉裏紅、釉裏五(三)彩。

   酸化銅を含む絵の具で描いて赤を出す方法を釉裏紅(ゆうちこう)と呼びます。

   銅は還元が掛かると赤色に発色すつ事を利用した方法です。

   釉裏五彩とは染付けの藍と釉裏紅の赤の他、緑や黄色、茶色(褐色)などの鉄の色が使われ

   ています。 五種類以上の色を使った物を五彩と言い、三種類の物を三彩と言います。

   次に述べる上絵付けでも、三彩、五彩の名があります。

   筆で描くのが一般的ですが、ゴム印、銅版による捺印の方法もあります。

 ② 上絵付け。

  ) 赤絵、色絵などの色彩豊かな絵模様は、本焼きした器の釉の上に、筆で模様を付けます。

    絵の具の素材は、鉄や銅、金(液)、銀、コバルト、マンガン等の金属にソーダなどを加えて

    調合した物です。但し、本焼き程度の高い温度では、色が飛んでしまい発色しません。

    そこで800℃前後の低温度で焼成します。

  ) 上絵での焼成では、湿度を極端に嫌いますので、上絵付け専用の電気窯を使うのが

    一般的です。この窯を錦窯あるいは錦焼窯と呼んでいます。

    但し、普段使っている窯でも、本焼き後の窯であれば、窯の中の湿度はほとんどありません

    ので、使う事が可能です。

  ) 焼成温度は丁度素焼きの温度と同じ程度ですので、一緒に焼く事も出来ない訳では

    有りません。但し、素焼きですと、どうしても窯の中の湿度が高くなりますので、綺麗な

    色が出難いです。

  ) 上絵の代表的な焼き物は、有田焼(伊万里焼)、九谷焼、鍋島焼、京焼などの磁器の

    肌の上に焼き付けられた作品です。

  ) 赤絵、金襴手。

    赤絵: 有田の酒井田柿右衛門で代表される、赤が主役の絵付けです。

     柿右衛門様式と呼ばれる作品は、1670年代頃に完成されたと思われています。、

     この作品は、オランダ東インド会社(VOC)の手によって、欧州等の国々へ大量輸出され、

     王侯貴族たちの宮殿や、邸宅に飾られていました。

    金欄手:赤絵の上に、更に金彩を施した物です。

    尚、下絵を施した後、更に上絵付けを施した作品も多いです。

  ) 九谷焼き(古九谷、九谷五彩)。

   九谷焼の特徴は「赤、黄、緑、紫、紺青」の、五彩手(通称九谷五彩)と言われる作品です。

   その他、「緑、黄、紫、紺青」を使用した、青手古九谷の塗埋手などがあります。

  ) 鍋島焼き。

    絵付けの特徴は、染付の輪郭線の中を濃み(だみ/染付の 塗りつぶし技法)や上絵の黄や緑

    で塗り埋める手法が採られている事です。


尚、上絵付けに付いては、当ブログの中で、下記の様に取り上げていますので、参考にして下さい。

  陶磁器の絵付け (シンクイン、イングレーズ) 2010-01-17  

  「作品の装飾と陶磁器の絵付け」

以下次回に続きます。

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