わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の話 15 (染付け、呉須)

2010-03-16 22:00:43 | 釉薬の調合と釉を掛ける
陶芸で、下絵付けとして、利用出来るのは、酸化鉄、酸化銅、及びその化合物です。

これらが、1,250℃以上に成ると、発色が、不安定になりますが、呉須(ゴス)は安定した発色に

成りますので、高い温度で、焼成する場合に、利用出来るのは、呉須のみと、成ります。

1) 呉須の成分

  呉須には、多くの不純物が、含まれています。この不純物が、良い色出す、基になっています。

  天然の呉須は、酸化コバルト(CoO)を、多く含む、マンガン土で、他に、酸化ニッケル(11%程度)、

  酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、珪酸、亜硫酸、マンガンなどを、含みます。

2) ご自分で、呉須の成分を、見つけ精製して、使用する事は、少ないと、思います。

   ほとんどが、市販されている、各種の呉須を、使っている事と、思います。

3) 天然の呉須は、古い作品に見られますが、深みのある、渋い発色が、出ています。

   これは、コバルト以外の成分と、釉の成分との、相乗効果の、賜物です。

   市販の呉須は、科学的に合成された、呉須です。

  ・ 種類としては、古代呉須、紫呉須、青呉須、土呉須、墨呉須、焼貫呉須など、多種に渡り、

    その発色も、異なります。

   科学的に、純粋に作られた、酸化コバルトは、非常に鮮明な、藍色を示します。

4) 生素地や、素焼素地に、各種呉須で、下絵付けし、長石釉などの、透明系の釉を掛け、焼成した

   作品を、染付けと呼んでいます。

 ・ 昔より、染付けの釉として、天草陶石と、いす灰又は、栗皮灰で、調合した物が、特に発色が良いと、

    言われています。

   勿論、染付けの上に、伊万里や、九谷焼きの様に、更に、上絵付けを、施す技法も有ります。

5) 酸化焼成、還元焼成

  ① 還元焼成では、コバルトは、紫がかった、藍色が出ます。

    純粋に近い、酸化コバルトは、濃い藍色と成ります。

  ② 酸化焼成すると、黒味が強く出ます。

  ③ 呉須に含まれる、他の酸化物に因っても、色が変化します。

   ) 酸化銅が、入っていても、高温で、揮発しますので、なんら影響は、ありません。

   ) 酸化鉄は、還元で、淡い青を、酸化では、黄色又は、褐色に成りますが、量が多くなると、

      暗黒色に成ります。

   ) 酸化マンガンは、還元で、灰紫色、酸化で、灰褐色に成ります。

  尚 焼成温度が低いと、紫色が強く出、温度が高いと、紫色は、弱く成ります。

6) 上に掛ける釉の、組成によっても、色の出が、変化します。

  ① 珪酸や、マグネシア成分が多いと、コバルトは、黒くなる。

  ② 長石や、カオリンなどの、「アルミナ」が多いと、紫藍色が、鮮やかに成ります。

  ③ 石灰が多いと、色濃く、暗色になり、石灰を石灰石から取ると、藍色に成ります。

    石灰を、木や草などから取ると、色は変化します。

  ④ 亜鉛華を入れると、藍色は、空色に変化します。

以下次回に続きます。

参考文献: 素木洋一著、図解 工芸用陶磁器 技法堂出版(株)

  染付け 呉須


   

  
  
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