わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

電動ロクロ (底削り1)

2008-10-05 22:53:46 | 電動ロクロ入門
 前回まで、一寸横道(トラブルと対策)にそれましたが、湯呑みの作り方の続きを述べます。

 ロクロより糸で切り離す所までを、述べて参りました。

 次にする作業は、乾燥後、底(及び高台脇)削りを行い、ロクロ作業が終わりとなります。

 乾燥具合は、カンナを掛けた際、削りかすが、帯状に長く繋がる程度まで乾かします。

  ・ 乾きが不十分では、削り難い他に、削りかすが、カンナにくっついてしまいます。

   又、削るのではなく、土を押して一見形に削れた様に勘違いしてしまいます。

   (実際は、内側に土が出っ張ってきます。)

  ・ 乾燥し過ぎの場合は、中々削れず、削りかすも短く切れてしまいます。

    作品にスッポンジ等で水で濡らし、表面をやや軟らかくしてから、削り作業に

    取り掛かります。(乾燥し過ぎると、土は粘りを無くし、脆くなります。)

  では底削りの手順を述べます。

 イ) 作品を逆さにして、ロクロに置きます。

  a) 直接ロクロ上に置く方法

    ・ 口縁が大きく、且つ凸凹していない(歪んでいない)場合に適します。

    ・ 口縁が少し凸凹していても、スペーサーを入れて調節出来る場合も有ります。

  b) ロクロ上に、粘土を平らに敷く方法

    ・ 口縁の凸凹がやや多い場合に適します。

   1cm程度の軟らかい土を、ロクロ上に敷き、その上をカンナで平らに削ります。

   逆さに伏せや作品は、口の凹凸がある為、ロクロの中心に置くことは難しいです。

   そこで口を、土にめり込ませ、作品の底が平らにします。

  C) シッタを使う方法

     シッタ(湿台): 削り作業に使う用具で、一般的には、台形状の中空の形をし、

     素焼した物で、使用する前に、十分水を吸わせておきます。

     (土を密着させる為です)

     これをロクロの中心に置き、根元を土で押さえ、ロクロに固定します。

     シッタをそのまま使う方法と、シッタの最上部に土を鉢巻状に巻き、

     内側又は外側を、綺麗な円に仕上げます。

    ・ 口縁が小さく、逆さにすると、不安定になる作品に適す。

    ・ 口縁の凸凹度が大きい作品に適します。

   ① 内シッタ: 口縁が大きい作品の場合で、作品の内側にシッタを置きます。

   ② 外シッタ: 口縁が小さい(細い)作品の場合で、口をシッタの中に置き、

     作品の肩の部分で支えます。
 
  尚 シッタは自作しても良く、その他適当な容器を、シッタの替わりにしたり、作品と

    一緒にその場で作り、乾燥させてから使う方法も有ります。(生シッタと言う)
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電動ロクロ (トラブル対策3)

2008-10-02 16:46:51 | 失敗と対策
 前回の続を述べます。

 ニ) 制作途中で、撚(よ)れる。(ネジれる。)

  作品が大きくなる(高さ、径)に従い、撚れが出る頻度は、多くなります。

  撚れが出た為、作業がしずらくなるだけで無く、作品が湾曲したり、歪んだりします。

  (尚 撚れが出来たからと言って、焼成には、なんら問題は有りません。ただ見た目が悪いです。)

 原因: ① 一番の原因は、手(指)が滑らず、抵抗が大きい為です。

     ② 撚れ部分と、その上下の土に、極端な肉厚の差がある為です。

       (肉厚は、薄す過ぎても,厚す過ぎても撚れは出ます。)

 対策: ① 手又は作品に水(又はドベ)を付け、手(指)が良く滑る様にする。

       作品に水(ドベ)を付ける際には、下から上に手(又はスッポンジ)を移動させ、

       内外全体に水を引きます。

     ② 極端に壁(側面)の一部が薄くなり、その上に重い土が載ると、撚れますので、

       土を薄くし過ぎない事です。

      尚 同じ位置で手が止まると、その部分の肉が薄くなりますので、手は最上部まで

       一定したスピードで、上げて行きます。

     ③ 前にも述べましたが、径を小さくすると、肉が厚くなります。

       そのまま、更に径を小さくすると、必ず撚れが出ます。

       それ故、土を少し延ばして薄くしてから、更に径を小さくして下さい。

     ④ 撚れが発生してしまった時の対策。

      a) 一番良い方法は、ロクロの回転方向を、逆にして直します。

       この場合、左右の手の位置が全部逆になります。

       初心者にとっては、かなり難しい事ですので、ベテラン向きですが挑戦してください。
     
      b) 撚れが少ない場合には、回転をゆっくりさせて、撚れた部分を、上から下に

       手を移動して(いつもとは逆)、撚れを直します。これを繰り返します。

     c)  又、径をやや大きくし、撚れを少なくしてから、径を戻す事を繰り返します。

        撚れは直ぐには、直り難いです。時間を掛けて直します。

     d) 撚れが大きく、皺が寄ってしまったら、残念ながら、撚れた部分より上を切り取ります。

     e)  上を切って高さが低くなった場合や、撚れがどうしても取れない場合には、

       全部壊して、最初からやり直す方が、速く綺麗に出来ます。
 
 
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電動ロクロ (トラブル対策2)

2008-10-01 17:33:53 | 失敗と対策
前回の続を述べます。

ハ) 制作途中に、作品が振れる。

  原因: ① 一度振れだすと、どんどん振れは大きくなります。

       遠心力が円周上の一部に、強く働く為振れが、どんどん加速されます。

       ② 根元を細くし過ぎ、上の土が重く、不安定になる。

       ③ 細く、高くし、回転を速くすると、振らつきます。

  対策: ① 要所要所で振れが出ない様に、振れ止めを行う。

        a) 土殺し終了時、振れが無い事。

        b) 中心に穴を掘る場合、中心が「ずれ」無い事。

        c) 内側の底を作る際、綺麗な円である事。

        d) 土を上に延ばす直前で、振れが無い事。

        e) 土は数回に分けて、上に延ばしますが、一回終わる毎に、両手で、

        抱え込んで、振れを止める事。実際振れていなくとも、この習慣を付ける事。

       f) その他、状況に応じて、振れ止めを行う事。

      ② 振れが発生したら、速めに対処する。

       a) 径の小さい物は、両手で抱え込む様にして、振れを止める。

       b) 径が大きい物は、一度径を大きくし、綺麗な円を出してから、径を元の径に戻す。

      ③ 下部が極端に細く、上部にタップリと土がある場合、振れが出ます。

       但し、独楽の原理と同じで、上部の土の重心が高いと、やや安定します。

       即ち、上部の土が薄く、上に伸びていれば良く、団子状になっていれば、不安定です。

      ④ 鶴首の花瓶等、細く長くなる作品は、回転をやや落としてください。

        一度に細くしないで、数回に分けて徐々に細くします。

        即ち、細くしている部分と、その真上の部分の径が、極端に差が出ない様にする。


 次回は、撚れに付いてお話します。

        
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