左:鹿にヤラレタ~(想定内)律義に花の蕾一つだけ残していった。
右:庭の花、第3弾「Black Eyed Susan」不思議とこの花は鹿が好んで食べない。なんでや。
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前編
中編
今度は私の方が気持ち悪くなって吐きそうになる番だった。
あのHuddleが終わってから数時間後、私は週一回行われる個人のミーティングを控えていた。
この個人のミーティングは15分ぐらいの簡単なもので、みんなが個人的レベルでブラッドと話し合うもの。
私はこの個人のミーティングも面倒くさいと日ごろから思っていた。
詳しくはこのエピソードで
それでもデミ嬢の押しもあって、出来るだけ波風たてないような態度で接してきたつもりだったが、
あの時はまだ、プラッドとダニーの裏の出来事など知らなかったので、
ほらね。ダニーはさっさと自分の道を見つけて、あんたから離れて行くわね。
と、それは流石に発言しなかったが、かなり上から目線で彼を見つめていた。
よりによって、そういう時に限ってブラッドの機嫌がとても良く、私は『ダニーが去っていくのに、この男はなんでこんなに嬉しそうなんだろう。』と思い、
終始なんだか気に入らなかった。
しかも、ケイエスってこのレストランに行ったことがある?と、あるステーキハウスをググって私に見せてくれたのに対し、
私は、ノー。それほどステーキには興味がないし。(嘘つけ。牛を頭から齧りたいとか日ごろから言うくせに)。と答え、
さらには、今週末はどう過ごすの?ハニバニさんと、どこか楽しい所へ行くの?という質問にも、
私は、別に。いつもの週末を過ごすだけだけど。
さらには、僕は月曜日にNYに出張だから、週末は娘としっかり過ごそうと思ってるんだ。
私は、へえ。ナイスね。(棒読み)
エリカ様のインタビューかと、ツッコミどころ満載。
他の人なら多分、そういう私の態度にムカつくとか、怯むとか、そういう態度を示すと思うが、
彼はもうすっかり免疫が付いているのだろう、特に動揺もせず、ミーティングの本題に入る。
あのレポートの件だけど、僕は今のケイエスのやり方じゃなくて、こうしたら良いと思うんだけど。どう?
おっしゃる通りに。あなたが上司なんですもんね。やればいいんでしょう?Whatever you say.
ここまで言うと、ちょっと沈黙があって、私もちょっと「怒ったかな」と思った。すると彼は、
伝えないといけないことだから、言ってるだけなんだけど。
それからは淡々と言葉を交わし、私はブラッドの顔も見ずにオフィスを後にしたと思う。
苦い物を口にしたような顔をしながら、その一連の出来事をデミ嬢に言ったら、案の定、すっげー怒られた。
「いい?Listen!うちの組織の上司って裏で何をしてんのか想像つくでしょう?
下手に突っかかって行っても、バカを見るのはうちら社員だよ。ダニーみたいになりたいの?
上司が間違ったこと、例えば、1+1=3だって言われても、時としてそれを黙って聞き流す方が良いときがあるんだよ。」
確かに。それはわかっている。
今まで何度も理不尽な思いをしてきたけど、黙ってやり過ごすことでその場を上手く乗り越えたことだってあったのだから。
それにしても、あの個人ミーティングはヤバかったかも。
今ならもっとましな、プロフェッショナルな対応できたのに。
そうなんだ。私とダニーはとても似ているところがある。
元祖KY
相手がバカみたいなことを言うと、「あんた、バカなの?」と言わんばかりに顔に出てしまう。
ダニーと私がポーカーゲームに参加したら、ボロ負けしてしまうだろう。
だったらこれから何を心掛けて行けばいいのかなと聞いてみた。
「まず、アカデミー賞ばりの女優みたいになって、素敵な社員になりすます。
あんたは、朝はとびっきりの眩しい笑顔を見せとけば、また上機嫌でスイーツをご馳走してくれるかも知れないし。
取り敢えず、笑顔よ笑顔。発言するとあんたは冷たいこと言うから、黙って微笑んどき。」
演技するのは馬鹿らしくて、自分に嘘をついているようで正直不本意だが、そういうこともたまには必要なんだ。
うん、それでそれで...?
「個人ミーティングがあるときはミニのタイトスカートで行くんよ。」...お、おぅ。...は?
「で、足を組み替えるときは、ブラッドの顔見ながらゆっくりね。」
(Google:Basic Instinct)
『氷の微笑』か!?
ここまで言うともう二人は大笑い。
でもデミ嬢は真面目になって、「いいじゃん、表で演技して、裏でうちらもこうやって解毒すれば。」って言ってくれた。
今、かなり冷静に考えてみると、本当に非があるのはブラッドなんかなって思える。
もしかしたら、ダニーが言わないだけで、左遷になった根本的な理由があったのかも知れない。
実際にデミ嬢は、ダニーからの一方的な発言しか聞いていないし、それを元にブラッドだけを悪魔扱いするのもなーと思えて来た。
私たちは確かにダニーが優秀なことだけしか知らない。
彼のレベルの仕事なら、私たちが想像するよりも難しくて、もっと困難な仕事もたくさんある中で、
もしかしたら彼は致命的なミスを侵していたのかも知れない。
それから冷静になった今、私がどんなに子供っぽく、KYだったか思い知る。
もしかしたら、私も薄い氷の上を歩いているのかも知れない。
でも、もしかしたら、私の思い過ごしで、今までもそうだったように、実は「文句は多くても仕事はやってくれる」と思われているかも知れない。
でも、もしかして、もしかして。
ちょっとこれからは、自分の発言や態度が飛び出す前に、1,2,3と深呼吸するつもりで
間をとってから行動に移す努力をした方がいいのかも知れない。
それと、とりあえず、にっと、笑っとこう。
私はこれからアカデミー賞ばりの女優みたいに、演技するのだ。
長い記事にお付き合いありがとうございました:)
社会には理不尽な掟があって、生き辛いと思うことが山ほどあるけれど、
それでも自分の考え方ひとつで、上手くできるのかも知れないと思います。
時として、黙って。時として、演技して。
そうやって、こっちも少し悪賢くなることも必要なんじゃないかと思います。
ケイエス