鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

ドブネズミ (惨めな勤務中に詩作してみる) 

2012-09-06 22:53:56 | Weblog
秋に向かって、天気は、変わる・・・午後、雷雨。


何が怖いのか・・・
人の足音に聞き耳を立てて、
始終、物音に脅え・・・
陽の当たらない側溝を、小走りに駆け抜ける。

餓えているのに、食べられない・・・
エサは、人の食べ残した饐えた残飯・・・
陽の当たる場所では、目が眩む・・・。
眩暈がする。

小さな心臓は、大きく脈打ち、
生命の終わりのカウント・ダウンを始める・・・。

眠りたいのに、眠れない・・・。
餓えているのに、食べられない・・・。
話したいのに、話せない・・・まわりは、みんな敵だらけ・・・。

身体の傷は、血を流し・・・
傷は、塞がることもなく、そのうち、膿んで、腐っていく。
僅かに、残った食料も、太ったネズミに横取りされて。
取り返す力もない・・・。

いつも、いつも、地ベタを這うばかり。

薄くなった血液は、もう酸素を運ぶ力もなくて。
動悸は、ますます、激しくなるばかり。
そして、急激に弱っていくばかり。

静かに忍び寄る死の足音を聞きながら・・・
真夏の青い空を見上げながら・・・
夕立に打たれても・・・

埃っぽい澱んだ空気を吸いながら・・・。
それでも塵にまみれた肺は、まだ、呼吸することを止めては、いない・・・。