初夏のお日和。
私は、木に咲く花が大好きである。
まだ厳冬の時期から咲き始める紅梅。
花の季節のさきがけの白梅。
そして、木に咲く花の代名詞の桜・・・。
桜も、染井吉野が散ると、山桜、里桜と次々に開花して、蘇芳、そして、花降る5月の訪れを前に、はなみずき。
そして、高貴な紫色の花房を優雅にたらす藤。
同じ紫色の桐の花も、凛とした佇まい。
藤や桐は、家紋にも多く使われるモティーフのようで、高貴な感じがするデザインが多い。
藤は、幽玄な趣があって、貴族的だし、桐は、凛とした潔さがあるような気がする。
いづれも和のテイストなのだろう。
そしてこの時期、圧巻なのは、ニセアカシア。
少し黄色をおびたような蝶々のような花房状に咲く。
甘い香りを、初夏の風に載せて咲く。
風にのって、パラパラと音を立てて降る。
桜のはなびらが、風に舞うのに対して、アカシアは、降る。
花が重いせいもあって、パラパラと降ってくる。
あのアカシアの群生の中で、一日中、絶えることも無く降ってくるアカシアの花の雨の中にいたら、気がヘンになるかもしれない。それ程、狂おしく、美しく、芳香で、或る意味凶暴な花なのかもしれない。
楚々とした佇まいとは、また別な・・・。
自宅入口にも、何本かあるのだけれど、あの川沿いの群生したニセアカシアの比ではない。
川原に群生したアカシアは、もうそれだけで、異界だ。
遠くからみるとまるで、白くかすんだ花々が、幻想的でもある。
桜の・・・あの儚い幻想感とは、また別の・・・。
乳白色の花の色が、霞んで、5月の初夏の光の中に霞んで、もしかすると、冥界の入り口のような・・・それでいて、何故か、とても現実的でもある。
このニセアカシア。
本家本元のアカシアとは、別物らしく、和名を、『ハリエンジュ(針槐)』。
幹には、鋭い針のような棘もある。
香りよく、蜂蜜を採取する花でもあるようで、初夏の風には相応しい。
同属には、合歓(ねむ)もあるようで、マメ科。
そういえば、合歓の花も不思議な佇まいだなぁ。
木に咲く花は、美しい・・・。