終日、乾いた晴天。
台風の遠い影響なのだろうか?
夕刻、ヴェランダに立つと、少し乱暴な秋の風。
毎晩、毎晩、奏でられる虫達のコンサート。
夏の蛍が作った光は、秋の虫達の爪弾く弦楽器の糸になります。
蛍の絃は、砕け散った流星の欠片が、ぶつかり合う様な、キラキラ、サラサラという音がします。
キラキラ、サラサラ・・・星の砂。
リンリンと爽やかな鈴の音は、名前の通り、鈴虫さん。
蟋蟀(こおろぎ)さんは、ヴァイオリン。
絃の調子は、如何でしょう?
弓は、少し強めに張りましょうか?
お月さまは、遅刻。
昼間も白く浮かんでいたから、まだまだいらっしゃいません。
秋の夜会のコンサートのはじまり。はじまり。
あなたは、タキシード。
わたしは、天蚕のローヴデコルテ。
宝石が少し足りないから、海の人魚が流した涙を集めて、真珠をつくるアコヤ貝さんに頼んで、長い長いロングパールのネックレスを貸してもらいましょう。
秋の夜長のコンサート。
さあ、はじまり。はじまり・・・。
おひさまが、顔を出すまで。
さあ、さあ、秋の夜長のコンサートのはじまり。はじまり。