今晩、ひとりで食事をしていると友だちのカミさんが「おからを煮たので、どうかなっと思って」と丼で持ってきてくれた。子どもの頃、母の実家で食べたおから料理は仰天するほどまずかった。でも、要らないとは言えなかったので目をつむって飲み込んだ。だからおからはまずいものだと思っていたけれど、豆腐料理の店で食べたおからは美味しかったので、少しずつ食べられるようになった。今晩のおからは温かかったから格別美味しかった。でも、ひとりで食べる食事はあっという間に終わってしまった。
昨日の新聞に、関西電力の停止している原発のストレステストの結果が出ていた。経済産業省の原子力安全・保安院はストレステストの結果を「妥当で安全性が確認できた」と発表し、専門家会合に意見を聴いた。この意見聴取会は傍聴人の入室を禁止し、別室で中継モニターを見る形で行われたので、2人の専門家が退席したという。入室を拒否された傍聴人が会場に詰めかけ、押し問答をする激しいやり取りがテレビでも報道された。委員のひとりが「仕切り直すべきでは」と流会を投げかけたが、司会の東大教授は拒否し保安院側と傍聴者のにらみ合いが何時間も続いた(19日の中日新聞)。
この間、枝野経産大臣は緊急記者会見を2回開き、「平穏に議論ができない状況では、広く意見を求めるという聴取会の目的が果たせない」「ルールを守ってもらいたい」と述べるとともに、「再稼動に反対との意見そのものは重く受け止めなければならないと思っている」とも話している。前の管直人首相は脱原発を鮮明にした。そのために首相の座を追われた。野田内閣は前内閣の閣僚を多く残しながら、原発の輸出には積極的で、したがって国内の原発に対しても容認していくような、よく分からないニュアンスである。大阪市の橋下市長でさえ、脱原発を主張しているので、ますます民主党のあいまいさが見て取れる。
明治新政府に期待した人たちが落胆したように、民主党に期待した人々も当てが外れた思いを抱いている。こうなればもう、民主党が最後にできることは情報の公開しかないと私は思った。自民党政権は利権政権だったから情報を隠すのが常であったし、それが政権を維持する目的でもあった。民主党が政権を握っても一足飛びには何もできない。それはこの間でよく分かった。ならばできることは情報公開だろう。もちろん官僚は大反対するが、世論は絶対味方する。野党も反対できないだろうから、とにかく情報公開だけはどんどんやってしまう姿勢を貫いて欲しかった。
事業仕分けがどれほどの効果があったのか、官僚たちにすぐに取り繕ってしまったではないか。政治を変えるには、あらゆる会議を公開し、あらゆる資料を公開し、できる限り裸にして進める。これが政治を一部の有力者から広く国民の側に置き換える有力な方法だと思う。会議のやり取りをテレビで見せてしまう。インターネットに載せてしまう。誰がどう発言したのか、分かるようにしてしまうことが大事だと思う。ひとりで食事をしていると、案外まともな考えが浮かんでくるが、しかしちょっと寂しい気もする。