風も無く、曇り空。ルーフバルコニーに出て掃除をしていると、カミさんが声をかけて来た。「このキンモクセイは残しておいた方がいいのでは。何も無いと、ちょっと寂しいよ」と言う。花は小さいが、まだキンモクセイの香りが漂っている。
私の小学校へと上がっていく坂の角、図書館の庭にキンモクセイが植わっていた。運動会の頃になると、とてもいい匂いがしていた。今、住んでいる「街の木」でもあるキンモクセイが好きで、教え子が御殿場に住んでいた時、そこの祭りで買って来て植えた。
もう何十年になるのだろう。昨年、我が家のバラで最も古くて大きな樹に、カイガラムシが大量に発生した。木酢液を歯ブラシにつけて、擦り落としたけれど、バラは花を咲かせなくなり、鋸で切ってしまった。
その時、キンモクセイにもカイガラムシがへばりついていたので、歯ブラシで擦り落としたが、やっぱり花は元気が無い。キンモクセイもこれまでと思っていたのに、カミさんの一言で思い直し、下草を取り除いて土の表面をきれいにしてみた。
植木鉢から取り出して、根元の土を入れ替えてやれば、まだしばらくは元気に花を咲かせてくれるだろう。作業をしてみると、自分に力が無いことを痛感する。以前なら持ち上げられた鉢なのに上がらない。こんな具合で鉢を残しておくことが出来るのだろうか。
マンションの回覧板に、新しくできた内科クリニックが集会所で月に1回、何でも相談を行うとあった。マンションも高齢者が増え、病院へ通うことも億劫な人がいるから、需要と供給が一致している。
私は新しいクリニックに月に1回通院し、血圧を下げる薬をもらっているが、クリニックでも会う人は年寄りばかりだ。先日も同じマンションの人から、「年取ると、あっちこっち大変」と話しかけられた。あれ、あれ、彼女と私は同歳のはずだ。