喫茶店でふたりの老人が話していた。「アイツはどうしている?」と片方が聞くと、「脳梗塞で倒れたから、もう生きては帰れないだろう。アイツの親父も兄貴も同じ病気だったから、そういう体質なんだろうな」と答えていた。
ひとしきり幼なじみの話をしていたが急に、「近頃の先生は質が落ちたな。中学生の女子のスカートの中を盗撮してクビになっている。昔、そんな先生はいなかったよな」と話し出した。「いや、いたかも知れんが、ニュースにはならんかったんじゃーないか」と相方。
「中学生の女子のスカートの中を写して、どこが面白いんだろうかね。みんなパンツ履いているだろう」と言えば、「ノーパンの子でもいると思ったんかな。ノーパンだったら、もっと気色悪いと思うけどなー」と話が弾む。
「俺もそう思うよ。NHKの朝ドラで『ブギブギ』ってやっとるの見てるか。踊り子たちがみんなで、ラインダンスで踊るじゃんか。あれがもし、ノーパンだったら気持ち悪くて見ておれんぞ」。
老人たちの話はちょっと下劣だが、私もそう思う。見えないから想像力が働いて、興奮するように男の脳は出来ている。子孫を残すという重大な使命を行うために、男が得た能力なのだろう。女体を美しいと感じるのも、興奮させるための感性なのだと思う。
喫茶店は老人の憩いの場になっているが、ふたり以上の仲間で来ていると地域や同級生の話が多い。ひとりで来ている人は、エロ週刊誌を読みふけっている。時間があるから、1冊読むと次にもう1冊と読んでいる。そういう週刊誌が置いていない喫茶店は入りが悪い。
先の老人は、この世間のことを心配していたが、世界のことを心配すべきなのかも知れない。景気の後退は日本だけでは無いようだ。パソコンを開くと、ホリエモンや森永卓郎さんが投資を呼び掛けている。トヨタの前社長も、トヨタへ投資すればこれだけ収入が増えると言う。もう、投資でしか経済を立て直すことは出来ないのか。
喫茶店で話す老人の世界はこんなものなのか。