街はすっかりクリスマスになっていた。お目当てのレストランで、初めにビールを飲み最後に赤ワインを飲んだ。ビールは美味しあったが、ワインはいまいちだった。案内された席の隣りに、男4人女3人のグループがいて、結構飲んでいるのかウルサかった。
声が大きいだけでなく、話していることがエゲツナかった。「セックスの相性なんて、やってみなくちゃー分からん。見た目で判断はできん。なんなら、セックスの権威であるオレが一度寝てやってもいい」。30代の禿げ頭が、20代の男どもに威張って言う。
女性たちは20代で笑っていたが、「やっぱり、寝てみないと分からないわよ」と経験者らしく相槌を打つ。「お乳が大きいとか、お尻が大きいとか、外観とセックスの相性とは違うし、セックスが上手いか下手かにもよる」と禿げ頭が説く。「料理が上手い女はセックスも上手いとか、無いんですかねえ」と若い男が言うと、女のひとりが「私、料理上手いわよ」と言い、ドッと笑った。
そんな話は居酒屋の座敷でやってくれ。開放的なレストランで、大声で話すことでは無い。私は隣の禿げ男に言ってやりたかったが、まもなくグループは席を立っていった。やれやれ、これでゆっくり食事が出来ると思ったら、「今晩のW杯は日本とドイツの試合だから、早く帰って観たい」とカミさんは言い、途中でケーキを買い、「コーヒーを飲みながら観戦する」と宣言する。
帰宅するとすぐにテレビの前に陣取ったのに、いつの間にか居眠りしている。コーヒーを淹れて開幕を待つ。9時半に起こしたのに、半分寝ぼけている。10時を過ぎてもまだウットリウットリしていたので、「あなたが応援しなかったら負けちゃうよ」と驚かす。せっかく前田選手がゴールしたのにオフサイドだった。やっぱり、ドイツに苦戦している。
だんだんカミさんは目を覚まし、「何やってるの!そこよ!」と声を上げ出した。後半戦でゴールが決まった時は大興奮で、テーブルをたたいて大喜びする。2対1で勝利が決まった瞬間はもう、自分が監督か選手になっている。私は「非国民なので、もう寝るね」と先に休んだが、カミさんは「午前1時半までテレビを見ていた」と言う。凄い!にわかサッカーファンの誕生である。
議会では君の国の将来の問題を 誰れかが深刻な顔してしゃべっている だけども問題は今日(こんにち)の「壷かくし」 行かなくちゃ君に逢いに行かなくちゃ 君の国に行かなくちゃ 涙にぬれ
『傘がない』 改変
W杯出場をかけた最終戦では「ドーハの悲劇」、初めてW杯出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」、オリンピックでブラジルに勝った「マイアミの奇跡」、前大会でベストエイト決定直前で負けた「ロストフの14秒(悲劇)」とサッカーW杯にはドラマがあり「ロストフの14秒」はNHKで当時の選手、監督ににインタビューしたスペシャル番組がありましたよ。