山田詠美さんの『血も涙もある』を読み終えた。私の書棚にはこの他に、『賢者の愛』『タイニーストーリーズ』『つみびと』が並んでいる。なかなか面白いことを書く女性作家だと注目している。
『血も涙もある』は、通常、冷酷な人を評する時に用いる「血も涙もない」の反語である。料理研究家の女性とその10歳年下のイラストレーターの夫、夫の愛人は料理教室のスタッフ、この3人の関係が微妙に変化していく様を描いている。
超人気の料理研究家の喜久江は、周りから完璧な人と称賛されている。「料理を出す時は笑顔を絶やさない」と教えている。みんなが「おふくろの味」と思い込んでいるが、彼女が気にしているのは夫の胃袋を捕まえておくことだ。
夫の太郎は美大生の時に喜久江と出会い、おかげで喰うに困らない生活をしている。飄々とした性格で、気に入った女に出会えば寝てしまう。それを罪と思ったことも無いし、恥じることも無い。
太郎の愛人となった桃子は、喜久江先生を尊敬しているし、その秘伝に関心がある。「私の趣味は人の夫を寝取ること」と言うような女だが、太郎は可愛くて仕方ない。でも滅茶苦茶な女かと言えばそうでも無い。
3人がどうなっていくのかと思いながら読み続けたが、よく分からなかった。喜久江は太郎の友だちに、桃子は彼女の良き理解者に、助けられていくようだが、「それで」と思ってしまう。
Facebookにドイツ育ちの随筆家の文章が載っていた。「ドイツでは、日本のように不倫が厳しく責められることはありません。不倫は子どもがかわいそうというのも聞きません。子どもは両方の親に会い続けるのが一般的です。男と女が結婚する以外の生き方を広めたくないという意識が働いているのです。不倫をたたくことで、自分は正義の側にいると」。
今晩は、市民講座を開催してきた仲間の忘年会、どんな話題が上るのだろう。
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