友々素敵

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『新潮社45』の休刊

2018年09月27日 18時06分19秒 | Weblog

  新潮社の雑誌『新潮45』が休刊となった。『文芸春秋』と『新潮』は私の子どもの頃からあり、父が読んでいたのを覚えている。私が地域新聞を始めたのは1985年で、その時にはもう、日本で初めての写真週刊誌『FOCUS』が新潮社から発行されていた。私は写真よりも文章に惹かれた。

 何の機会だったか、私よりも若い『FOCUS』の記者と話した時、私が「文章が凄い」と褒めると彼は、「苦労しています」と言った。読んでもらえる文章をどう書くか、それを生業としている者としては同感だった。『FOCUS』に気を良くした新潮社は、続いて『新潮45』を発行した。この雑誌は45歳以上の中高年を対象に、生きがいや健康を主にした編集だった。

 誌の購読者は高齢化とともに減る一方で、出版社はどこも苦労している。私は書店が好きで、どんな本が置かれているのかと見て回る。最近、過激な見出しの雑誌が増えた。産経新聞社の『正論』は「日本型リベラルの化けの皮」、『WiLL』は「朝日新聞と言論犯罪」とか「カラ騒ぎに終わったモリ・カケ朝日報道」、『月刊Hanada』は「安倍総理、新たなる闘いへ」「朝日新聞は国民の敵だ」など。昔、学生たちが読んでいた岩波書店の『世界』や『思想』は、私が行く書店には見当たらないが、まだ発行されているのだろうか。

 『新潮45』が休刊となったのは、自民党の杉田水脈議員の「LGBTは生産性がない」という論文に火が付き、批判への反論「そんなにおかしいか『杉田水脈論文』を特集し、小川栄太郎氏が「LGBTはふざけた概念」とか、「性の平等化を盾にとったポストマルクス主義の変種」などと無知を晒し、社内からも批判が出たためだ。同じ号で「野党百害」「沖縄をダメにする翁長弔い選挙」も掲載していた。

 こうした見出しを眺めていると、国民の中に鬱積しているものを感じる。それは杉田論文にもある「戦後民主主義が『弱者』をのさばらせ、社会をおかしくしている」という意識だ。普通に生活できているのに、なぜ「他人」を憎いと思うのだろう。「弱者」を助けることの、どこに「悪」を感じるのだろう。「言論の自由」という声もあるが、「良心に背く出版は、殺されてもせぬこと」という新潮社の創業者の言葉に真理はある。


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