卒業生が名古屋市美術館で開催されている、『福田美蘭展』へ行って来たとFacebookで書いていた。私も気になる作家だったので、観たいと思っていたところ、カミさんが「今日は何処へ行くの?」と言うので、「名古屋市美術館へ行って、次に松坂屋美術館を回るのはどう?」と提案した。「いいわねえー」と同意をいただいたので早速出かけた。
『福田美蘭展』のテーマは、「What is Art?」である。福田美蘭さんは1987年に東京芸大大学院を卒業し、1989年には具象絵画の登竜門とされる安井賞を最年少で受賞した才能の持ち主である。写実力に長けているのは、持って生まれた「物を見る目」が優れているのと、表現する能力が備わっているからだろう。
写実的な作品と言うだけなら、私の卒業生にも能力のある人はたくさんいる。芸術作品に押し上げるためには、そこに工夫が必要になってくる。誰もがやっていない作品であることと、人に何か訴えるものがなくてはならない。感動とまでいかなくても、ウンと心に引っかかるものが欲しい。
入館して最初に観た作品『アカンサス』は、東京芸大の校門の横にたたずむ少女像にウィリアム・モリスのテキスタイルがプリントされたもので、少女は写真のコラージュかと思われるくらい写実的に描かれている。次の部屋は「名画―イメージのひろがり」で、レオンルド・ダビンチ『モナリザ』が横になってくつろいでいる姿が描かれていた。
『モナリザ』は真正面を向いて少し微笑んでいるが、福田さんの絵では横顔になり、サンダルを履いた足まで描かれている。私は、ふくよかになった身体に老いた印象を受け、足先は細く描くのが通例なのに、太く逞しかったのでガッカリした。しかし、かつての名画をモチーフに、彼女の目で捉えた作品群は興味深かった。
その足で、松坂屋美術館の『コレクター福富太郎の眼』を観て来た。「昭和のキャバレー王が愛した絵画」が、どんなものか自分で確かめたかった。審美眼に間違いは無いが、いったいいくら使ったのかと貧乏臭いことを思ってしまった。金を出す人がいるから画家は生活出来る。有難いことだと思い直した。
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