マリーンズのイチロー選手が4257安打を放ち、ピート・ローズのメジャー最多記録を抜いた。イチローは日米通算の記録なので、アメリカ人はむしろ大リーグ通算3000安打にあと21本と迫ったことに関心がある。それはアメリカ野球殿堂入りの目安とされているからで、これまでに3000安打を達成した選手は29人しかいない。順調にいけば7月中にも到達できると予想されている。
試合後に会見したイチロー選手をテレビで見た。ピート・ローズの記録を超えたのに、はしゃぐ様子はなかった。むしろ「常に人に笑われてきた」と振り返った。小学生の時、素振りをしていると「プロ野球の選手になるのか」と笑われ、オリックスで7年間連続して首位打者となり、大リーグでの首位打者を目標に掲げた時も笑われた。「夢だと人に笑われたことを常に達成してきたという自負はある」と語った時、目には涙があった。悔し涙だ。
次女はイチローと同じ歳、高校野球のファンだったからイチローのことは知っている。カミさんの友だちにはイチローの恩師もいる。隣町の出身だけにイチローは身近な存在なのだ。頑張り屋で負けん気が強いイチローだけに地元では賛否も分かれるが、凄い記録を打ち立てたことに変わりはない。打率を見てもイチローは日米通算だが3363試合で3割2分5厘、ローズは3562試合で3割3厘。シーズン最高の打率もイチローは3割7分2厘で、ローズは3割4分8厘。
それでも大リーグで3000安打を達成しなければイエローは注目されない。日本でも白鵬がどんなに記録を塗り替えても評価しないのと同じだ。ヨソ者という意識が働くからだろう。これだけ世界が狭くなり、人の交流が進んでいるのに、まだ差別意識が人の中には残っている。スポーツの祭典と言われるオリンピックは、いろんな人種が混在しているのに今も国別対抗である。イチロー選手がこれからどんな風に活躍するのか、楽しみにしている。