【144ページ】
(竹中)19世紀イギリスの歴史家・評論家トーマス・カーライルの「大きなことをなそうとすれば、まず自分の針箱を整理しろ」という有名な言葉があります。「針箱」というのは一番身近なところという意味。自分の身の回りのことをきちっとできないのであれば、大きなことはできないのは当然です。身近で重要なことほど他人任せにせず、自分の頭で整理して考えていかなければいけません。
【168〜169ページ】
(佐藤)「イスラム国」に関しては、そもそもイスラム教内の宗教戦争的な要素が内在していた。「イスラム国」はスンニ派で、シーア派を敵視している。そのため、シーア派のイランの動きが鍵を握るということがこれまでの焦点だった。そこでアメリカは、「敵の敵は味方」ということでイランに急接近し制裁を解除して提携したのである。
その結果、スンニ派のサウジアラビアが危機感を強めることになり、国交断絶という事態にまで発展した。それでサウジアラビアとイランの宗教戦争、つまりスンニ派対シーア派を代表する十二イマーム派、という、イスラム教世界の主流派の宗教戦争という入り口に足を踏み入れたのである。
【178ページ】
(佐藤)考えてほしいのは、1945年の3月10日の東京大空襲だ。それから広島、長崎の原爆投下も、ある意味では空爆である。では、これらの空爆が戦況に影響がなかったかのかというと、とんでもない、戦争を終わらせるくらいの大きな影響があった。つまり、ロシアによるシリア空爆に効果があるのは明白なのである。
問題は、そんなロシアと接近している日本の立場だ。皆殺しの空爆を行っているロシアと手を握るということは、ロシアと共通の価値観を持っていると認識されて、国際的に非常に警戒されることになるだろう。
(ken) 144ページ「針箱」の事例は、現代人には通じにくいですが、縫い物が大好きな私にはよく理解できました。「身近で重要なことほど他人任せにせず、自分の頭で整理」することは、いくつになっても大切な振る舞いですね。(つづく)