【194ページ】
(佐藤)面白いことに、全部が民主党の菅直人政権で決まっている。東日本大震災の影響によって先送りされたが、TPPへの参加を打ち出したのも菅政権であり、消費増税を言い出したのも菅政権。そして、鳩山由紀夫前政権で紛糾した普天間基地問題も、辺野古を埋め立てて滑走路をV字にすると決めたのは菅政権である。
菅政権で決めたアジェンダを、実は安倍政権は遂行しているだけに過ぎない。そう考えると、民主党と自民党では政策的な違いの幅というのはほとんどないに等しいことになる。極論すると、日本の政治の選択の幅というのは、ウンコ味のカレーか、カレー味のウンコかを選択するのと一緒だ(笑)。
【204~205ページ】
(佐藤)価値の源泉は労働。だから一生懸命働こう!(中略)
仮にインフレ率が2%になったとすると、今の日本の政府は「みんなが消費する」といっているが、本当にそうだろうか。私はそうは思わない。それは、あくまでも投資銀行の論理である。
物価が値上がりしそうなのだから、これからお金がもっと必要になるということで、できるだけため込んでおいた方がいいと考える人がいても全然おかしくはない。
要するに、学者が「合理的な経済人」ということを想定して政策を立てても、孫の進学を考えて貯蓄するような行動は読めないのである。
(ken) 今回の抜き書きは、今でも継続している事柄なので、しっかりと認識しておけば、閉塞感に満ちた政治や経済の動きの背景が理解できますね。(つづく)