昨日の政府交渉について防災訓練の検証、再稼働審査業務を担当していた関電課長職の過労自殺問題でのおもなやりとりです。
内閣府との交渉では、高浜原発事故を想定した訓練でヘリや船舶での避難が中止されたことについて、担当者は「住民の健康面に配慮した。実際の事故なら人命最優先でおこなう」と答弁。しかし訓練しないと課題の洗い出しもできないでしょう。
地震で高速が使えなくなるのに高速で避難した手法については、「今回は限られた半日の時間に押し込んだのでそういう想定をした」、と答弁し実際には通用しない内容だったことが裏付けられました。
担当者は「実践的訓練ができなかた。大変申し訳ない」などと述べました。
SPEEDIの活用については、自治体が活用できる、としましたが、それにもとづく具体的避難指示などは自治体の責任だ、などと述べました。私は、「原発時の対応には国が責任をもってあたる」との自治体への説明と食い違っている、と批判しました。
さらに福井県がヨウ素剤服用について、「国の指示があるまで服用しないで」とのチラシを配布し、京都府の対応と違った問題などでは、「放射能放出はない、という前提で福井県がつくった。国の指示の仕方も悪かった」「空間線量については、発電所の状況をみながら規制委員会が判断する。今回はこの規制委員会の判断を省略した。大変申し訳ない」などと答えました。
今後放射能拡散マニュアルおくのか、との倉林参議院議員の質問に、「今後しっかりやる」と約束しました。
また、私が訓練で161名の消防団が活動したのにヨウ素剤が配られていなかった問題を指摘したのに対し、「改善する」と約束しました。
中間総括をだし、関係者の、住民の意見を聴くよう求めたことにたいしては、「内部で相談する」と答えました。
このほか、再稼働に向けた申請業務にあたっていた関電課長が自殺し労災認定された問題を質疑しました。
規制庁は「事業者の要望にもとづいて対応している。労務管理は関電がやるべき。我々は関知しない」と答弁。私は、「あなたがたの審査のなかでおこった過労自殺に関知しないとはなにごとだ」と怒りました。
厚労省とのやりとりでは、「残業時間の限度基準を定めた大臣告示の対象から、原子力規制委員会の審査業務をはずす通達が2013年にだされたことと、今回明らかになった過労自殺との因果関係は」とただしたのに対し、担当者は「即答できない」と答え、否定できませんでした。
また、「通達をだす際に審査業務についての仕事量の確認はどのようにおこなったのか」とただしましたが明確な回答はありませんでした。
私は「九州電力の言いなりになって通達をだしたということだ」「それを水平展開してとんでもない」と批判しました。
このような前例がない通達をだしながら、出すにあたっての慎重な調査と検討が十分おこなわれていなかった疑いが深まりました。
■以下、申入れ文です。
2016年11月4日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
内閣府原子力防災担当大臣 山本 公一 様
文部科学大臣 松野 博一 様
経済産業大臣 世耕 弘成 様
厚生労働大臣 塩崎 恭久 様
日本共産党福井県議会議員 佐藤 正雄
日本共産党小浜市会議員 宮崎 治宇蔵
日本共産党若狭町会議員 北原 武道
日本共産党京都府議会議員団長 前窪 義由紀
日本共産党舞鶴市会議員団長 後野 和史
日本共産党綾部市会議員団長 堀口 達也
原発防災訓練、老朽原発の運転延長、もんじゅ等に関する要望書
平成28年8月27日に実施された平成28年度高浜地域における内閣府・三府県及び関西広域連合合同原子力防災訓練、運転開始から40年を超えた高浜原発一号機二号機、美浜原発三号機の運転延長を行う審査合格の決定、もんじゅ廃止論議と新たな高速炉開発、関電社員の自殺問題などに関し、以下の通り要望します。
記
<原子力防災訓練について内閣府関係>
1.天候不良を理由にヘリも船も中止したが、天候による避難の実施や中止、変更についての基準を明らかにすること。
2.震度6以上の大地震を想定しながら、移動に支障はなく、自動閉鎖するはずの高速道路を使用し、渋滞を避けパトカーで先導した分刻みの進行としたが、現実的な様々な障害を前提とした訓練とすること。
3.広域避難に参加した住民は圧倒的に少なく、避難したとみなすだけで終わった福祉施設もある。住民の実践を伴う訓練を実施すること。
4.「緊急時モニタリング体制の実効性の検証」は車や船などによる測定で終わっているが、情報収集・分析をふくめた体制の整備をおこなうこと。また、実測値測定だけではなく、通常災害時は予報などをおこなうのであり、放射能拡散予測を住民に提供するためにSPEEDIの活用もおこなうこと。
5.避難の要となる中継所について、巨大な車両除染テントはあやべ球場しかなかったが、住民用除染テントや車両用ゲート型モニター、住民用ゲート型モニターを含め機器の規格統一や同一レベルの装備に高めること。除染後の水はポンプで専用容器に回収すること。
6.屋外テントでの住民の検査・除染は屋内に変えること。水の確保と管理も現地で実際に訓練すること。
7.安定ヨウ素剤を福井県内、京都府内全地域住民分を準備すること。UPZ内についても渋滞などが当然おこり、適切な配布が困難になることを想定し、事前に住民に配布しておくようにすること。今回の訓練では、福井県内で化学防護服を着用しない、ヨウ素剤に見立てた飴玉の配布の際に「国の指示があるまで服用しないで」とのチラシが配られた。これはスクリーニングや除染訓練と矛盾する内容であり、なぜこのようなちぐはぐな訓練となったのか、明らかにされたい。
8.自治体職員や消防署員、警察署員、民間のバス運転手、船の乗務員、消防団員など避難活動に携わる多くの人々を大量被ばくから守る対策を講じること。
9.避難先の自治体の受け入れ態勢の確立を促すこと。
10.必要な機器を府県が管理して原発事故発生後に各スクリーニングや関係ポイントにどう運搬・設置するか明確な基準を示すこと。
11.今回の訓練の「中間総括」を内閣府の責任でまず明らかにし、関係府県の住民の意見も聞く機会をもうけて最終的に仕上げること。来年以降も、広域訓練を順次福井県内各サイトを対象におこない、より充実した実効性の伴う計画にしていくこと。
<原子力規制委員会関係>
1.高浜1,2号機につづき美浜3号機についても40年超運転を認めるのは、それが「例外」ではなく60年運転が当たり前との原子力行政になりかねない。当初の規制委員会のスタンスとは大きく変化しており、地元からも批判がある。雑誌で規制委員会の広報室長が「残るリスクと得られる便益の比較による政治的判断ですから責任は持たない」と述べているが、まさに関西電力の利益のための判断でしかない。老朽化原発は一般的に事故確率も高くなるといわれており、原則「40年ルール」を規制委員会みずから破っていくことは改めること。
2.かかる老朽化原発再稼働にむけた無理な審査の中で担当課長の過労自殺がおこった。規制委員会の責任も重大である。労働時間制限を取り払わないとできない規制委員会の審査のあり方を見直すべきではないか。
3.高浜3,4号機のテロなどに備えた特定重大事故対処施設について。規制委員会は関西電力の申請内容を認める方向だが、その位置、機能、今後福井県などとの関係で必要となる手続きについて資料を提供し、明らかにされたい。
<文部科学省関係>
1.もんじゅについて、敦賀市議会で再稼働に向けた計画を説明したが、廃止議論がされているなかでまったく民意を無視した、その場を繕う行政であり許されない。今後、再稼働と廃止ふくめればさらに1兆円ともみられる壮大な無駄遣いは直ちに中止すること。
2.もんじゅ内で9月6日に発生した火災の調査状況と原因、再発防止対策について資料を提供し、説明されたい。
<経済産業省関係>
1.もんじゅ廃止議論とともに、あらたな高速炉開発、核燃料サイクル堅持の議論があるが、老朽化原発の延命と、危険なプルサーマル推進となる方針は抜本的に見直すこと。新たな高速炉開発はおこなわないこと。
<厚生労働省関係>
1.残業時間の限度基準を定めた大臣告示の対象から、原子力規制委員会の審査業務を外す通達を2013年にだしていたことと、今回明らかになった高浜原発審査担当の関電課長の過労自殺との因果関係は否定できない。
関電のなかでも残業青天井という風潮がはびこっていたことは想像にかたくない。こういう事態をうみだした国の責任で、規制委員会にたいする審査業務にあたる社員の労働時間について関電に立ち入り調査をおこない、全容を解明すること。ほかに自殺にいたらないまでも、過労による病気休職などの事案が発生していないか、確認すること。 当該通達は撤回すること。
以上
内閣府との交渉では、高浜原発事故を想定した訓練でヘリや船舶での避難が中止されたことについて、担当者は「住民の健康面に配慮した。実際の事故なら人命最優先でおこなう」と答弁。しかし訓練しないと課題の洗い出しもできないでしょう。
地震で高速が使えなくなるのに高速で避難した手法については、「今回は限られた半日の時間に押し込んだのでそういう想定をした」、と答弁し実際には通用しない内容だったことが裏付けられました。
担当者は「実践的訓練ができなかた。大変申し訳ない」などと述べました。
SPEEDIの活用については、自治体が活用できる、としましたが、それにもとづく具体的避難指示などは自治体の責任だ、などと述べました。私は、「原発時の対応には国が責任をもってあたる」との自治体への説明と食い違っている、と批判しました。
さらに福井県がヨウ素剤服用について、「国の指示があるまで服用しないで」とのチラシを配布し、京都府の対応と違った問題などでは、「放射能放出はない、という前提で福井県がつくった。国の指示の仕方も悪かった」「空間線量については、発電所の状況をみながら規制委員会が判断する。今回はこの規制委員会の判断を省略した。大変申し訳ない」などと答えました。
今後放射能拡散マニュアルおくのか、との倉林参議院議員の質問に、「今後しっかりやる」と約束しました。
また、私が訓練で161名の消防団が活動したのにヨウ素剤が配られていなかった問題を指摘したのに対し、「改善する」と約束しました。
中間総括をだし、関係者の、住民の意見を聴くよう求めたことにたいしては、「内部で相談する」と答えました。
このほか、再稼働に向けた申請業務にあたっていた関電課長が自殺し労災認定された問題を質疑しました。
規制庁は「事業者の要望にもとづいて対応している。労務管理は関電がやるべき。我々は関知しない」と答弁。私は、「あなたがたの審査のなかでおこった過労自殺に関知しないとはなにごとだ」と怒りました。
厚労省とのやりとりでは、「残業時間の限度基準を定めた大臣告示の対象から、原子力規制委員会の審査業務をはずす通達が2013年にだされたことと、今回明らかになった過労自殺との因果関係は」とただしたのに対し、担当者は「即答できない」と答え、否定できませんでした。
また、「通達をだす際に審査業務についての仕事量の確認はどのようにおこなったのか」とただしましたが明確な回答はありませんでした。
私は「九州電力の言いなりになって通達をだしたということだ」「それを水平展開してとんでもない」と批判しました。
このような前例がない通達をだしながら、出すにあたっての慎重な調査と検討が十分おこなわれていなかった疑いが深まりました。
■以下、申入れ文です。
2016年11月4日
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
内閣府原子力防災担当大臣 山本 公一 様
文部科学大臣 松野 博一 様
経済産業大臣 世耕 弘成 様
厚生労働大臣 塩崎 恭久 様
日本共産党福井県議会議員 佐藤 正雄
日本共産党小浜市会議員 宮崎 治宇蔵
日本共産党若狭町会議員 北原 武道
日本共産党京都府議会議員団長 前窪 義由紀
日本共産党舞鶴市会議員団長 後野 和史
日本共産党綾部市会議員団長 堀口 達也
原発防災訓練、老朽原発の運転延長、もんじゅ等に関する要望書
平成28年8月27日に実施された平成28年度高浜地域における内閣府・三府県及び関西広域連合合同原子力防災訓練、運転開始から40年を超えた高浜原発一号機二号機、美浜原発三号機の運転延長を行う審査合格の決定、もんじゅ廃止論議と新たな高速炉開発、関電社員の自殺問題などに関し、以下の通り要望します。
記
<原子力防災訓練について内閣府関係>
1.天候不良を理由にヘリも船も中止したが、天候による避難の実施や中止、変更についての基準を明らかにすること。
2.震度6以上の大地震を想定しながら、移動に支障はなく、自動閉鎖するはずの高速道路を使用し、渋滞を避けパトカーで先導した分刻みの進行としたが、現実的な様々な障害を前提とした訓練とすること。
3.広域避難に参加した住民は圧倒的に少なく、避難したとみなすだけで終わった福祉施設もある。住民の実践を伴う訓練を実施すること。
4.「緊急時モニタリング体制の実効性の検証」は車や船などによる測定で終わっているが、情報収集・分析をふくめた体制の整備をおこなうこと。また、実測値測定だけではなく、通常災害時は予報などをおこなうのであり、放射能拡散予測を住民に提供するためにSPEEDIの活用もおこなうこと。
5.避難の要となる中継所について、巨大な車両除染テントはあやべ球場しかなかったが、住民用除染テントや車両用ゲート型モニター、住民用ゲート型モニターを含め機器の規格統一や同一レベルの装備に高めること。除染後の水はポンプで専用容器に回収すること。
6.屋外テントでの住民の検査・除染は屋内に変えること。水の確保と管理も現地で実際に訓練すること。
7.安定ヨウ素剤を福井県内、京都府内全地域住民分を準備すること。UPZ内についても渋滞などが当然おこり、適切な配布が困難になることを想定し、事前に住民に配布しておくようにすること。今回の訓練では、福井県内で化学防護服を着用しない、ヨウ素剤に見立てた飴玉の配布の際に「国の指示があるまで服用しないで」とのチラシが配られた。これはスクリーニングや除染訓練と矛盾する内容であり、なぜこのようなちぐはぐな訓練となったのか、明らかにされたい。
8.自治体職員や消防署員、警察署員、民間のバス運転手、船の乗務員、消防団員など避難活動に携わる多くの人々を大量被ばくから守る対策を講じること。
9.避難先の自治体の受け入れ態勢の確立を促すこと。
10.必要な機器を府県が管理して原発事故発生後に各スクリーニングや関係ポイントにどう運搬・設置するか明確な基準を示すこと。
11.今回の訓練の「中間総括」を内閣府の責任でまず明らかにし、関係府県の住民の意見も聞く機会をもうけて最終的に仕上げること。来年以降も、広域訓練を順次福井県内各サイトを対象におこない、より充実した実効性の伴う計画にしていくこと。
<原子力規制委員会関係>
1.高浜1,2号機につづき美浜3号機についても40年超運転を認めるのは、それが「例外」ではなく60年運転が当たり前との原子力行政になりかねない。当初の規制委員会のスタンスとは大きく変化しており、地元からも批判がある。雑誌で規制委員会の広報室長が「残るリスクと得られる便益の比較による政治的判断ですから責任は持たない」と述べているが、まさに関西電力の利益のための判断でしかない。老朽化原発は一般的に事故確率も高くなるといわれており、原則「40年ルール」を規制委員会みずから破っていくことは改めること。
2.かかる老朽化原発再稼働にむけた無理な審査の中で担当課長の過労自殺がおこった。規制委員会の責任も重大である。労働時間制限を取り払わないとできない規制委員会の審査のあり方を見直すべきではないか。
3.高浜3,4号機のテロなどに備えた特定重大事故対処施設について。規制委員会は関西電力の申請内容を認める方向だが、その位置、機能、今後福井県などとの関係で必要となる手続きについて資料を提供し、明らかにされたい。
<文部科学省関係>
1.もんじゅについて、敦賀市議会で再稼働に向けた計画を説明したが、廃止議論がされているなかでまったく民意を無視した、その場を繕う行政であり許されない。今後、再稼働と廃止ふくめればさらに1兆円ともみられる壮大な無駄遣いは直ちに中止すること。
2.もんじゅ内で9月6日に発生した火災の調査状況と原因、再発防止対策について資料を提供し、説明されたい。
<経済産業省関係>
1.もんじゅ廃止議論とともに、あらたな高速炉開発、核燃料サイクル堅持の議論があるが、老朽化原発の延命と、危険なプルサーマル推進となる方針は抜本的に見直すこと。新たな高速炉開発はおこなわないこと。
<厚生労働省関係>
1.残業時間の限度基準を定めた大臣告示の対象から、原子力規制委員会の審査業務を外す通達を2013年にだしていたことと、今回明らかになった高浜原発審査担当の関電課長の過労自殺との因果関係は否定できない。
関電のなかでも残業青天井という風潮がはびこっていたことは想像にかたくない。こういう事態をうみだした国の責任で、規制委員会にたいする審査業務にあたる社員の労働時間について関電に立ち入り調査をおこない、全容を解明すること。ほかに自殺にいたらないまでも、過労による病気休職などの事案が発生していないか、確認すること。 当該通達は撤回すること。
以上