2016.10.06 : 平成28年予算決算特別委員会 での佐藤正雄議員の質疑を紹介します。
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
先日、10月2日に敦賀駅前にある福井大学附属国際原子力工学研究所の公開イベントがあって参加した。この施設は県内エネルギー研究開発拠点化計画の平成28年度推進方針でも、原子力プラント核燃料サイクル原子力防災危機管理にかかわる教育研究体制を確立し、国際協力のもと、日本及び世界の原子力の安全性向上を図る研究、国際的に活躍できる人材の育成を推進すると位置づけられている。原子力の拠点で開催される公開講座は、イベントであったので、行政関係者、電力事業者、市民の方など、相当の参加があるのかと思って参加したが、全く逆で、現在の「もんじゅ」廃止の議論の反映かもしれないけれども、たそがれを感じたわけである。原子力防災についての公開講座の先生も、広い教室にぱらぱらであったので、余りの参加者の少なさを嘆いておられた。
私は午後に行ったが、2階、3階の学生の皆さんが展示をして解説するコーナーでは、見学者が私1人という時間帯もあった。であるから、私も極力、学生の皆さんと話をさせてもらった。県も敦賀市も文部科学省などに対しては、いろいろと苦言を言われるわけであるが、県民理解という割には、足元の企画に協力姿勢が感じられないと感じた。学生との話の中では、一所懸命に今原子力を学んでいる熱い姿勢も感じた。
私は、原発再稼働に反対し、原発ゼロを目指す立場ではあるが、しかし、多くの原発があり、これから大量の廃止時代に入る、また核燃料物質があり、事故対策と避難計画も整備しなければならないという点で、若い学生の皆さんが真剣にこういう課題に取り組んでいる姿を目の当たりにして、福井県内でこういう皆さんに活躍していただくことは極めて重要だと改めて認識した。
であるから、学生の皆さんには励ましの言葉をかけた。ある学生の展示の中に、学生のスケジュール表があった。授業の時間、研究の時間とともに、アルバイトの時間もあった。そこで「自分の楽しみのためのアルバイトか」と質問したところ、即座に、「いえ、親に負担ばかりかけさせられないから」との返答であった。いろいろ話を聞くと、福井大学の場合、福井市の文京キャンパスで教養課程を勉強し、そして原子力安全工学コースの学生は、3年次から敦賀市に引っ越して、研究所での学生生活を送るとのことである。であるから、必ず引っ越ししなければならないという費用が発生するわけである。
調べてみると、同様に、福井県立大学海洋生物資源学部では、1年生は永平寺のキャンパスで勉強し、2年次からは小浜のキャンパスになるので、これも必ず引っ越ししなくてはならないことになる。敦賀市には看護大学もあるけれども、下宿代が高いので、金沢市や滋賀県から毎日通学する学生もいるとのことで、学生生活もなかなか大変である。
そこで知事に提案をしたいと思うのだが、福井県のいろいろな、広い意味での原子力の将来、水産の将来を考えて、アルバイトで生活を支えている学生の支援として、いわば強制的に引っ越しが必要となる福井大学と県立大学の学生について、引っ越し費用の助成制度をつくって支援をしたらどうかと思うが、見解を尋ねる。
◯総務部長 引っ越し費用に助成をとの提言であるけれども、県立大学においては海洋生物資源学部の学生が小浜キャンパスに進級する際の引っ越し代の一部、1万円を上限にしているけれども、これを支援している。それから、福井大学においては、今委員から示された学科の学生であるけれども、工学部の学生が敦賀キャンパスへ移動するのは今の1年生が3年生に進級する平成30年からであるので、今のところ対応は未定と伺っている。
◯佐藤委員 県立大学では1万円を上限にしているということで、さすがであると思うが、最近、学生の貧困ということもいろいろと言われているので、これからもしっかりと手当を考えていってほしいと思う。
それではさらに具体的に質問するが、自然災害時の住民の救援には、地元の消防団も大きな役割を果たすわけだが、原発事故災害時における消防団との連携はどのように考えているのか、また、8月末の防災訓練ではどのような活動が行われたのか伺う。
◯危機対策監 原子力の災害時において、消防団の方には、県から市町の消防を通じて要請を行い、その要請を受けて、要支援者や住民の方の避難誘導、あるいはその情報伝達において、役割を担っていただいている。今回の8月に行った訓練においても、消防団の方161名の方が、実際、避難指示等の広報並びに住民の避難誘導等についての訓練に参加していただいている。
また、避難先での住民の受け入れの場面においても、避難所の円滑な誘導であるとか、あるいは夜間の安全確保といった面では、受け入れる側の消防団の方も重要な役割を果たしているし、さらに事態がある程度安定した段階での復旧段階、こういったところでも、消防団の方には、我々も大きな期待をしているし、そういう活動をしていただいている。
そういうことで、県では消防団に対しては、避難誘導活動に必要な資機材、例えばトランシーバーであるとか、ヘッドライト、そういったものを整備する際の支援を行っている。加えて、県の消防学校においては、特に分団長などを対象に避難誘導や情報伝達の研修を実施している。
◯佐藤委員 実際に、消防団の方がそういう誘導、要支援者等の活動に携わる場合に、ヨウ素剤の服用配備というのはどういう体制になっているのか。
◯健康福祉部長 申しわけない。調べて後ほど回答する。
◯佐藤委員 事実上はされてないと思うのである。調べてみると、例えば舞鶴市役所の職員は原発事故災害出動前にはヨウ素剤を服用して出動する、それから消防団には消防署が届ける手はずになっていると聞いた。福井県では、今言われたように、実際にはこの放射線防護対策がとられないまま百六十数名であるか、仕事をさせられる。これは実際の原発事故であったら大変である。そうであろう。こういう無責任なことをやっていたらいけないと思うのだが、どうか。きちんと改善してほしい。
◯危機対策監 消防団の方の防護対策であるけども、消防団の方の活動をやっていただく際の、例えば防護服、防護マスクは消防本部、線量計はオフサイトセンターに配備をしているし、それについては、消防長の指揮のもとに活動していただくわけであるから、当然、出動の際にはオフサイトセンターあるいは消防本部から、そういった必要な装備はして、必要な場合は、現地に入っていただくことになると思う。
◯佐藤委員 最初は放射能漏れでなくても、大地震ということで出動する。ところが、時間の経過とともに原発も事故を起こすことも想定されるわけであるから、そういう点を考えて、先ほどの質問にもあったけれども、なるべく身近なところにヨウ素剤も配備して、服用可能にしておくことが危機管理上非常に大事だと思っている。
それから次に、高浜原発3・4号機の特定重大事故の施設、特重施設について、厚生常任委員会で理事者が「非公開の部分もあるけれども、県の原子力安全専門委員会でも報告審議する」と答弁をした。
そこで尋ねるが、最終的にこの特重施設で事故の進展が過酷事故になるのを抑制することもあるということか。
◯安全環境部長 特定重大事故等対処施設というのは、委員も承知のように、原子炉への故意の大型の航空機など、そういうテロによって、原子炉を冷却する機能が喪失する、あるいは炉心損傷が発生するおそれがある場合や、その炉心損傷した場合に備えて、格納容器の破損を防止するための機能を有する施設と定義づけをされているところである。
この施設には、電源、それから格納容器への注水設備とともに、これらの機能を制御する緊急時制御室を設置することが求められている。しかしながら、厚生常任委員会でも話したように、テロに関する施設であるので、具体的な設置位置、具体的な仕様といったところは非公開の部分があるので、我々としては公開されている部分で、確認できる部分はしっかり確認していきたいと考えている。
◯佐藤委員 具体的な内容はなかなか公開されない部分があるということなのだが、例えばこれは、インターネットで公開されている中国電力の特定重大事故等対象施設についてという資料であるが、これは誰でも見られる。インターネットで公開されている。どこにつくるか、場所も公開されている。どういう内容に備えてどういう施設をつくるかも公開されている。であるから、関西電力は非公開であるけれども、中国電力はなるべく情報を公開しているということか。
◯安全環境部長 どういう施設をつくるかということで、公開される部分については、我々もしっかり確認をしていく。それがどのように使われるかとか、そういうことも含めて非公開の部分もあろうかとは思うけれども、確認できる部分は専門委員会でしっかり確認していきたいと考えている。
◯佐藤委員 今言われたように、実際、ブラックボックスが大きくなるようでは県民としても不安なわけである。であるから、いざというときには、ここが最終的に安全を確保するかなめになることもあり得るわけだろう。
◯安全環境部長 テロ対策の整備のことであるが、本来の新規制基準では、非常用ディーゼル発電や電源車、恒設の注水ポンプや可搬型注水ポンプなど、電源とか冷却の多重化、多様化がしっかり図られている。それ以外に、テロに対応するものということで、特定の施設がつくられているということであるので、我々としては公開の範囲の中でしっかり確認をしていきたい。
◯佐藤委員 知事に尋ねるが、先日、稲田防衛大臣に、自衛隊を福井県に誘致して、原発の防護体制も強めてほしい、避難体制も強めてほしいという要望をしたと新聞で報道されていた。それで、今やりとりしたこの特定重大事故も想定されるということだろうと思うのだが、やはり、県の専門委員会としても、この内容はきちんと確認しないと、再稼働の判断にも影響するということか。
要するに、知事は先日、原発防護、避難体制という点で、自衛隊を嶺南につくってほしいと要望したであろう。であるから、今、そういうテロ対策などを含めた原発の施設で、今、議論していたわけである。であるから、こういう施設の内容が本当に県民の安全を守る内容になっていることを県の原子力安全専門委員会で確認されない限り、再稼働の判断はできないであろうと尋ねているのである。
◯安全環境部長 防衛大臣に要請したのは、本県として住民の避難等にかかわるものであり、ヘリコプターとかいろいろな航空機等が、悪天候の中でもきちんとバックアップできるような体制を要請したわけであり、テロの話を要請したわけではない。
◯佐藤委員 では、この特定重大事故に備えた施設については、知事としては確認できなくてもいいというわけか、そうではないだろう。やはり、こういう施設をつくる以上は、きちんと多重的につくられて、安全性がより担保されることが確認されることが必要なのだろう。
◯知 事 国や関係する省庁、所管の者がそれぞれ分担して全責任を負っているわけであって、我々は我々として責任を負う分野を全うするということである。その範囲とか限界については、今、安全環境部長も言ったように、さまざまなチェックをしていくということである。
◯佐藤委員 範囲の限界と言われたけれど、そういうことで最初からブラックボックスがつくられてしまうようでは、いざというときに県民の安全にも責任を持てなくなるという危険が浮き彫りになったので、やはりこの点はきちんとチェックをしてほしいと思う。
それから、関西電力は原子力事業者防災業務計画を策定し、美浜の原子力事業本部が活用できなくなった場合に、大阪本店を代替の施設として、移転訓練も行っていると聞いた。これは原子力災害で言えば、どういう事態を想定して移転訓練を行っているのか、また移転し、大阪本店での指揮機能が動き始めるまでの所要時間はどの程度と見ているのか伺う。
◯安全環境部長 まず、大前提であるけれども、関西電力の場合には、美浜に原子力事業本部があるので、原子力災害時には、美浜町の原子力事業本部と、さらに大阪の本店の両方に対策本部が設置される。そこで、両方が情報を共有しながら、一義的には、まず、美浜の原子力事業本部が発電所を指揮、支援をする。その場合に万が一、原子力事業本部の建屋が使えなくなったときには、そのときには既に本部には対策本部が立ち上がっているので、そこから指揮とか支援をするということである。
◯佐藤委員 もともと大阪にあった原子力事業本部が美浜町に移転した。事故が起こったときに、大阪と美浜の両方に対策本部が立ち上がるということだが、スタッフはどうなるのか。
◯安全環境部長 例えば、美浜の原子力事業本部には副社長がしっかりそこにいるとか、本店のほうには社長がいる。スタッフということでは、まずは発電所である。発電所が最初に制圧をするのである。発電所の所長に相当の権限を与えて、そこがやるということである。そこに対して、支援とか指揮とか、そういうものをしていくということであるので、制圧という意味では発電所で完結するものである。
◯佐藤委員 そういうことであれば、その防災業務計画でわざわざ移転訓練も必要ないということになってしまうので、議論の前提が崩れてしまうのだけれども、関西電力としてはそういうこともあり得るという、万が一の場合を想定して、移転訓練も行っているわけである。それで、伺うけれども、美浜の原子力事業本部がそういう移転をしなければいけない事態とは、どういう事態なのか。
◯安全環境部長 具体的なこういう場合にということを想定しているものではないが、例えば、建屋が使用不能になるといった、万が一のことも考えて、そこで指揮できなくなる要員が本店のほうに行くこともあるだろうと、想定の訓練をしているということである。
◯佐藤委員 なぜこういう質問をするかというと、きのう、原子力規制委員会は、美浜発電所3号機についても、まだ審査は残っているという報道であるけれども、適合との方針を出した。であるから、美浜の本部は、大飯発電所、高浜発電所とは距離があるけれども、美浜発電所3号機はある意味では近距離なわけであるから、私はやはり、原子力事業本部の近距離での原発再稼働は論外だということを、これまでも言ってきたわけである。この場でも言ったと思う。であるから、東京電力と福島発電所との距離は一応あったということで、指揮がうまくできたかどうかは別にして、そういう関係があると思うのである。そういう点で、高浜発電所1・2号機、今度は、美浜発電所3号機と、次々と老朽化原発を動かしていくと、老朽化原発のほうが、俗っぽく言えば、老朽化であるから、どうしても事故の確率も高くなるということも言えると思うのである。いろいろ手当はするだろうけれども、中心部の炉心は手当はできないということもあるわけであるから、そういう点で、よりリスクが高まるものを次々と再稼働していくという点では、知事は再稼働の判断と改良工事に入るかどうかは別だと、原子力規制委員会が認めたら入ってもらえばいいのだという立場であるけれども、原子力事業本部がすぐそばにある美浜発電所3号機まで、老朽化原発まで動かすことは、そもそも問題だという考えはないか。
◯知 事 美浜本部の場所とその話は直接は関係ないと思う。
◯佐藤委員 5キロ圏、30キロ圏、PAZ、UPZとして議論しているわけである。事故と距離が関係ないというのはおかしいのではないか。
◯知 事 関西電力は、大阪の本店と美浜の原子力事業本部の双方、そしてプラントの3重体制を組んでいるわけであるから、その3つの体制の中でやろうということなのである。であるから、いろいろな場合は想定されるけれども、それぞれが相互に、あるところで問題が起きたら、他のところが補完をすると、そういう訓練なり、あるいは想定なりをしているということである。
◯佐藤委員 では、知事に尋ねるけれども、今言ったように高浜発電所1・2号機、美浜発電所3号機、次は大飯発電所1・2号機ということになってくるのかもしれないけれども、本来、60年運転というのは例外だと言われていたわけである。40年が一応原則であると言われていたのが、福井県でも3基も60年運転が認められて、工事が始まろう、あるいは始まっているということについて、おかしいと思わないか。
◯知 事 40年超運転はこれから判断するわけであるから、それはそれとして議論しなければならない。
◯佐藤委員 結局、この60年運転を、40年超運転をなし崩し的に認めているという点では、知事の姿勢は重大だと思う。そういうことで、2年後、3年後に工事が終わってから、結局、原子力規制委員会が認めたのだから再稼働を認めるという方向になっていくという点では、原子力規制委員会もいいかげんだと思う。原子力規制委員会の広報室長も何と言っているかというと、「我々は再稼働の可否については判断しない。残るリスクと得られる便益の比較によって判断してもらえればいいのである。責任は持たない」と言っているのである。要するに、関西電力がもうかると判断すれば、事故の起こる確率、リスクと、関西電力のもうけと、それを判断すればいいみたいなことを平気で言っているわけである。だから私は規制委員会も非常に無責任だと思うし、そういう老朽化原発の工事入りを次々に認めていくという知事も無責任だと思う。そう思わないか。
◯知 事 原子力規制委員会に言ってもらって結構であるし、我々は議会とともにいろんな判断をするわけで、我々の判断にかかわっているということだと思う。
◯佐藤委員 これについてはまだ、引き続き議論していきたいと思うけども、福島原発事故を受けて、もともと40年と決められた制限がなし崩しに撤廃されていくことは許されないと思う。
「教育行政について」
◯佐藤委員 それから、次に教育行政について質問をする。
私はこの間、寄宿舎教育を語る会などで、寄宿舎指導員の皆さん、子供を寄宿舎に預けておられる親御さんたちと懇談をしてきた。また、盲学校の学校公開イベントにも参加をした。改めて、寄宿舎の重要性を痛感している。昨年の教育常任委員会では、視察も行って、寄宿舎指導員採用を要望し、一部実現をした。
そこで確認であるが、昨年の総務教育常任委員会で理事者は、寄宿舎指導員について、「今年度は若干名で募集をかけているところであり、計画的に採用していきたいと考えている」「今後とも計画的に採用していきたいと考えている」と繰り返し答弁し、議会に約束をしている。この方針に変更はないことを確認したいと思うが、答弁願う。
◯教育長 特別支援学校において寄宿舎は、障害を持つ児童生徒の自立、また社会参加に向けた支援をするという意味で重要であると考えており、現在、寄宿舎指導員95名であるけれども、そうした方が対象の児童生徒に対する生活指導など、大きな役割を担っていると認識している。
寄宿舎指導員の採用については、昨年度2名を採用しており、今年度においても採用試験を実施する方向で、今、進めているところである。退職者の動向等を踏まえながら、計画的に採用していく考え方である。
◯佐藤委員 議会でもいろいろな議員から、障害者教育の充実等々も語られているけれども、そういう支える場であるので、ぜひ、よろしくお願いしたい。
それから、質問が変わるが、ことし2016年3月末までの過去10年間で、知事部局、教育委員会、県警察、それぞれの自殺された方の数は何人か。うち公務災害として認定された方は何人か尋ねる。
◯総務部長 平成18年度から平成27年度までの10年間に、知事部局において自殺された方であるけれども、4名である。自殺事案で公務災害に認定されたものについては、地方公務員災害補償基金において回答しない対応としているので、知事部局、教育委員会、県警察を含め、自殺事案による公務災害の認定件数については回答を差し控えさせていただく。
◯教育長 教育委員会における過去10年間の自殺者数は9名である。
◯警察本部長 県警察職員の過去10年間における自殺者数は1人である。
◯佐藤委員 公務災害が──世間で言えば労災である──認定された人数が公表されないというのは、いかがかと思う。今、それで議論しても、全国的にそういう対応をとっているのであれば、また調べたいと思うが、今、答弁があったように、教育委員会が一番多いわけである。
先日もマスコミで報道されたが、上中中学校教員の自殺について、公務災害認定が先月6日付で出された。教員を志望して4年間の臨時採用を経て、ようやく念願の正採用となり、その年に長時間の時間外労働で精神疾患を発症し、自殺に至った残酷さ、無念さを思うと、言葉もない。
議会でも、私や同僚議員の皆さんが繰り返し教員の過重労働の改善問題を取り上げてきた。軽減策の実行を訴えてきた。今回、このような過重労働が原因で若い新採用教員の自殺者を出したことについて、教育長の反省と改善策を尋ねる。
◯教育長 今回、若狭町の中学校において日ごろから熱心に教育に取り組んでこられた現職の教員が亡くなられたことは、まことに残念であると思っている。
小中学校の教員の服務監督は、市町の教育委員会の権限であって、今回の事案については所管する若狭町が調査を行い、そして学校に対して長時間勤務の縮減など、業務改善策を指示しているところである。
勤務時間を縮減するためには、まず学校の現場にいる校長、また教頭が教員の勤務状況を把握し、その上で新採用の教員に対する助言など、教員同士が相談、また協力できる職場づくりを進めるのが一番大事であると思っている。県としても、全ての教員の出退時間の調査をこの年始めているし、校長を対象とした学校運営の研修なども実施するとともに、現在、部活動指導への支援、またICTを活用した事務の効率化、それから勤務時間外の保護者からの相談対応にもいろいろな工夫が要るということで、今後もそうしたことを通じて業務の改善に努めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 今回の自殺された方の公務災害の理由書も読ませてもらったけれども、この理由書を見れば、父親だと思うけれども、出勤時間は午前6時半から午前7時ごろが常態化、退勤時間も午後9時から午後10時半ごろで、午前0時を過ぎることもあったと、これは長時間労働が原因であるからそのように書かれている。
では、こういう長時間労働はこの先生だけの問題かというと、そうではない問題だと思うのである。これは、中学校だけではなく、小学校でも高校でも、時間の長短は多少あるだろうけれども、同じような状況があることは調査でも明らかになっていると思う。
今言ったようなICTの活用で事務の効率化とか、そういうことだけで、本当に超勤時間が減らせるのかというと、そうではないと思う。現場の教員が、どこで一番、仕事のやりくりに困っているのかというのは、どう把握しているのか。
◯教育長 ことし5月にも調査をしているけれども、その中では、授業準備のための教材作成とか次の日の授業準備といったものに時間がかかっていることが一番の原因になっている。もう一つは、中学校で一番多くなっているけれども、中学校は部活動があって、大体、6時半とか7時まで教員がそれに携わっていて、その後にそれをするということで、どうしても勤務が長くなっている状況があると理解している。
◯佐藤委員 これは組合の調査であるけれども、現場の先生は教育長の認識とは違うようなのである。アンケートがとられていて、多い順に二つをみると、ぜひ組合として改善に取り組んでほしいという第1点は、教員の定数をふやしてほしい、時間数を削減してほしいというのが873人、それから県が押しつけてくる事業の廃止とか削減をしてほしいというのが706人、これは重複しているけれども、そういう回答である。それから多忙化の要因として何があるかという調査では、国や県がおろしてくる各種事業への対応がトップで554人、それから2番目が、授業以外の会議や打ち合わせの時間が多いというのが498人である。
現場の教員は、国や県からのいろいろな事業やアンケートなどをもう少し減らしてもらうのが一番ありがたいと思っているのである。こういう認識はないのか。
◯教育長 先ほど申し上げた結果は、我々がことし5月に教員全員に聞いた結果であり、そういう傾向が出ている。部活動のことも影響があると出ており、ここ数年、校長会とも一緒になって、学校現場全体でいかに削減するかという相談もしている。ことし4月にはリーフレットにして、具体的に、各学校で会議を減らそうとか、黒板を使ってそこにメモで書いて済ませるものはこうしようとか、我々も、いろいろな調査文書などの削減もやってきたし、ある程度の進化はしてきていると思っている。
今言われたように、いろいろな調査はあると思うが、我々としては、過去の調査は一部の取り組み、部分調査であるけれども、今回、全員に対して行っているので、その中ではそのような結果が出ていた。ただ、今言われたような意見もあると思うので、我々もそれも参考にしながら、全体としてきちっと対応していく。
教職員の数の問題については、我々も国に対しても要求しているし、福井県独自でも県単で教員をふやしているけれども、皆さんも国に対してぜひ言っていただいて、ぜひ、ふやしてほしいというのが我々の気持ちである。
◯佐藤委員 そこで、県独自テストが始まったけれども、これについても1つ質問させていただく。
これは教員からも生徒からも、あまり評判がよろしくないと思うのである。例えば、「自分のためのテストなのか、県のためのテストなのか」と生徒から聞かれたという声がある。それから、教員からは「どの教科も平均点が30点から40点台というテストをやる意味があるのだろうか」とか、「テストをやることが最初に決まって、目的は後づけである。非常に迷惑している」という声が現場から出されているのである。
それで、内容の問題だけではなく、通常の学校の仕事に加えて、問題作成を現場の教員に強制していることも問題があると思う。テスト問題の作成委員の教員が交通事故を起こした。その交通事故を起こした教員の方は、自分がこんなに疲れているとは思わなかったと述べていたそうである。もうこんな現場の教員を、いじめることはやめてほしいというのが、現場教員の知事と教育長への強い要望だと思う。
そこで尋ねるが、問題作成委員の教員は何人で、その作業にかかわる時間外手当は何時間分、幾ら支給されたのか、答えてほしい。
◯教育長 この独自テストは、センター試験等を応用しているので、生徒にとっては実際の入試問題を解くということで、早期に進学意識が高められ、弱点の強化もでき、そして学力を高めることにつながっていくと考えている。また、教員にとっても、問題解説、それから問題作成の中で、いろいろな指導力の向上につながっていると思っている。
先ほど言われたようなことを、我々のところでいろいろと聞いてみると、先生方からは、試験の作成等の中で、いろいろな学校の先生と一緒に話すことができるので、非常に参考になる、また生徒からも、早い時期にいろいろな試験があるので、自分の弱点が見つかって助かるという意見も聞いている。
これについては、5教科で80名の方が携わり、作成会議、分析等で数回集まって、大体午後の時間からやり始め、時間内に終わっているのがほとんどである。ただ、一部の教科では非常に熱心にやったことで、時間を超過した部分もあると把握している。
先ほど言われた事故の件についても、その前日にやっているけれども、2時から始めて8時までやられたと聞いているが、その週について調査をすると、いつも8時までには学校から帰られている状況なので、直接それが該当しているのかどうかは我々にはわからないけれども、そういう状況である。
◯佐藤委員 時間が来たので終わるが、8時に学校から帰っても、それから仕事があるのである。だからもっと生徒に向き合わせてほしいというのが、現場の教員の声であるということを再度申し上げて、終わる。
◯佐藤委員 日本共産党の佐藤正雄である。
先日、10月2日に敦賀駅前にある福井大学附属国際原子力工学研究所の公開イベントがあって参加した。この施設は県内エネルギー研究開発拠点化計画の平成28年度推進方針でも、原子力プラント核燃料サイクル原子力防災危機管理にかかわる教育研究体制を確立し、国際協力のもと、日本及び世界の原子力の安全性向上を図る研究、国際的に活躍できる人材の育成を推進すると位置づけられている。原子力の拠点で開催される公開講座は、イベントであったので、行政関係者、電力事業者、市民の方など、相当の参加があるのかと思って参加したが、全く逆で、現在の「もんじゅ」廃止の議論の反映かもしれないけれども、たそがれを感じたわけである。原子力防災についての公開講座の先生も、広い教室にぱらぱらであったので、余りの参加者の少なさを嘆いておられた。
私は午後に行ったが、2階、3階の学生の皆さんが展示をして解説するコーナーでは、見学者が私1人という時間帯もあった。であるから、私も極力、学生の皆さんと話をさせてもらった。県も敦賀市も文部科学省などに対しては、いろいろと苦言を言われるわけであるが、県民理解という割には、足元の企画に協力姿勢が感じられないと感じた。学生との話の中では、一所懸命に今原子力を学んでいる熱い姿勢も感じた。
私は、原発再稼働に反対し、原発ゼロを目指す立場ではあるが、しかし、多くの原発があり、これから大量の廃止時代に入る、また核燃料物質があり、事故対策と避難計画も整備しなければならないという点で、若い学生の皆さんが真剣にこういう課題に取り組んでいる姿を目の当たりにして、福井県内でこういう皆さんに活躍していただくことは極めて重要だと改めて認識した。
であるから、学生の皆さんには励ましの言葉をかけた。ある学生の展示の中に、学生のスケジュール表があった。授業の時間、研究の時間とともに、アルバイトの時間もあった。そこで「自分の楽しみのためのアルバイトか」と質問したところ、即座に、「いえ、親に負担ばかりかけさせられないから」との返答であった。いろいろ話を聞くと、福井大学の場合、福井市の文京キャンパスで教養課程を勉強し、そして原子力安全工学コースの学生は、3年次から敦賀市に引っ越して、研究所での学生生活を送るとのことである。であるから、必ず引っ越ししなければならないという費用が発生するわけである。
調べてみると、同様に、福井県立大学海洋生物資源学部では、1年生は永平寺のキャンパスで勉強し、2年次からは小浜のキャンパスになるので、これも必ず引っ越ししなくてはならないことになる。敦賀市には看護大学もあるけれども、下宿代が高いので、金沢市や滋賀県から毎日通学する学生もいるとのことで、学生生活もなかなか大変である。
そこで知事に提案をしたいと思うのだが、福井県のいろいろな、広い意味での原子力の将来、水産の将来を考えて、アルバイトで生活を支えている学生の支援として、いわば強制的に引っ越しが必要となる福井大学と県立大学の学生について、引っ越し費用の助成制度をつくって支援をしたらどうかと思うが、見解を尋ねる。
◯総務部長 引っ越し費用に助成をとの提言であるけれども、県立大学においては海洋生物資源学部の学生が小浜キャンパスに進級する際の引っ越し代の一部、1万円を上限にしているけれども、これを支援している。それから、福井大学においては、今委員から示された学科の学生であるけれども、工学部の学生が敦賀キャンパスへ移動するのは今の1年生が3年生に進級する平成30年からであるので、今のところ対応は未定と伺っている。
◯佐藤委員 県立大学では1万円を上限にしているということで、さすがであると思うが、最近、学生の貧困ということもいろいろと言われているので、これからもしっかりと手当を考えていってほしいと思う。
それではさらに具体的に質問するが、自然災害時の住民の救援には、地元の消防団も大きな役割を果たすわけだが、原発事故災害時における消防団との連携はどのように考えているのか、また、8月末の防災訓練ではどのような活動が行われたのか伺う。
◯危機対策監 原子力の災害時において、消防団の方には、県から市町の消防を通じて要請を行い、その要請を受けて、要支援者や住民の方の避難誘導、あるいはその情報伝達において、役割を担っていただいている。今回の8月に行った訓練においても、消防団の方161名の方が、実際、避難指示等の広報並びに住民の避難誘導等についての訓練に参加していただいている。
また、避難先での住民の受け入れの場面においても、避難所の円滑な誘導であるとか、あるいは夜間の安全確保といった面では、受け入れる側の消防団の方も重要な役割を果たしているし、さらに事態がある程度安定した段階での復旧段階、こういったところでも、消防団の方には、我々も大きな期待をしているし、そういう活動をしていただいている。
そういうことで、県では消防団に対しては、避難誘導活動に必要な資機材、例えばトランシーバーであるとか、ヘッドライト、そういったものを整備する際の支援を行っている。加えて、県の消防学校においては、特に分団長などを対象に避難誘導や情報伝達の研修を実施している。
◯佐藤委員 実際に、消防団の方がそういう誘導、要支援者等の活動に携わる場合に、ヨウ素剤の服用配備というのはどういう体制になっているのか。
◯健康福祉部長 申しわけない。調べて後ほど回答する。
◯佐藤委員 事実上はされてないと思うのである。調べてみると、例えば舞鶴市役所の職員は原発事故災害出動前にはヨウ素剤を服用して出動する、それから消防団には消防署が届ける手はずになっていると聞いた。福井県では、今言われたように、実際にはこの放射線防護対策がとられないまま百六十数名であるか、仕事をさせられる。これは実際の原発事故であったら大変である。そうであろう。こういう無責任なことをやっていたらいけないと思うのだが、どうか。きちんと改善してほしい。
◯危機対策監 消防団の方の防護対策であるけども、消防団の方の活動をやっていただく際の、例えば防護服、防護マスクは消防本部、線量計はオフサイトセンターに配備をしているし、それについては、消防長の指揮のもとに活動していただくわけであるから、当然、出動の際にはオフサイトセンターあるいは消防本部から、そういった必要な装備はして、必要な場合は、現地に入っていただくことになると思う。
◯佐藤委員 最初は放射能漏れでなくても、大地震ということで出動する。ところが、時間の経過とともに原発も事故を起こすことも想定されるわけであるから、そういう点を考えて、先ほどの質問にもあったけれども、なるべく身近なところにヨウ素剤も配備して、服用可能にしておくことが危機管理上非常に大事だと思っている。
それから次に、高浜原発3・4号機の特定重大事故の施設、特重施設について、厚生常任委員会で理事者が「非公開の部分もあるけれども、県の原子力安全専門委員会でも報告審議する」と答弁をした。
そこで尋ねるが、最終的にこの特重施設で事故の進展が過酷事故になるのを抑制することもあるということか。
◯安全環境部長 特定重大事故等対処施設というのは、委員も承知のように、原子炉への故意の大型の航空機など、そういうテロによって、原子炉を冷却する機能が喪失する、あるいは炉心損傷が発生するおそれがある場合や、その炉心損傷した場合に備えて、格納容器の破損を防止するための機能を有する施設と定義づけをされているところである。
この施設には、電源、それから格納容器への注水設備とともに、これらの機能を制御する緊急時制御室を設置することが求められている。しかしながら、厚生常任委員会でも話したように、テロに関する施設であるので、具体的な設置位置、具体的な仕様といったところは非公開の部分があるので、我々としては公開されている部分で、確認できる部分はしっかり確認していきたいと考えている。
◯佐藤委員 具体的な内容はなかなか公開されない部分があるということなのだが、例えばこれは、インターネットで公開されている中国電力の特定重大事故等対象施設についてという資料であるが、これは誰でも見られる。インターネットで公開されている。どこにつくるか、場所も公開されている。どういう内容に備えてどういう施設をつくるかも公開されている。であるから、関西電力は非公開であるけれども、中国電力はなるべく情報を公開しているということか。
◯安全環境部長 どういう施設をつくるかということで、公開される部分については、我々もしっかり確認をしていく。それがどのように使われるかとか、そういうことも含めて非公開の部分もあろうかとは思うけれども、確認できる部分は専門委員会でしっかり確認していきたいと考えている。
◯佐藤委員 今言われたように、実際、ブラックボックスが大きくなるようでは県民としても不安なわけである。であるから、いざというときには、ここが最終的に安全を確保するかなめになることもあり得るわけだろう。
◯安全環境部長 テロ対策の整備のことであるが、本来の新規制基準では、非常用ディーゼル発電や電源車、恒設の注水ポンプや可搬型注水ポンプなど、電源とか冷却の多重化、多様化がしっかり図られている。それ以外に、テロに対応するものということで、特定の施設がつくられているということであるので、我々としては公開の範囲の中でしっかり確認をしていきたい。
◯佐藤委員 知事に尋ねるが、先日、稲田防衛大臣に、自衛隊を福井県に誘致して、原発の防護体制も強めてほしい、避難体制も強めてほしいという要望をしたと新聞で報道されていた。それで、今やりとりしたこの特定重大事故も想定されるということだろうと思うのだが、やはり、県の専門委員会としても、この内容はきちんと確認しないと、再稼働の判断にも影響するということか。
要するに、知事は先日、原発防護、避難体制という点で、自衛隊を嶺南につくってほしいと要望したであろう。であるから、今、そういうテロ対策などを含めた原発の施設で、今、議論していたわけである。であるから、こういう施設の内容が本当に県民の安全を守る内容になっていることを県の原子力安全専門委員会で確認されない限り、再稼働の判断はできないであろうと尋ねているのである。
◯安全環境部長 防衛大臣に要請したのは、本県として住民の避難等にかかわるものであり、ヘリコプターとかいろいろな航空機等が、悪天候の中でもきちんとバックアップできるような体制を要請したわけであり、テロの話を要請したわけではない。
◯佐藤委員 では、この特定重大事故に備えた施設については、知事としては確認できなくてもいいというわけか、そうではないだろう。やはり、こういう施設をつくる以上は、きちんと多重的につくられて、安全性がより担保されることが確認されることが必要なのだろう。
◯知 事 国や関係する省庁、所管の者がそれぞれ分担して全責任を負っているわけであって、我々は我々として責任を負う分野を全うするということである。その範囲とか限界については、今、安全環境部長も言ったように、さまざまなチェックをしていくということである。
◯佐藤委員 範囲の限界と言われたけれど、そういうことで最初からブラックボックスがつくられてしまうようでは、いざというときに県民の安全にも責任を持てなくなるという危険が浮き彫りになったので、やはりこの点はきちんとチェックをしてほしいと思う。
それから、関西電力は原子力事業者防災業務計画を策定し、美浜の原子力事業本部が活用できなくなった場合に、大阪本店を代替の施設として、移転訓練も行っていると聞いた。これは原子力災害で言えば、どういう事態を想定して移転訓練を行っているのか、また移転し、大阪本店での指揮機能が動き始めるまでの所要時間はどの程度と見ているのか伺う。
◯安全環境部長 まず、大前提であるけれども、関西電力の場合には、美浜に原子力事業本部があるので、原子力災害時には、美浜町の原子力事業本部と、さらに大阪の本店の両方に対策本部が設置される。そこで、両方が情報を共有しながら、一義的には、まず、美浜の原子力事業本部が発電所を指揮、支援をする。その場合に万が一、原子力事業本部の建屋が使えなくなったときには、そのときには既に本部には対策本部が立ち上がっているので、そこから指揮とか支援をするということである。
◯佐藤委員 もともと大阪にあった原子力事業本部が美浜町に移転した。事故が起こったときに、大阪と美浜の両方に対策本部が立ち上がるということだが、スタッフはどうなるのか。
◯安全環境部長 例えば、美浜の原子力事業本部には副社長がしっかりそこにいるとか、本店のほうには社長がいる。スタッフということでは、まずは発電所である。発電所が最初に制圧をするのである。発電所の所長に相当の権限を与えて、そこがやるということである。そこに対して、支援とか指揮とか、そういうものをしていくということであるので、制圧という意味では発電所で完結するものである。
◯佐藤委員 そういうことであれば、その防災業務計画でわざわざ移転訓練も必要ないということになってしまうので、議論の前提が崩れてしまうのだけれども、関西電力としてはそういうこともあり得るという、万が一の場合を想定して、移転訓練も行っているわけである。それで、伺うけれども、美浜の原子力事業本部がそういう移転をしなければいけない事態とは、どういう事態なのか。
◯安全環境部長 具体的なこういう場合にということを想定しているものではないが、例えば、建屋が使用不能になるといった、万が一のことも考えて、そこで指揮できなくなる要員が本店のほうに行くこともあるだろうと、想定の訓練をしているということである。
◯佐藤委員 なぜこういう質問をするかというと、きのう、原子力規制委員会は、美浜発電所3号機についても、まだ審査は残っているという報道であるけれども、適合との方針を出した。であるから、美浜の本部は、大飯発電所、高浜発電所とは距離があるけれども、美浜発電所3号機はある意味では近距離なわけであるから、私はやはり、原子力事業本部の近距離での原発再稼働は論外だということを、これまでも言ってきたわけである。この場でも言ったと思う。であるから、東京電力と福島発電所との距離は一応あったということで、指揮がうまくできたかどうかは別にして、そういう関係があると思うのである。そういう点で、高浜発電所1・2号機、今度は、美浜発電所3号機と、次々と老朽化原発を動かしていくと、老朽化原発のほうが、俗っぽく言えば、老朽化であるから、どうしても事故の確率も高くなるということも言えると思うのである。いろいろ手当はするだろうけれども、中心部の炉心は手当はできないということもあるわけであるから、そういう点で、よりリスクが高まるものを次々と再稼働していくという点では、知事は再稼働の判断と改良工事に入るかどうかは別だと、原子力規制委員会が認めたら入ってもらえばいいのだという立場であるけれども、原子力事業本部がすぐそばにある美浜発電所3号機まで、老朽化原発まで動かすことは、そもそも問題だという考えはないか。
◯知 事 美浜本部の場所とその話は直接は関係ないと思う。
◯佐藤委員 5キロ圏、30キロ圏、PAZ、UPZとして議論しているわけである。事故と距離が関係ないというのはおかしいのではないか。
◯知 事 関西電力は、大阪の本店と美浜の原子力事業本部の双方、そしてプラントの3重体制を組んでいるわけであるから、その3つの体制の中でやろうということなのである。であるから、いろいろな場合は想定されるけれども、それぞれが相互に、あるところで問題が起きたら、他のところが補完をすると、そういう訓練なり、あるいは想定なりをしているということである。
◯佐藤委員 では、知事に尋ねるけれども、今言ったように高浜発電所1・2号機、美浜発電所3号機、次は大飯発電所1・2号機ということになってくるのかもしれないけれども、本来、60年運転というのは例外だと言われていたわけである。40年が一応原則であると言われていたのが、福井県でも3基も60年運転が認められて、工事が始まろう、あるいは始まっているということについて、おかしいと思わないか。
◯知 事 40年超運転はこれから判断するわけであるから、それはそれとして議論しなければならない。
◯佐藤委員 結局、この60年運転を、40年超運転をなし崩し的に認めているという点では、知事の姿勢は重大だと思う。そういうことで、2年後、3年後に工事が終わってから、結局、原子力規制委員会が認めたのだから再稼働を認めるという方向になっていくという点では、原子力規制委員会もいいかげんだと思う。原子力規制委員会の広報室長も何と言っているかというと、「我々は再稼働の可否については判断しない。残るリスクと得られる便益の比較によって判断してもらえればいいのである。責任は持たない」と言っているのである。要するに、関西電力がもうかると判断すれば、事故の起こる確率、リスクと、関西電力のもうけと、それを判断すればいいみたいなことを平気で言っているわけである。だから私は規制委員会も非常に無責任だと思うし、そういう老朽化原発の工事入りを次々に認めていくという知事も無責任だと思う。そう思わないか。
◯知 事 原子力規制委員会に言ってもらって結構であるし、我々は議会とともにいろんな判断をするわけで、我々の判断にかかわっているということだと思う。
◯佐藤委員 これについてはまだ、引き続き議論していきたいと思うけども、福島原発事故を受けて、もともと40年と決められた制限がなし崩しに撤廃されていくことは許されないと思う。
「教育行政について」
◯佐藤委員 それから、次に教育行政について質問をする。
私はこの間、寄宿舎教育を語る会などで、寄宿舎指導員の皆さん、子供を寄宿舎に預けておられる親御さんたちと懇談をしてきた。また、盲学校の学校公開イベントにも参加をした。改めて、寄宿舎の重要性を痛感している。昨年の教育常任委員会では、視察も行って、寄宿舎指導員採用を要望し、一部実現をした。
そこで確認であるが、昨年の総務教育常任委員会で理事者は、寄宿舎指導員について、「今年度は若干名で募集をかけているところであり、計画的に採用していきたいと考えている」「今後とも計画的に採用していきたいと考えている」と繰り返し答弁し、議会に約束をしている。この方針に変更はないことを確認したいと思うが、答弁願う。
◯教育長 特別支援学校において寄宿舎は、障害を持つ児童生徒の自立、また社会参加に向けた支援をするという意味で重要であると考えており、現在、寄宿舎指導員95名であるけれども、そうした方が対象の児童生徒に対する生活指導など、大きな役割を担っていると認識している。
寄宿舎指導員の採用については、昨年度2名を採用しており、今年度においても採用試験を実施する方向で、今、進めているところである。退職者の動向等を踏まえながら、計画的に採用していく考え方である。
◯佐藤委員 議会でもいろいろな議員から、障害者教育の充実等々も語られているけれども、そういう支える場であるので、ぜひ、よろしくお願いしたい。
それから、質問が変わるが、ことし2016年3月末までの過去10年間で、知事部局、教育委員会、県警察、それぞれの自殺された方の数は何人か。うち公務災害として認定された方は何人か尋ねる。
◯総務部長 平成18年度から平成27年度までの10年間に、知事部局において自殺された方であるけれども、4名である。自殺事案で公務災害に認定されたものについては、地方公務員災害補償基金において回答しない対応としているので、知事部局、教育委員会、県警察を含め、自殺事案による公務災害の認定件数については回答を差し控えさせていただく。
◯教育長 教育委員会における過去10年間の自殺者数は9名である。
◯警察本部長 県警察職員の過去10年間における自殺者数は1人である。
◯佐藤委員 公務災害が──世間で言えば労災である──認定された人数が公表されないというのは、いかがかと思う。今、それで議論しても、全国的にそういう対応をとっているのであれば、また調べたいと思うが、今、答弁があったように、教育委員会が一番多いわけである。
先日もマスコミで報道されたが、上中中学校教員の自殺について、公務災害認定が先月6日付で出された。教員を志望して4年間の臨時採用を経て、ようやく念願の正採用となり、その年に長時間の時間外労働で精神疾患を発症し、自殺に至った残酷さ、無念さを思うと、言葉もない。
議会でも、私や同僚議員の皆さんが繰り返し教員の過重労働の改善問題を取り上げてきた。軽減策の実行を訴えてきた。今回、このような過重労働が原因で若い新採用教員の自殺者を出したことについて、教育長の反省と改善策を尋ねる。
◯教育長 今回、若狭町の中学校において日ごろから熱心に教育に取り組んでこられた現職の教員が亡くなられたことは、まことに残念であると思っている。
小中学校の教員の服務監督は、市町の教育委員会の権限であって、今回の事案については所管する若狭町が調査を行い、そして学校に対して長時間勤務の縮減など、業務改善策を指示しているところである。
勤務時間を縮減するためには、まず学校の現場にいる校長、また教頭が教員の勤務状況を把握し、その上で新採用の教員に対する助言など、教員同士が相談、また協力できる職場づくりを進めるのが一番大事であると思っている。県としても、全ての教員の出退時間の調査をこの年始めているし、校長を対象とした学校運営の研修なども実施するとともに、現在、部活動指導への支援、またICTを活用した事務の効率化、それから勤務時間外の保護者からの相談対応にもいろいろな工夫が要るということで、今後もそうしたことを通じて業務の改善に努めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 今回の自殺された方の公務災害の理由書も読ませてもらったけれども、この理由書を見れば、父親だと思うけれども、出勤時間は午前6時半から午前7時ごろが常態化、退勤時間も午後9時から午後10時半ごろで、午前0時を過ぎることもあったと、これは長時間労働が原因であるからそのように書かれている。
では、こういう長時間労働はこの先生だけの問題かというと、そうではない問題だと思うのである。これは、中学校だけではなく、小学校でも高校でも、時間の長短は多少あるだろうけれども、同じような状況があることは調査でも明らかになっていると思う。
今言ったようなICTの活用で事務の効率化とか、そういうことだけで、本当に超勤時間が減らせるのかというと、そうではないと思う。現場の教員が、どこで一番、仕事のやりくりに困っているのかというのは、どう把握しているのか。
◯教育長 ことし5月にも調査をしているけれども、その中では、授業準備のための教材作成とか次の日の授業準備といったものに時間がかかっていることが一番の原因になっている。もう一つは、中学校で一番多くなっているけれども、中学校は部活動があって、大体、6時半とか7時まで教員がそれに携わっていて、その後にそれをするということで、どうしても勤務が長くなっている状況があると理解している。
◯佐藤委員 これは組合の調査であるけれども、現場の先生は教育長の認識とは違うようなのである。アンケートがとられていて、多い順に二つをみると、ぜひ組合として改善に取り組んでほしいという第1点は、教員の定数をふやしてほしい、時間数を削減してほしいというのが873人、それから県が押しつけてくる事業の廃止とか削減をしてほしいというのが706人、これは重複しているけれども、そういう回答である。それから多忙化の要因として何があるかという調査では、国や県がおろしてくる各種事業への対応がトップで554人、それから2番目が、授業以外の会議や打ち合わせの時間が多いというのが498人である。
現場の教員は、国や県からのいろいろな事業やアンケートなどをもう少し減らしてもらうのが一番ありがたいと思っているのである。こういう認識はないのか。
◯教育長 先ほど申し上げた結果は、我々がことし5月に教員全員に聞いた結果であり、そういう傾向が出ている。部活動のことも影響があると出ており、ここ数年、校長会とも一緒になって、学校現場全体でいかに削減するかという相談もしている。ことし4月にはリーフレットにして、具体的に、各学校で会議を減らそうとか、黒板を使ってそこにメモで書いて済ませるものはこうしようとか、我々も、いろいろな調査文書などの削減もやってきたし、ある程度の進化はしてきていると思っている。
今言われたように、いろいろな調査はあると思うが、我々としては、過去の調査は一部の取り組み、部分調査であるけれども、今回、全員に対して行っているので、その中ではそのような結果が出ていた。ただ、今言われたような意見もあると思うので、我々もそれも参考にしながら、全体としてきちっと対応していく。
教職員の数の問題については、我々も国に対しても要求しているし、福井県独自でも県単で教員をふやしているけれども、皆さんも国に対してぜひ言っていただいて、ぜひ、ふやしてほしいというのが我々の気持ちである。
◯佐藤委員 そこで、県独自テストが始まったけれども、これについても1つ質問させていただく。
これは教員からも生徒からも、あまり評判がよろしくないと思うのである。例えば、「自分のためのテストなのか、県のためのテストなのか」と生徒から聞かれたという声がある。それから、教員からは「どの教科も平均点が30点から40点台というテストをやる意味があるのだろうか」とか、「テストをやることが最初に決まって、目的は後づけである。非常に迷惑している」という声が現場から出されているのである。
それで、内容の問題だけではなく、通常の学校の仕事に加えて、問題作成を現場の教員に強制していることも問題があると思う。テスト問題の作成委員の教員が交通事故を起こした。その交通事故を起こした教員の方は、自分がこんなに疲れているとは思わなかったと述べていたそうである。もうこんな現場の教員を、いじめることはやめてほしいというのが、現場教員の知事と教育長への強い要望だと思う。
そこで尋ねるが、問題作成委員の教員は何人で、その作業にかかわる時間外手当は何時間分、幾ら支給されたのか、答えてほしい。
◯教育長 この独自テストは、センター試験等を応用しているので、生徒にとっては実際の入試問題を解くということで、早期に進学意識が高められ、弱点の強化もでき、そして学力を高めることにつながっていくと考えている。また、教員にとっても、問題解説、それから問題作成の中で、いろいろな指導力の向上につながっていると思っている。
先ほど言われたようなことを、我々のところでいろいろと聞いてみると、先生方からは、試験の作成等の中で、いろいろな学校の先生と一緒に話すことができるので、非常に参考になる、また生徒からも、早い時期にいろいろな試験があるので、自分の弱点が見つかって助かるという意見も聞いている。
これについては、5教科で80名の方が携わり、作成会議、分析等で数回集まって、大体午後の時間からやり始め、時間内に終わっているのがほとんどである。ただ、一部の教科では非常に熱心にやったことで、時間を超過した部分もあると把握している。
先ほど言われた事故の件についても、その前日にやっているけれども、2時から始めて8時までやられたと聞いているが、その週について調査をすると、いつも8時までには学校から帰られている状況なので、直接それが該当しているのかどうかは我々にはわからないけれども、そういう状況である。
◯佐藤委員 時間が来たので終わるが、8時に学校から帰っても、それから仕事があるのである。だからもっと生徒に向き合わせてほしいというのが、現場の教員の声であるということを再度申し上げて、終わる。