昨日は、一般質問、各派代表者会議、広報会議などでした。
知事は、大飯再稼働についての議論取りまとめを議会に要請しながら、「高浜・大飯原発の同時事故を想定した広域の原子力防災訓練を」「県として県民への説明を」との要求にはまともに答えませんでした。「大飯事故についての訓練計画の公表を国に求めている」「個別具体の団体の要請には責任もって対応している」などと答えただけでした。
関電の再稼働のスケジュールに福井県や福井県議会があわせる必要はありません。
大事なことは、「事故時にも県民が安全に避難できるか、の検証」「大飯原発に合格証をだした元原子力規制委員の島崎氏も大飯原発は危ない、と立場を変更している。不安に思う県民に丁寧な説明をすること」ではないでしょうか。
■質問内容
1、大飯原発再稼働問題と知事の責任
まず、大飯原発再稼働問題と知事の責任について質問します。
●関西電力は高浜、大飯原発の同時事故の訓練をおこないました。福島原発事故や東日本大震災でほかの原発もクライシス直前、首の皮1枚で冷却に成功したことを考えれば当然の想定と訓練です。
そもそも昨年8月の高浜原発事故を想定した県外避難をふくむ訓練でも問題点、課題が山積でした。ほんらいなら、再稼働している高浜原発についてふたたび事故を想定した県外避難訓練を教訓をふまえておこなうべきであるのにやられていません。大飯原発再稼働判断の前に、県として責任をもって国や関係自治体とも連携して高浜、大飯の同時事故を想定した県外避難をふくむ住民参加の原子力防災訓練をおこなうべきではありませんか、知事の見解をおたずねします。
ところで知事が、県民への説明責任を自ら果たそうとしていないことはきわめて不誠実です。
事故が起これば、福島原発事故をみても立地自治体だけの被害ではありません。
また、県知事が最終的な再稼働についての判断をする手法をとっており、地元町長の判断だけで再稼働するのではありません。
再稼働判断は広域的に県知事が判断し、事故が起これば広域に被害が及びます。なにも、高浜、大飯の町民だけに説明すれば足りる課題ではないのです。
先日、住民団体のみなさんが公開説明会開催と参加を県庁や関西電力に要請しました。
県庁の他部局では県民の求めに応じて、県の担当部署の職員が各地に説明に出向くのは日常茶飯事であり、これ抜きでは県民理解を各事業で得ていくことはできないでしょう。
知事は説明責任と理解活動を国と事業者にだけ押し付けるのではなく、知事自ら、県庁みずからが再稼働にあたっての県民への説明活動に責任を果たすべきではありませんか。
● 住民団体の求めに応じて、大飯原発について県内でおこなわれる住民団体主催の公開説明会に事情に詳しい副知事または安全環境部長、または県職員を派遣することを求めますが知事の見解をおたずねします。
また日頃の知事の発言通り、事業者である関西電力が県民の求めに応じて説明会に出向くことは当然と考えますが、念のため知事の見解をおたずねします。
2、新幹線、3セク トップ交渉で県民益を守れ
つぎに新幹線と北陸線第三セクター化に関して質問します。
9月8日早朝、あわら市柿原の北陸新幹線柿原トンネルの工事現場で、土砂崩落が発生し、トンネル上部にある柿原グラウンドが直径15メートルにわたって陥没しました。
負傷者がでなかったことは幸いでしたが、作業員やグラウンド使用の住民が巻き込まれれば大惨事は避けられず、このような重大事故を起こしたことはきわめて重大です。
事故原因究明と再発防止対策に全力をあげなければなりません。コスト面からナトム工法が主流ですが、地表面に今回のような住民施設などがある場合、より安全側にたった対応が求められます。
そういう点では地表面の沈下などを測定し、ゆるみの限界を超えないように吹き付けコンクリートの厚さなどを加減することが必要、とは都市部でのナトム工法の原則ですが、こういう点が守られていたのかどうか、県民に明らかにしていただくことが必要です。
また、少し前には地元住民に対するトンネルの説明会も開かれていただけに、住民の不安感情は大きいものがあり、ていねいな説明会開催などが必要です。
11日に私たちも鉄道・運輸機構に対して要請活動をおこないました。県も口頭で要請をおこなったとのことですが、県民の安全第一に万全を期していただきたいと思います。
さて、平成34年度末の新幹線敦賀開業と長大な北陸本線の第三セクター化がいよいよ目前にせまってきました。
私は、知事とJR西日本社長のトップ交渉を早くおこない、大事な点での道筋をつけることが必要だと思います。
●第一は、第三セクターとしてやむを得ず引き受けなければならなくなる北陸本線にかかる資産すべてについて、もともとは国有財産であったことなどにかんがみ、また第三セクターの予測される厳しい経営を考慮すれば、無償で譲渡すべき、と求めるべきではありませんか。知事の見解をおたずねします。
●第二に、JR九州も事実上導入見送りといわれているFGTについてです。導入する民間会社がなければ国費を投入して開発する必要はまったくありません。
北陸新幹線での導入めどもまったくたっていません。しかし国土交通省は新年度も開発予算を計上するとしています。
そこで、知事はJR西社長に対して、開発成功と早期導入の見込みのうすいFGT導入はお互いの利益にならず、もうやめましょう、と働きかけるべきではありませんか。
このままずるずるとFGT開発が続けられても県民と利用者の利益、さらにはJR西の利益にもまったくならずに終わる危険があるのですから、JR西の判断が大事です。
JR西がFGTを導入しない、と経営判断すれば、国によるFGT開発の理由はなくなります。知事の見解をおたずねします。
こうしてこそ、県議会も決議した在来線特急存続への道がひらけるのではないでしょうか。
3、「15の春を泣かせるな」 高校入試英検加点の問題など
つぎに高校入試での英検加点制度について質問します。
高校入試での合否の差は1点をめぐる争いになることも多いと関係者からお聞きします。とくに受験生の多い高校ではその傾向は高くなります。前議会でも議会意見書があげられた英検加点はまさに受験生にとってはいわば黒船来襲の衝撃となります。
教育委員会は英検加点で最大英語だけ115点としていた計算を100点満点のなかで計算するから他教科と満点は100点で変わらない方式に変更した、と説明します。
しかしこれは福井県教育委員会版の朝三暮四にほかなりません。県議会議員はサルではないのです。ごまかされません。
英検によって英語のみ5点から15点加点するという、公正さを欠く採点が持ち込まれることには変わりません。問題の本質は変わらないのです。
だから文部科学省も「公正、公平、透明性のある入学者選抜が求められる。福井県教育委員会の英検で加点するのは問題がある、ともないとも言えない」と答えています。つまり、文部科学省も選抜方法に問題なし、とは言えないグレーな手法で15歳の人生を左右しかねないのは大問題ではありませんか。
従来の公平な選抜では合格できたが、この選抜方法のために不合格になる生徒がでたらどう責任をとるのですか。
● 15の春を行政の不公正な選抜で泣かせてはなりません。あらためて15の春を公平性に欠く選抜によって泣かせかねない英検加点はやめるべきではありませんか、見解をおたずねします。
● また、現在の計画のまま仮に強行するのであれば救済策を検討すべきです。そもそもこのような受験方式の変更は2年生の時に周知して備えるのならともかく現在の3年生から導入するのには準備が間に合わない生徒もおり、無理があります。
したがって、来春の入試では現行の方法と英検加点の方法との2方式で採点をおこない、仮に現行の方法で合格になる受験生が新方式では不合格になる場合は英検導入年度の特例措置として救済を考えるべきではありませんか。そしてその高校別のデータを県議会に公表するように求めますが、見解をおたずねします。
4、国保について
つぎに、国民健康保険制度について質問します。
来年4月から福井県が国保財政に責任をもつことになります。
これをいかして2つの提案をおこないます。いずれもこれまで提案してきたことです。
ひとつは、こどもの数が増えれば増えるほど増税となる矛盾の解消にのりだすことです。
これは全国知事会の国に対する提言でもだされました。画期的なことですが政府はすぐには動かないでしょう。
●そこで今回の制度改定をきっかけに全国初の子育て支援の一環として県と市町が協力して高校卒業までのこどもについて頭割りでかかる保険税負担を実質的に軽減する制度を導入することを提案しますが、見解をおたずねします。
もうひとつは6月議会でも税金と公共料金などのトータル負担率をみる必要性を指摘しました。今回は、国保税にかぎった負担率をみて減免規定を講じることを求めたいと思います。
国保はいまでも高すぎて、払いたくて払えない状況が広範にあります。
たとえば、給与年収400万の父母とこども2人の4人世帯での保険料のざっくりした計算では、東京で41万7700円、名古屋で34万7500円、ところが福井市では43万6100円、坂井市で36万400円。福井市は大都会よりも高く、住みにくくなっているのです。ちなみに福井県の協会けんぽの本人負担分では20万3800円で国保の半額程度の負担です。同じ収入でも20万と43万の負担では倍以上違うわけで払えない方が増える大きな原因です。
この異常さを今回の制度改定で県がリーダーシップを担うことをいかして、もっと住みやすい福井県にする制度改定を考えるべきではないでしょうか。
●国保の負担で家計と家庭が壊されていく状況の改善が必要ではないでしょうか。大都市圏と比べても同等か高くなっている国保税の負担軽減で暮らしやすい福井をどう実現していくのか、実効的な減免規定や負担率に上限を設けるなどが必要と考えますが、見解をおたずねします。
5、迷惑行為等の防止に関する条例について
最後に、今回提案されました県迷惑行為等の防止に関する条例改定について質問いたします。
先の国会ではいわゆる共謀罪審議のなかで「地図、カメラを携帯なら犯罪の下見」という法務大臣の答弁が有名になりました。今回の条例改定もその種のにおいがただよいます。
犯罪学でラベリング論というのがあります。犯罪の実態があり、そこに規則が適用されるのではなく、規則が適用されることで犯罪がうみだされるという考え方です。
今回の条例改定が、従来は犯罪者とされなかった行為者を取り締まり、犯罪者とラベル付けをすることになるのではないでしょうか。
この点で、たとえば、「乱暴な言動」とか「スマホなどのカメラを人に向ける行為」とか「電子メールなどの送信」などはどの程度の行為なら犯罪要件となるのか、はなはだ広範囲にすぎます。つまり、たとえば「速度30キロオーバーで違反です」のような客観的な基準違反ではなく、現場では、対応した警察官の恣意的な判断で検挙されるかどうか左右される可能性がでてくるのではないでしょうか。
社会的にも「痴漢冤罪」という実態も取り上げられていますが、証拠写真が残っていないのにスマホを向けられた、と女性に訴えられれば、「スマホ冤罪」がうまれかねません。
法律は人の命、自由、財産に制限を加えるものでありその改変には社会的合意、県民合意が求められます。したがって今回の条例改定で人を検挙し、懲役刑や罰金刑を科すことを決める議会審議において、より慎重な審議が求められることは言うまでもありません。
そこでおたずねいたします。
●警察官による恣意的な判断に左右されかねない状況まで想定しての処罰規定の拡大は、人権侵害にもつながりかねないと考えますが、見解をおたずねします。
●また、ストーカー規制法の対象とならない県民をひろく対象者とみることにつながり、市民運動、政治活動、宗教活動などによる働きかけやマスコミの取材なども「嫌がらせ行為」の対象とされることはないのか、おたずねします。