物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

【書籍】世界の果てのビートルズ

2012年11月07日 | Weblog
 『世界の果てのビートルズ』(ミカエル・ニエミ著、岩本正恵訳、新潮クレストブックス)を読む。

 作者のミカエル・ニエミの自伝的長編小説。人口900万のスウェーデンで75万部のベストセラーとなり、世界20カ国以上で翻訳され、映画にもなった。
 筆者が幼少から青年期にかけての60年代後半~70年代前半、フィンランドとの国境に近い北極圏のパラヤ村における物語である。舞台は北欧なので、オシャレな内容を想像していたが、もっと粗野で下品なスウェーデンの北端の生活模様が描かれている。
 印象深いのは、初めてビートルズの『ロックン・ロール・ミュージック』をレコードで聴いたときの少年時代の主人公の様子。
― 雷鳴がとどろいた。火薬の樽が爆発し部屋がふっ飛んだ。酸素が部屋から吸い出され、僕らは壁にたたきつけられ、潰れて壁紙に貼りつき 家全体が猛スピードで回転した。僕らはまるで封筒に貼られた切手だった。―
「世界の果て」に住んでいる子供たちの衝撃はまさにこんな感じだったのだろう。
 原題は『Popularmusik fran Vittula』(ヴィットラからのポピュラーミュージック)。決してビートルズが中心テーマではない。『ロックン・ロール・ミュージック』も主人公が組むバンドのレパートリーの一つである。この辺りは、「ビートルズがタイトルに入っていたら日本の読者は食い付くだろう」という訳者や出版社の思惑が見え隠れする。
 決して悪くない小説だが、文化・風土が決定的に違うので、日本人の私には少し感情移入しにくい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする