昨日は所用あり 若干の遠出をした。用事を終え 紅葉を楽しもうと山を目指し
た。暫らく走ると 山間部ののどかな田園地帯。桃源郷へと迷い込んだように気分
は異次元界にアクセスしているかのようである。
このまま 導かれるままに走ろう。スマホのナビも入れず 感覚のままに走る。さ
らに走ると一度も来たこともない初めて見る景色ばかりが遠ざかる。気が付けば山
道はどうやら峠を目指しているらしく うねうねと急な登坂が続く。
田園地帯では蝶たちも頻繁に翔び交い賑やかであったが 森にさしかかると生態系
はがらりと変わる。最近ではクマ目撃情報も多いし気を付けねばと慎重になる。以
前はこれほどの山奥に来たならばキノコを求めて入山したものだが 十数年ほど前
に深山の精霊たちの声無き声を聴いてからは最近は自重している。
結局 何か所かの紅葉スポットを楽しみ 秋の広葉樹の懐かしい匂いを嗅ぎ手付か
ずの自然界との周波数共振を心ゆくまで愉しんだ。タイミングよくカモシカとも出
逢ったが 彼はまだ若く人慣れしていない様子で 一瞥をくれると山の急斜面をあ
りえない跳躍力で駆け下りたのであった。
もしかしたら崖に近い急斜面を駆ける雄姿を見て欲しかったのかもしれない。目に
焼き付いた彼の姿を後から解析するとそんな気がする。