マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし                   食養塾 無何有庵の日々

無(む)と空(くう)の癒しの時間の中で、心食動息の一つ一つを共に考えていきたいマクロビオティックなスペース。

病気に向き合う

2013年09月04日 15時49分06秒 | 庵主の日記
台風17号は、温帯低気圧に変わりましたが、依然雨脚は強く、各地で土砂災害などの警告が出ています。このところ、ず~っと雨。洗濯物がカラっとせずに、ベランダに放置状態です。

一ついいことは、早明浦ダムの貯水率が75%に回復しました。

先週の末の講座中、ふとキッチンの外の泰山木のてっぺんに、遅咲きの白い大きな花を見つけたのですが、その美しい姿も雨に打たれて茶色になってしまいました。

関東を襲った竜巻など、ほんとうに、自然の脅威には無力です。

この雨が、どなたにも法雨となってくれますように・・・。





昨日も初診のカウンセリングが立て続けにありました。

そのうちのお一人は、乳がんをわずらっておられました。
手術や抗がん剤などの医療は受けておらず、自然療法を取り入れて病気と向かい合っておられます。当院でも、初診の検査の日も時間を作って「よもぎ蒸し」をされたり、「湯たんぽ」などで、カラダを温めたり、昔ながらの方法ですが、体温が上がったと喜んでいただいております。

その方は、ゲルソン療法を取り入れておられるとのことで食事の記録を見せていただいたのですが、毎日、メロンなどの果物、にんじんジュースを摂られており、明らかに口腔内の状態に影響していると感じました。そのことをお話いたしますと、確かにカラダが冷えるので、美味しいのだけれどにんじんジュースも最近は毎日摂ってはいないとのこと。それでは、いったん止めてみますか?ということにいたしました。

私もとても信頼している大阪の先生に診ていただいているとのことでしたので、一度確認してみてくださいねとは申しましたが、主食としてのあるべき糖質(未精製の穀類)をしっかり摂っていただくことと、お味噌汁、お漬物、ちゃんとした調味料などの、日本古来の発酵食品と、これからの時期は根菜類もしっかり摂って、カラダを冷やさないようにお願いいたしました。

ここで、少し、食事療法について書いてみたいと思います。

前述のゲルソン療法は、果物や野菜ジュースを2L、3L飲み、塩などのNaとつくものの排除、動物性の排除などの厳格な食事改善によって病気を治そうというものですが、たしかにその実績はあり、世界的にも多くの方が実践しておられます。もちろん、その内容は、多くの臨床データや科学的根拠を持って実践されているものです。


ゲルソン療法に限らず、マクロビオティックも含めて、なんとか食事法や療法と名のつくものは五万とあります。それぞれ、その考え方を読み解くと、なるほどと思えることがたくさんあります。

しかし、それらは、本当に万人に向いているものなのでしょうか?
たとえば、ゲルソンは塩は絶対に摂ってはいけないとされていますが、マクロビオティックでは、塩は大切なものなので、適度に摂らなくてはいけないとされています。
これほど真反対な考え方なのに、どちらも万人にとはいかないのではないでしょうか?

ここでしっかりと見極めなくてはならないのは、どちらの食事法を取り入れても、たとえば癌が治ったり慢性病が完治したりしている例がたくさんあるということです。真逆に近いことをしても病気は治るのであれば、どっちでもいいのでしょうか?それとも、塩は関係ないことだったのでしょうか?

塩を摂りすぎてきた方は塩を減らす、塩が足りない人は増やす・・・それが功を奏したのではないでしょうか?つまり、ゲルソンで治った方もいるし、マクロビオティックで治った方もいるということです。言いかえれば、治らなかった人もあるということだと考えるほうが正論だと思います。

因みに、私が実践するマクロビオティックは、塩をどんどん摂るなどとは言いませんが(笑)、古いマクロビオティックの教えに「塩は摂らなくてはいけない」とあり、それが極端に独り歩きした感が否めません。本来のマクロビオティックはイヌイットの方に玄米菜食をしましょうとは言わないですし(そんなことをおすすめしたら凍死してしまいますものね)、南国の地の方に必ず煮炊きした根菜類を塩をきかせて食べましょうともいいません。全天候型、全人型で、その人に応じた対応をするのが本来のマクロビオティックだと考えますから、未熟な拡がりをしているマクロビオティックを残念に思います。


人それぞれ体質も体調も違いますし、どこに住んでいるかによっても食べてきたものも違います。その違いを見極めての食事改善でなければ、せっかくの食事改善があだになる場合もあることを知った上で取り入れて行けば、ゲルソン療法もとても役に立つ時があるのではないでしょうか?
ただ、歯医者的に言わせていただくなら、虫歯になることを覚悟してね!って言わなくてはなりませんが。

甲田光雄先生が実践された食養法も、マクロビオティックなどを応用して、少食で、青汁と玄米菜食を取り入れています。青汁だけで、何十年も元気で過ごしておられる方もいらっしゃいます。ただし、青汁は野菜の生のジュースですから、カラダがかなり冷えますから、相当の運動も合わせてされます。それぞれの療法を指導される方が、それぞれの特徴を踏まえ、どのように取り入れたらいいのか、実践される方の体調や体質をしっかり管理することができなければならないのは、言うまでもありません。また、実践されるご本人が他力本願ではなく、しっかりと自ら学び納得をして取り組まなくてはなりません。

しかし、多くの場合、カラダにいいと聞いたから、病気が治ると書いていたからという浅い知識で実践されていらっしゃるのです。本当に心配します。


私たちは、歯を壊さない食事療法を勧めています。
歯を壊さないことが、カラダを壊さないことにつながると確信しているからです。

人間としての食べ方としての食事学は、極端な食べ方とは違います。
それぞれの民族が、大昔から伝えてきた食べ方を大きく崩すことなく食べることです。
日本人には日本人の食べ方があります。
日本にもそれぞれの地方の食べ方があります。
それは違っていて当然です。

最近NHKの朝の連ドラ「あまちゃん」でブームになった「まめぶ」ですが、団子の中にくるみと黒糖をいれたけんちん汁みたいなものですが、これは、よく考えると伝統食ではないかもしれませんね。その昔、東北で黒糖が採れたのかどうかを考えれば、少し疑問です。
だから、昔ながらの食べ方って言っても、時代とともに多様化した食生活を昔に戻すのは本当に大変なことだなって思いますが、日本全国共通なのは、「ごはんとみそ汁とお漬物」の三種の神器ではないでしょうか?当然、そのむかし、ご飯は未精製のものだったでしょうし、味噌や塩や醤油は工場生産のものではなかったということは想像がつきますから、古式製法のものを選ぶことが大切ですね。

そうすれば、今はやりの酵素も、日本の伝統食でOK!
ゲルソン療法のように極端に果物や野菜を摂らなくても豊富にある伝統的な発酵食品が十分補ってくれます。酵素ジュースを作るために砂糖などの糖類を添加するのでは、何をしていることやらとなってしまいます。

ちまたに誕生したり消滅したり忙しく取りざたされる食事法には、その後ろに必ず利権が見え隠れします。マクロビオティックにおいても、同様。金儲けのマクロビオティックであれば、それは、ウソつきマクロです。健康や生き方をうたい文句に行われる高額の講座なども、しかり。
今の時代、お金をかけるほど、病気になるのはもう周知のこと。
その昔、糖尿病はお金持ちの病気と言われた時代があったこと、思い出してくださいね。

健康はお金で買えるものではないのです。

病気に向き合う時、本当のことがよく見えてくる気がします。