鬼束ちひろの「月光」が流れる中、演壇に登場。マイクの前で演説姿勢をとる。しばらくの間。
「あれは、よく晴れた、建国記念の日のことでした。すがすがしい気分で三鷹通りを歩いていると、ほとんどの家は日の丸を掲げているのに、一軒だけ、赤、青、黄の、うさんくさい三色旗をベランダからたらしている家がありました。何だ、と思い、表札を見ると、「冬柴」の2文字がありました。さらに郵便受けを見てみると、聖教新聞と公明新聞が10部ずつ入っていたので、これは間違いない、と思い、すぐさまインターホンを鳴らしました。少しして、眠そうな声で「はい」と返事があったので、「もしもし。ちょっとお尋ねしますが、あの赤、青、黄の三色旗は何なのですか。今日は建国記念日ですが」と問い詰めると、しばらくして、「あ、ああ、あれは、レゲエですよ、レゲエ。ラスタ・カラーってやつですよ」という答え。言うに事欠いて、ラスタ・カラーとは、と私はキレかかりましたが、大麻でもやっているようなもんやりとした声だったので、これは案外本当かもしれないと思い、それ以上追及するのはやめまして、そのかわり聖教新聞と公明新聞を全部抜いて、隣の家に入っていた産経新聞を差し込んでやり、帰りました。
聖教新聞と公明新聞を両方とっている。こういうやつに限って、政教分離だとか、わけのわからないことを言うんです。小泉総理は靖国神社に参拝するな、とかね。靖国参拝、大いに結構なことではありませんか。ただ、総理の参拝が8月15日だけというのは物足りない。私は、総理は1年365日参拝し続けよ、と言いたい!靖国には、特攻隊を始めとする、日本のために命を捧げたみなさまが祀られていますが、あの頃の日本と今の日本は、残念ながら別の国になってしまいました。あの頃は神のいる精神文明の国でしたが、今は株価だの、円とドルのレートだの、わけのわからない数字が支配する、物質文明の国になってしまいました。この現状を打破するために、私は新しい「GNP」というものを提唱したい。G、N、P。ゴリゴリの、ニッポン主義。その第一歩が、総理の靖国年間公式参拝なのです。公式というか、公務を放棄して参拝すべきです。
古代インカ帝国では、お祭りの日に、若者たちにバスケットボールの試合をさせ、勝った方を生け贄として神に捧げたと言います。特攻隊のみなさまも同じです。彼らは戦死したのではありません!神のおそばに行っただけなのです!大東亜戦争は戦争ではありません!お祭りだったのです!あのお祭り、あの時代をもう一度!!物質から精神への回帰を!!総理だけでなく、みなさん!みなさんも、明日から仕事をやめて、このお祭りに参加してください!靖国神社で会おう!!」
再び鬼束ちひろの「月光」。退場の途中、切腹のポーズをとるが、やめて帰る。