を読む。矢島文夫訳。ちくま学芸文庫。
神によって粘土から創られたエンキドゥが、娼婦と1週間ぶっ続けでセックスすることによって真の人間になる、というエピソードがおもしろい。これと同じことを、ショーペンハウアーが「意志と表象としての世界」の中で書いている。「人間はセックスによって単なる個体から脱却し、種族の一員、すなわち、永遠の生命の流れの一部になる」。もっともショーペンハウアーは、さらにそこから解脱せよ、と説くのだが。
楔形文字の解読が始まるのは、ショーペンハウアーの死後だ。当然彼は、「ギルガメシュ叙事詩」を知らないはず。人間が考えることは、数千年の時を経ても変わらないらしい。
いや、待てよ。わからないことがある。ワシも若い頃は、「ヤリツィン大統領」などと呼ばれたものだが、記憶をたどると例外なく女性はアノ時に「逝く、逝く」と叫んでいた。ということは、「セックスによって永遠の生命の流れの一部になる」、というのは女性には当てはまらないのだろうか? さらなる研究が必要だ。