サガに出てくる幽霊たちは、全然幽霊っぽくない。実に肉体的で、生きている人間に悪さを仕掛ける。一言でいうと、粗暴犯だ。ゾンビを筋肉質にして、スピーディにしたような感じ。彼らを完全に殺すには、火葬にして、灰を海に流す(「ラックサー谷の人びとのサガ」、「エイルの人びとのサガ」)。後世の魔女の処刑方法の原型だろうか。
魔法もいろいろ出てくるが、極めつけは、ノルウェーの王母グンヒルドがかけるやつ。彼女はアイスランドの男性と愛人関係になるが、彼が故郷に帰る時に、ある呪いをかける。男性はアイスランドで婚約者と結婚するのだが、すぐ破局する。夜、妻の中に入る段になると、ナニがデカくなりすぎて、どうしても入れない。それが原因になったそうにゃ(「ニャールのサガ」)。
1日10ページくらいのペースで、やっと読み終えたにゃ。
内容は、同じパターンの繰り返し(有名な「ヴォルスンガサガ」を除く)。有力者の一族どうしの殺し合いが、延々と続く。10世紀頃のアイスランドでは、「人を殺したら死刑」などという法はなかった。すべて金銭的な和解で処理される。だが、それでは当事者の感情が収まらないので、結局殺し合いになってしまうのにゃ。
キリスト教が受け入れられる課程もおもしろい。ノルウェーのオーラヴ・トリュッグヴァソン王が布教のためにアイスランドに送った、サングブランドなる人物が出てくるが、「ラックサー谷の人びとのサガ」では逆らった人間を二人殺して逃げた荒くれ者になっている。それが、「ニャールのサガ」ではさまざまな奇跡を起こす聖人として描かれている。「ニャールのサガ」は、キリスト教化が進んだあとに書かれたのだろう。
ノルウェーでは、キリスト教は国王が強権的に国教とした(逆らえば死刑、手足の切断、財産の没収、国外追放)のだが、アイスランドでは違った。キリスト教徒と伝統的な神々(オーディン、トール・・・)を崇拝する人びとが対立し、決定はある首長に委ねられたのだが、キリスト教徒側が銀3マルクで買収して、アイスランドのキリスト教化が決まったという(「ニャールのサガ」)。
また、「トールとキリストが決闘する話」もちらっと出てきて、過渡期ならではの空気が伝わってくるのにゃ(「ニャールのサガ」)。
この他、数多くの幽霊話、魔法・・・が出てきて、タマらない人にはタマらないのにゃ。
PSYCHOSISの「JINMENSOー人面疽ー」を観る。
森永理科にゃんこ演じる、アメリカ帰りの女優がヒットだわ。金髪と相まって、アンディ・ウォーホルが描いたマリリン・モンローみたい。彼女にしかない、キラキラした声もたっぷり味わえたのだわ。
まさに、「ときめく時」だったわ。