竹内花音菜嬢のパフォーマンスを観る。月蝕名・岬花音菜。
多摩美術大学造形表現学部・映像演劇学科の卒業制作展の一環なのだが、この学部、なくなってしまうそうだ。ということは、萩原朔美さんはどうなるのか。それはともかく・・・・・・。
「 胎児を体感するアトラクション 」 ということで、あらかじめ観客には耳栓が渡されるのだが、安物なので音がダダ漏れ。なので、ジャーマン・プログレ風の単調な重低音の繰り返しからなる音楽 ( もしかしてタンジェリン・ドリーム? それともオリジナル? ) が、ずーっと続くのが聴き取れる。それに合わせて、全身黒ずくめの花音菜嬢が、中国拳法の型のようなゆったりとした動きを、延々と続ける。
そう、文字通りの 「 暗黒舞踏 」 だった。暗黒舞踏といっても、ふつうは白塗りでおっぱいを出したりとか、 「 見せる 」 ことを意識するものだが、この日の花音菜嬢は違った。衣装、メイク、照明によって、演者は表情すら窺えない完全なシルエットになる。そこに、観客それぞれの無意識を投影させる、という意図か。
パフォーマンスはこれといった見せ場もなく、90分近くたったところで音楽が止まり、場内アナウンスが流れて、終わった。観客は20人ほどだったが、拍手はまったくなし。ワシも一瞬どうしようか迷ったが ( 卒業制作展だし )、今の空気を壊さない方がいいような気がして、やめたにゃ。
太鼓持ちじゃないので、この作品を絶賛する気にはなれないが、この内容で90分やるんだと決断して実行した、その精神力は見事だ。観客ではなく、実は自分の胎児時代を終わらせるために、この作品が必要だったのではないか。この静かな展開は、嵐の前の静けさ、もう一方の極端へと飛躍する前触れなのではないか。そんなことを思ったにゃ。
ちなみに、場内アナウンスも本人によるものだったが、類い稀なロリ声なのにゃ。実はこれが、本日のクライマックスだったにゃ。劇団の先輩の森永理科にゃんこのような幅広い活躍を、期待しているにゃう。