を読む。ウェルギリウス著。岩波文庫。
ちょっと前に古本屋で買った。トロイアの英雄アエネーアースがイタリアに逃れて、ローマを建国するまでを描く叙事詩。
トロイア戦争の勝者のギリシア人ではなく、トロイア人を建国者とするのは、なぜか。それなりに歴史的な真実を含んでいるから、かもしれない。
トロイアのプリアモス王の悲惨な最期。アエネーアースに捨てられたカルタゴの女王の狂乱。予言を行うシビュラのトランス状態。どれも描写が迫真的で、引き込まれる。後半はほとんどが戦いの描写。表現は流麗だが、その内容は凄惨だ。
BL要素がほとんどないのがタマにキズか。作者のウェルギリウスは美少年を愛し、生涯独身だったそうだが。
「アエネーイス」のような濃厚なドラマは、現代にはもはや存在しないかもしれない。あるとすれば、「スケベーイス」くらいか。