列王記下17,17。 息子や娘に火の中を通らせ、占いやまじないを行い、自らを売り渡して主の目に悪とされることを行い、主の怒りを招いた。
英文は They sacrificed their sons and daughters as burnt offerings to pagan gods; they consulted mediums and fortunetellers, and they devoted themselves completely to doing what is wrong in the LORD's sight, and so aroused his anger.
イスラエルの王だけでなく民衆も、周囲の諸国の民の真似をして、神を怒らせた。だからイスラエルは滅んだのだ、という記述。歴史の説明。
だが、どうして彼らはそうしたのかという説明がないし、そもそも周囲の諸国の民に本当にこういう風習があったのかもわからない。これは聖書の記述であって、周囲の諸国の民自らの記述ではないのだ。不本意な歴史を理屈づけるために、このような記述が「考え出された」という可能性もあるにゃ。
列王記下17、5~6。 アッシリアの王はこの国のすべての地に攻め上って来た。彼はサマリアに攻め上って来て、三年間これを包囲し、ホシェアの治世第九年にサマリアを占領した。彼はイスラエル人を捕らえてアッシリアに連れて行き、ヘラ、ハボル、ゴザン川、メディアの町々に住ませた。
英文は Then Shalmaneser invaded Israel and besieged Samaria. In the third year of the siege, which was the ninth year of the reign of Hoshea, the Assyria emperor captured Samaria, took the Israelites to Assyria as prisoners, and settled some of them in the city of Halah, some near the Habor River in the district of Gozan and some in the cities of Media.
イスラエル王国の終焉。この時、アッシリアによって連れ去られたユダヤ人が今のアフガニスタン人の祖先だ、という説があるそうだが、どうだろう。せいぜい、今のイランあたりが東の限界のように見えるが。
ユダヤ人はカナンの先住民をみな殺しにしようとしたが、それに比べると、アッシリアのこのやり方はかなり文明的に 思えるにゃ。
列王記下16,3。 彼はイスラエルの王たちの道を歩み、主がイスラエルの人々の前から追い払われた諸国の民の忌むべき慣習に倣って、自分の子に火の中を通らせることさえした。
英文は and followed the example of the kings of Israel. He even sacrificed his own son as a burnt offering to idols, imitating the disgusting practice of the people whom the LORD had driven out of the land as the Israelites advanced.
ユダ王アハズの事績。日本語版の「火の中を通らせる」という表現はあいまいだが、英語版を読むと「いけにえとしてささげた」ことがわかる。
ただ、どういういきさつで自分の息子をいけにえにしたのかは不明だ。そこが、引っかかるのにゃ。
列王記下14、14。 また彼は、主の神殿と王宮の宝物庫にあるすべての金と銀、祭具および人質を取って、サマリアに凱旋した。
英文は He took all the silver and gold he could find, all the Temple equipment and all the palace treasures, and carried them back to Samaria. He also took hostages with him.
イスラエルとユダは、同じユダヤ人同士でしばしば戦った。これは、イスラエルのヨアシュ王(前回はユダのヨアシュ王)によるエルサレムの神殿掠奪の記述。もう、エホバの神のことなど、何とも思っていないのにゃ。
ユダヤ人は「契約の民」と呼ばれ、神の下に一体だと思われている。だが、そうでなかった時期もあるのにゃ。
列王記下12,8。 ヨアシュ王は祭司ヨヤダおよびほかの祭司たちを呼んで言った。「なぜ神殿の破損を修理しないのか。以後あなたたちはあなたたちの担当の者から献金を受け取ってはならない。それは神殿の破損を修理するために使われるべきものだからだ。」
英文は So he called in Jehoiada and the other priests and asked them, " Why aren't you repairing the Temple? From now on you are not to keep the money you receive; you must hand it over, so that the repairs can be made."
いつの時代にも、私腹を肥やそうとする輩はいるようで。エルサレムの神殿のための献金であっても、例外ではないのにゃ。ちなみにヨアシュ王は、家臣の謀反によって殺されるのにゃ(同12,21)。
列王記下9,32~33。 彼は窓を見上げ、「私の味方になる者は誰だ、誰だ」と言うと、二、三人の宦官が見下ろしたので、「その女を突き落とせ」と言った。彼らがイゼベルを突き落としたので、その血は壁や馬に飛び散り、馬が彼女を踏みつけた。
英文は Jehu looked up and shouted, " Who is on my side? " Two or three palace officials looked down at him from a window., and Jehu said to them, " Throw her down ! " They threw her down, and her blood spattered on the wall and on the horse. Jehu drove his horse and chariot over her body.
預言者エリシャによって選ばれた人物、イエフによるイゼベル殺しの場面。この前に彼は、イスラエル王とユダ王の両方を殺しているのだが、ふつーの歴史の教科書には出てこないのにゃ。
列王記下4,43~44。 召使いは、「どうしてこれを百人の人々に分け与えることができましょう」と答えた。エリシャは再び命じた。「人々に与えて食べさせなさい。主は言われる。『彼らは食べきれずに残す。』」
英文は but he answered , " Do you think this is enough for a hundred men ? " Elisha replied, " Give it to them to eat, because the LORD says that they will eat and still have some left over."
キリストっぽいエピソード。ていうか、この記述は、いつ書かれたものなのだろうか。
列王記下4,27。 そこで彼は、自分に代わって王となるはずの長男を連れて来て、城壁の上で焼き尽くすいけにえとしてささげた。イスラエルに対して激しい怒りが起こり、イスラエルはそこを引き揚げて自分の国に帰った。
英文は So he took his oldest son, who was to succeed him as king, and offered him on the city wall as a sacrifice to the god of Moab. The Israelites were terrified and so they drew back from the city and returned to their own country.
イスラエル、ユダ、エドムの連合軍がモアブを攻めた時のエピソード。モアブ王が長男を神ケモシュにささげると、何らかの怪現象が起こり(terrified というのはそういうことだろう)、連合軍は逃げ帰った。
戦いの前に、預言者エリシャは連合軍の勝利を予言していた(同3,18)。にもかかわらず、この結果だ。エホバの神が、モアブの神ケモシュに敗れたのだ。いや、これは、もしかしたら・・・。
エホバの神とケモシュは、ただ呼び名が違うだけの、同一の神なのではないか。彼は常にユダヤ人を勝たせるのではなく、その時その時で気まぐれな決断を下す。なにしろユダヤ人とモアブ人は、近縁なのだから。
列王記下2、23~24。エリシャはそこからベテルに上った。彼が道を上って行くと、町から小さな子供たちが出て来て彼を嘲り、「はげ頭、上って行け、はげ頭、上って行け」と言った。エリシャが振り向いてにらみつけ、主の名によって彼らを呪うと、森の中から二頭の熊が現れ、子供たちのうちの四十二人を引き裂いた。
英文は Elisha left Jericho to go to Bethel, and on the way some boys came out of a town and made fun of him. "Get out of here, baldy ! " they shouted. Elisha turned around, glared at them, and cursed them in the name of the LORD. Then two she-bears came out of the woods and tore forty-two of the boys to pieces.
預言者エリヤの後継者、エリシャのエピソード。エホバの神は、預言者の個人的な願いも 受け付けるのにゃ。
英語版の方がわかりやすい。ワシは今まで、子供たちはベテルから出て来たと思っていた。でも、違った。ジェリコからベテルへ行く途中の、とある町から出て来たのにゃ。熊も、メスだったらしいにゃ。
列王記上22、9。 そこでイスラエルの王は一人の宦官を呼び、「イムラの子ミカヤを急いで連れて来るように」と言った。
英文は Then Ahab called in a court official and told him to go and get Micaiah at once.
突然「宦官」が出てきてドキッとしたけど、英語版では court official になっているわ。ふつーの役人とも読めるけれど。何でしょう、日本語版は、サービス精神が旺盛なのかちら? うふっ。
列王記上18,42。 アハブは飲み食いするために上って行き、エリヤはカルメルの頂上に登って行った。エリヤは地にうずくまり、顔を膝の間にうずめた。
英文は While Ahab went to eat, Elijah climbed to the top of Mount Carmel, where he bowed down to the ground, with his head between his knees.
預言者エリヤによる雨乞いの儀式。これによって、大雨が降った。現代においても、旱魃の被害は大きい。股間に顔をうずめる儀式は、再評価されるべきにゃ。
列王記上18,40。 エリヤは、「バアルの預言者どもを捕らえよ。一人も逃してはならない」と民に命じた。民が彼らを捕らえると、エリヤは彼らをキション川に連れて行って殺した。
英文は Elijah ordered, " Seize the prophets of Baal; don't let any of them get away! " The people seized them all, and Elijah led them down to Kishon Brook and killed them.
バアルの預言者たちとの「術くらべ」に勝ったエリヤは、彼らをみな殺しにするのだが、「主の火が降ってみな殺し」とはならなかった。殺しは手作業なのにゃ。
列王記上16,31。 彼はネバトの子ヤロブアムの罪を繰り返すだけでは満足せず、シドン人の王エトバアルの娘イゼベルを妻に迎え、進んでバアルに仕え、これにひれ伏した。
英文は It was not enough for him to sin like King Jeroboam; he went further and married Jezebel, the daughter of King Ethbaal of Sidon, and worshiped Baal.
イスラエル王アハブの妻イゼベル。おそらく、旧約聖書中、最大の悪女だろう。エリヤを始めとする大勢の預言者を迫害する。でも、欧米でポピュラーな女性の名前に、イザベラ(Isabella)というのがあるけれど、これってもしかして、イゼベルに由来するのでは? 権勢をふるった女性にあやかりたい、ということなのか。
ちなみに、イブはそれほど悪女扱いされていない。「アダムの原罪」というが、「イブの原罪」とはいわない。よくも悪くも、影が薄いのにゃ。