を読む。クセノポン著。京都大学学術出版会。
前に読んだトゥーキュディデースの「戦史」は、ぺロポンネーソス戦争の記述を終える前に、中断してしまっている。その続きを書いているのがこの本だ。
どうしてクセノポンは、「戦史」の続きを書いたのか。大学の先生は当たり障りのないことしか言わないが、彼はトゥーキュディデースの「稚児」だったから、としかワシには思えない。
そのことは、読めばわかる。あるスパルタ人が外国に買収された罪で、死刑判決を受けそうになる。たまたま彼の息子がスパルタ一の美少年で、スパルタ王の息子が恋していた。そこでスパルタ王にとりなしてもらって、死刑を免れる。このエピソードが、この作品のクライマックスだ。決して「レウクトラの戦い」ではない。
また、スパルタ王がペルシア人の若者(美少年)と「賓客関係」になるくだり、とか、スパルタの将軍がアテナイの待ち伏せ攻撃に遭って死んだ時に、彼の愛人(もちろん、男)も運命を共にした、とか、いちいち細かいところにまで目配りが利いている。
クセノポンは、間違いなく真正の○○だった。その本性をフルに展開させたのが本書だ。彼こそ、BLの元祖ではないだろうか。