神の属性その2。
神は、火山の神であると同時に、大地母神でもあるのではないか。
神はモーセに約束する。「 わたしは降って行き、エジプト人の手からユダヤ人を救い出し、広々としたすばらしい土地、乳と蜜の流れる土地、カナン人の住む所へ彼らを導き上る 」( 出エジプト記3、8)。
乳と蜜、つまり家畜やミツバチを養えるだけ植物が豊かに繁茂する土地。かなり具体的・物質的な約束だ。決して抽象的な理念を掲げているわけではない。大地母神の特徴だ。
また、前回も触れた、ユダヤ人の中の不満分子が大地に飲み込まれるエピソード ( 民数記16 )。これは、大地母神の恐ろしい一面を表しているのではないか。母なる大地は、生命を産み出しては、飲み込む。これを、延々と繰り返す。
さらに、聖書の記述を見てみると・・・。
モーセは死ぬ前に歌う。「 主は岩、その御業は完全でその道はことごとく正しい 」( 申命記32、4 )。「 お前は自分を産み出した岩を思わず、産みの苦しみをされた神を忘れた 」( 同32、18 )。
預言者サムエルの母親ハンナの祈り。「 主は命を絶ち、また命を与え、陰府 ( よみ ) に下し、また引き上げてくださる 」( サムエル記上2、6 )。
これらを、どう考えるべきなのか。
火山もまた、大地の一部だ。それは人間にとって脅威だが、同時に、肥沃な土地をもたらしてくれる。火山の神であり、大地母神でもある。それほど突飛な説ではないと思うのだが。