「金枝篇」のフレイザーによれば、呪術の根本には二つの法則があるという。まず、「類似の法則」。類似のものは、同一のものである。憎い相手に似せてわら人形を作り、五寸釘を打ち込めば、相手は苦しんで死ぬ。そして、「伝染の法則」。憎い相手が着ていた衣服には、彼の生命が伝染している。なので、衣服の切れっ端をわら人形につけて五寸釘を打てば、効果は倍増する。
このような呪術の法則が現代にも生きていることが、東京五輪の開会式をめぐるゴタゴタで、明らかになった。過去のコントが問題視されて開会式の演出を解任された、小林賢太郎氏の件だ。
「類似の法則」。コントでホロコーストを扱うことは、ホロコーストを行うことに等しい。
「伝染の法則」。そのようなコントを作った小林氏が手がけた東京五輪の開会式には、彼の邪悪さが伝染しており、忌むべきものである。
進歩的と思われる人々の言動の根底には、昔ながらの呪術がある。2021年の今でも、これは確認できるのにゃ。